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1ルーム

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【短話】手のひらの小箱

手元に小さな箱がある。
縁には埃がついている。
払ってみてもキレイにならず。
布巾を濡らして拭ってみる。
包むよう全体を触って。
思った小さい感じ方。
内に隠れる大きさ。
強いとそれは潰れてしまう。
へしゃげたって出てこない。
悲しい気持ちだけが残るだろう。
だから私は閉じた手揺らし。
角打つ感触確かめる。
ここは落ち着く気持ちがあって。
心臓は身体の外に出せてしまうほど。
操れてしまう気持ち。
支配したいわけじゃない。
支配されたいわけじゃない。
重力があってこそ、バランスがあって。
手元に置かれたただ一つ。
中へストンと音がする。
静かに収まる手のおもり。
軽くて胸に抱きたくなる。
凝縮された気持ちの奥。
揺れていた小箱。
隠した布を放り投げ。
すっかりキレイになった箱。
ゆっくりフタを開けていく。

 

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