アクトレス / 2009R18
この街には縁結びの神社があるらしい。
名前を新良城(あたらぎ)神社。
高い高い階段を昇った先にあるこの神社には、何故か真夏にだけ花を咲かせる桜のご神木があって、『この桜が花を満開にさせた時、恋しあう男女が枝に紐を結ぶと、2人は永遠に幸せになれる』という逸話があるそうだ。
そんな話を夏休みの直前、親友の桐原大樹(きりはら・たいき)から聞かされて、恋愛祈願に付き合わされた俺が出会ったのは、巫女姿の少女、新良城紗々弥(あたらぎ・ささや)。
実は同じ学園の先輩で、数日後、俺の家の前でバッタリ鉢合わせた彼女に「あなたが……好きです」なんて告白されてしまった。
しかも彼女を皮切りに、ほぼ同じタイミングで3人からも──
幼馴染でクラスメートの水森明日夏(みなもり・あすか)。
明日夏と仲良しの五十鈴えみり(いすず・えみり)。
親友である大樹の妹・桐原小枝(きりはら・こえだ)。
これはただの偶然か?
それとも、恋を紡ぐ桜のせいなのか?
俺、真木智哉(まき・ともや)の日常に、遅咲きの桜が花開こうとしていた。