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デスゲームに参加してきました。

まず、『パスゲーム』とはPADDLE主催、前代未聞の36時間ぶっ続けの狂気の謎解きフェス『PADDLE FES』のメイン企画です。

『PADDLE FES』のキャッチフレーズは

一緒に遊びましょう。
壊れるまで。

そんな狂気と悪意に満ち溢れたフェスの0:00-2:30(※深夜です)に行われたイベントこそが『パスゲーム』でした。

『パスゲーム』とは何なのか?

そんなもん知りません。と言いたいところですが説明してまいりましょう。

我々も参加するまではほとんど何も知りませんでした。わかっていたのはほとんどただ一つです。

それは、

これだけです。

謎解きイベントに本物のパスポートが要求されます。前代未聞です。意味が分かりません。

受付時に本人のパスポートではないものだと判断された場合、またはパスポートの期限が切れていた場合は、強制退出となります。その場合の返金はございません。ご了承ください

文字通り本物のパスポートです。期限切れも許されません。

ゲームについて公開された情報は以下の一つだけ。

敗者1人を決めるゲームです

何もわからないことがわかりました。

極めつけは以下の文言です。

パスポートが一定期間使用できなくなる可能性がございます
ゲーム開始前に、承諾書にサインしていただきます。了承できない場合は返金いたします

企画内容が全く見えないうえに、パスポートが使えなくなる可能性がある??? いったい何をさせられるのだろうか??? 全くわかりません。
シンプルに、怖すぎる

そんな狂気のイベントに、27名の誇り高き狂人が参加しました。私もその参加者の一人です。ここからは現場から見たあの夜の狂気と軌跡を書いていきたいと思います。

開幕

会場に入るや否や、誓約書を書かされました。内容は、ざっくりいうと何されても怒らないでね~ということです。怖すぎる。

次にパスポートの確認です。あたりまえ・・・いや当たり前ではないですが、パスポートの提示を求められました。提示の際は穴あきの紙が渡され、それをパスポートのページにかぶせて提示するように言われました。

やはりこんな危険なイベントを開催する限りは最低限の情報管理は徹底しているようですね。アナログではありますが、顔写真、名前、有効期限の部分のみが確認できるような仕組みになっていました。

会場には輪に並べられた人数分の椅子が用意されていました。

自分のパスポートを透明なケースに入れて席に座れ、とのことでした。緊張や楽しみ・スリルに満ちた会場の空気は何とも言えないものでした。

会場の注意事項には、本ゲームは1を最弱の数字として扱い、例えばトランプであれば、A=1、J=11、Q=12、K=13として扱い。Aが最強といったルールも存在しないということが明記されていました。

この辺で、ゲームにトランプが用いられることが発覚しました。

さて、人が集まり、扉は閉められ、狂気のゲームは始まっていきます。

OPで発表された事実は以下の通りです。

・ゲームは3フェイズに分かれており、その結果、決定された最下位2人がファイナルゲームに進み、真の敗北者を決める。
・敗北者は、パスポートを運営によって没収され、その返却期限は不明

とのことでした。没収と返却期限不明??? これは普通に困ります。つまり、明らかになったのはこのゲームは自身のパスポートの保持権を賭けた本物のデスゲームだということです。

今まで、デスゲームの名を冠した脱出ゲームやイベントはそれになりに参加してきました。しかしそのどれもが物語の設定上での死であって、負けたところで悔しいくらいで自分自身に害があるということはなかった。当たり前です。

しかしながら今回は違います。負ければ本当にパスポートを奪われる、本当のデスゲームに参加することになりました。

同意の上での行使を目的としないパスポートの預かりは法律上はセーフで、まさに法律すれすれ炎上覚悟のデスゲーム、どうして開催できて、そしてどうして人が集まったのか、まさに狂気としか言いようがありません。

さあ、ゲームの開幕です。1stゲームに進んでまいりましょう。

1st GAME『1.2.3 HIGH and LOW』

狂気のデスゲーム最初のゲームは『1.2.3 HIGH and LOW』
ルールについてザックリ説明します。

①まず、プレイヤーは1,2,3のカードを一枚ずつ、合計三枚配布される。
②他プレイヤーと相談する時間が与えられる。
③プレイヤーは最初に1枚のカードを提出する。
④一枚ずつ人数分回収されたカードのうち、最も枚数が多かった数字が場の数字になる。
⑤プレイヤーはその後、残りのカードのうち一枚を胸に掲げ、そのカードが場のカードの数字と一致すれば勝ちというゲーム。

『1.2.3 HIGH and LOW』のルール

つまり、多くの人が提出するであろう数字を手元に残し、胸に掲げることができればこのゲームには勝利することができるわけです。

ただ、このまま何も相談せずに提出が行われれば1/3のただの運ゲーです。もちろんプレイヤーはそんなくだらないことにはしたくないので駆け引きを始めました

ちなみにこのゲームは合計二回行われ、ゲームに勝つとシールをもらうことができます。このシールはこの時点ではゲームを有利に進めることができるということが伝えられているだけでどのような意味を持つのかはわかりませんでした。1ゲーム目では1枚、2ゲーム目では2枚もらえます。つまり、2戦目の方が重要なわけですね。

