ユウタくんともうひとりとの会話のみで成り立つショートショート『すぐそこにある……』シリーズ ですが、ユウタくん、ついにハルミちゃんの脳内(!)と会話を始めてしまいました。
今回のストーリーを同居人に話したところ、次の段になり:
「品物で差別化するんじゃなくて、相手の選択で差別化したらどうかな?」 (……トシヒコくんを諦めろってこと? ……そんなのイヤ! 石コロに義理チョコ配るなんて意味ないもの!) *****<中略>*****「ほら、ユウタくんがいるじゃないか。他の女のコがその輝きに気付かないうちにゲットしておくんだよ」
「すぐそこにある《脳内》」より 「ああ……なるほど、手に入れたいけど倍率が高そうなターゲットを回避して、誰も相手にしないようなヤツを狙え 、ってことね」 そしてこう続けます: 「……それってさあ、『誰も欲しがらないモノを狙う』っていう、アンタが前に言ってた作戦 じゃない……」
いえ、過去の私が『誰も欲しがらない女性』 を狙い、その結果、今目の前にいる彼女を見事(?)射止めた、という自虐ネタではありません。
── 私は懸賞などの『引き』がけっこう強い。 ワールドカップサッカー決勝戦の観戦ペアチケットを当てたこともあります(競争率は500倍ぐらい):
東京在住の学生時代は時間があったこともあり、例えばスーパーに置かれた懸賞葉書に応募して(別に好みの歌手でもない)音楽CDや、ちょっとした小物を当てたりしていた。 (小話を月刊誌に投稿して小遣いも稼いだし……)
Uターン就職後は自動車通勤ということもあり、あまり応募機会は無かったけれど、ある時、TVを視ていたら、懸賞で当てた品物で狭いアパートの中があふれている若い女性に取材していました。
彼女は、あらゆる機会を捉えて懸賞に応募するという。本格的なネット社会になる前のことです。 注目すべきは当選確率の高さ でした。 インタビュアーに『当選のコツ』 を尋ねられた彼女は言った ── きっぱりと:「みんなが欲しがるもの、高価なものは狙いません。他の人が欲しがらないものを狙って応募すると、当選確率が高いんです!」
「これだ!」 私は大きく肯いた。
その後、例えばある時、スーパーで何千円分か買い物をすると、そのレシートを添えて応募できる懸賞がありました。 応募用紙上で事前に、欲しい当選品を選ばなくてはなりません。 選択肢は、こんな感じ:① ハワイペア旅行 1組 ② 下呂温泉ペア1泊旅行 5組 ③ 商品券千円分 100人 ④ (そのスーパーの)マスコット人形 200人
「そりゃ、ハワイ旅行でしょう!」 横から同居人が口を出す。 「いやいや……それは倍率が天文学的に高いよ……」 「下呂温泉でもいいけど……商品券なら当選100人だし、確実に使えるから、それにしたら?」 「……と思う人が多いはず……商品券は誰もが重宝するから、意外と人気なんだよ……」 「じゃあ、どうするの?」 「④のマスコット人形がいいんじゃないか? 」 「え? こんなもの、アンタ欲しいの? ゴミになるだけじゃない!」 「いやいや、欲しいわけじゃないよ。こんな人形、誰も欲しがらないから、当たるかも…… 」 「あんた、バカじゃない? 誰も欲しがらないモノなんか、ウチらも要らんわ! 」 「……いやいや、この『当たった!』という喜び がオレの人生にとって重要なんで……」 「あきれた! 勝手にしなさい! 」
……そんな『黒?歴史』があったわけです。
皆さんはどう思われますか?
『誰も欲しがらないモノ狙い作戦』 ……いいと思うんだけどなあ……