ここで一度スクロールを止め、参加したつもりになって作戦を考えてみてください

それでは、ゲームの方に戻りましょう。いったい何が起こったのでしょうか。

ここでプレイヤーの一人が、全員でシールを二枚獲得することができる作戦を提示しました。つまり、1ゲーム目は捨てて、2ゲーム目で勝つという作戦です。

概要はこうです。1ゲーム目では全員で2を出して1を胸に掲げて負ける。つまり、3を手元に残します。そして2ゲーム目では、残した3を提出し、補充された3を胸に掲げるというものです。こうすることで確実に2ポイントを得ることができるというわけでした。非常に合理的です。

ですが、すべてのプレイヤーがこの作戦に乗るとは考えにくいです。多くの人が2を出すのであれば最初は1を提出し、2を手元に残せば1ゲーム目で勝利し、3も残っているので2ゲーム目も勝利できる。つまりほかのプレイヤーに先んじて3ポイントを取ることができるのです。これが今回の駆け引きとなりました。

私は迷いましたが裏切りませんでした。ポイントは何に使うのかわかりませんが、この作戦の成功率は高く、裏切り者が出ても、2ポイントと3ポイントで1ポイントの差しかつかない。残り2ゲームを残した状態で1ポイントのためにヘイトを買うのは得策でないと判断し、作戦に乗りました。

特にこのゲームは勝者を決めるゲームではなく、敗者を決めるゲームです。そういった点からも私は保守的な道を選択しました。

さて結果は、裏切り者が6人でした。多くも少なくもないかなという印象ですが、一つ確かなのは作戦が成功したことです。参加者は27名、つまり裏切りものが過半数を超えた14名以上いなければこの作戦は実行可能からです。

第2ゲームでは裏切り者の一人がヘイト管理のために1と2を会場の床に捨てましたが、この行為には何の意味もありません。なぜなら裏切り者が過半数いない以上裏切り者が何を出すかはどうでもよく。むしろ3を出すのは必然なので、かえって裏切り者と印象付ける結果となりました。

さて結果は、最初に作戦を勘違いして札を間違えてしまった方一人とシールを三枚獲得した裏切り者を除き、マジョリティはシール2枚となりました。当然私はこのマジョリティに属しています。

シールはパスケースに貼られ、裏切り者がわかりやすく浮き彫りになったという結果でした。

さて、これにて第一ゲームは終了です。次は、第二ゲームへと参りましょう。

2nd GAME『ダブルブッキング山手線ゲーム』

ポイントの正体

さて、ここで早速ですが、ポイントの正体がここで明らかになります。

ここから参加者はラベル付けされ、ゼッケンを着ることになりました。着るのは山手線の駅名が書かれたゼッケンです。

シールが最も多い人、つまり今回は裏切り者が一番初めにゼッケンを選ぶことが可能になります。ゼッケンによって参加者の序列が確定します。

ゼッケンには駅名のみが書かれており、その序列は一日の平均利用者数が追い順となります。つまり利用者数が多そうな駅を先に選べるという点でポイントが高い人が有利になるというわけですね。

同ポイントの中では、トランプをひき、数字が高い人からゼッケンを選んでいくことになります。

2ポイント獲得者は20名おり、13枚では足りなかったのでハートの1-7、クラブの1-13の中からカードをひき、ハートの7から1、クラブの13から1の順でゼッケンを選択していきました。

ちなみに筆者はクラブの4をひいてしまい、だいぶ最後の方に選択になってしまいましたが、ちょうど行きの電車で乗り換えに利用した西日暮里が残っていたので選択したところ、結果は序列17位、トランプの引きからしたらかなりいい選択をできたのではないではないでしょか

ゲームの開始

さて、こうして『ダブルブッキング山手線ゲーム』が始まっていくわけですが、ルールは簡単です。ルールは。

まずは、選択したゼッケンをもとに参加者は山手線の駅順で輪を作ります

そして、その順番で山手線ゲームを行っていくわけですが、同時に2つのお題で山手線ゲームを行います。開始位置は輪のちょうど真反対から始まることになります

ここで、山手線ゲームのルールについて簡単におさらいしておくと、お題に合わせた単語を順番に言っていき、すでに出た単語を言ってしまった場合、またはお題に合わない単語を言ってしまった場合に脱落になるというゲームになります。

つまり、出た単語をすべて暗記し、出ていない単語を思い出すという作業を並行して二つのお題で行わなければならないという鬼畜仕様です。

肝心のお題は、小学校一年生で習う漢字と都道府県でした。ゲームは緊張感とは裏腹に淡々と進んでいき、脱落者を出しながらも皆さん優秀でかなり続いていきます。

結果、都道府県が全て出切ったところでゲームは終幕となりました。都道府県を全部出すって何気にすごくないですか??? これには運営の方の予想を超えてしまったらしく、本来2ゲームやるつもりが時間の関係でこの1ゲームに短縮となりました。とんでもないですね。

ちなみに私は二週目の都道府県が回ってきたので残り3個かな?というあたりでかなり厳しかったのですがなんとか耐えました。本当に死ぬかと思った。このゲーム、私はノーミスでクリアすることができました。

それでは、いよいよ大詰め、最後のゲームに移って参りましょう。

3rd GAME『じゃんけんパスゲーム』

さあ、第三ゲームは『じゃんけんパスゲーム』です。

ルール説明

その名の通り、じゃんけんではあるのですが、詳しいルールを説明していきます。

まず、プレイヤーはグーチョキパーのカードをそれぞれ3枚ずつに加えて、パスカードという特殊カード1枚を含んだ10枚のカードを配布されます。

じゃんけんの手の強弱については普通のものと同じになります。

会場にはグーの部屋、チョキの部屋、パーの部屋という三種類の部屋が用意されており、プレイヤーは二人でその部屋に入り、勝負を行います。

この時、プレイヤーは裏向きで三枚のカードを突き合わせ、カードをオープンし、勝負を行います。実はこの勝敗については直接的な意味を持ちません。それぞれの部屋では「カウント」が行われます。カウントというのは、すべての勝負においてどの手で何回勝たれたのかというカウントです。

ただし、チョキの部屋でチョキが勝った場合、1回の勝利につき、3倍のカウントがされることになります。パーやグーの部屋でも同様に、部屋の名前の手で勝利した場合、カウントが3倍になります。

対戦終了後は、出した三枚のカードはまるまる相手のものと交換されることになります。

※試合以外でのカードの譲渡・交換は一切禁止されています。

そして、同じプレイヤーとは2度と対戦することができません

次に、パスカードについてです。

パスカードが対戦する3枚の中に含まれていた場合、その勝負はなかったことになります。そして、特殊ルールが発動します。

まず、どちらか片方のプレイヤーがパスカードを使用した場合、パスカードを使用していないプレイヤーが出した3枚のカードはすべて破棄され、その部屋の名前のカードが3枚配布されることになります。

次に、両方のプレイヤーがパスカードを使用した場合、場にあるカードを含めて手札と合わせたすべてのカードが一度破棄されます。そして、その部屋の名前を持つカードがそれぞれ9枚配布されることになります。

また、プレイヤーは計5回勝負を行う必要があり、ゲーム終了時点で5回対戦できていない場合は不足対戦回数分のカードを手札から破棄することになります。

ゲーム終了後、すべての部屋におけるカウントが集計され、じゃんけんの手の序列が確定します。これは手の強弱が変わるというわけではなく、カードに付与されるポイントが確定します。カウントが多い順に、50pt, 40pt, 30ptと点数が付くといった感じです。

プレイヤーは最終的に手元に残ったカードの合計点の高い順に順位を付けられるというわけです。

ちなみに開始十五分後に中間発表があり、全体のカウントが公開されます。

ゲーム開始

さて、ゲームが始まりました。このゲームは協力が不可欠なのは明瞭な話です。先手を打つためにすぐに近くのプレイヤーと徒党を組みました。

ここで再びスクロールを止め、参加したつもりになって作戦を考えてみてください

それでは、ゲームの方に戻りましょう。いったい何が起こったのでしょうか。

最初は二人で話をして、もう一人協力者を募ることにしました。作戦はこうです。

チョキのカード三枚を3人で回してグーのカード三枚に勝たせるということをグーの部屋で三回行うことで、お互いの手札を一切変えることなくグーのカウントを3人で27上げることができるというものでした。

これによってグー以外のカードを使って残り2回勝負することで点数を高めることが可能ですがこれではまだ弱いです。

ここで、グーの部屋でお互いにパスカードを突き合わせることでグーを九枚にし、確実な勝利を狙えることに気が付きましたが、3人チームでは、2人はパスカードを突き合わせることが可能ですが、一人だけパスカードを突き合わせることができなくなってしまうのです。

ここで、1人増やし、4人チームで同様の循環を行うことで、27カウント増やしつつ、パスカードの突合せが可能になるという完璧な作戦となりました。

ただしここで問題が発生します。この作戦を実行するには全員の手札が同じである必要があるということです。このままでは対戦回数が3回になり、追加でチーム外の人間と2回対戦する上で手札を崩さずにキープしなければ、作戦が実行できないか、最終的に2試合分のロスで2枚のカードを失う必要が発生してしまいます。

ここで、同様の作戦を考えている別のチームの人間とグーチョキパー3枚の同じカードを交換(対戦)する消化試合を二回行うことで、この問題を解決することができました。

この時点で2チームで同じことが行われている以上54カウント分がグーに上乗せされることになり、かなり勝利へと近づくことになります。

本当は早くにこの作戦を行っておくつもりでしたが、中間発表を待ち、その時最大カウントであったグーに対してこの作戦を実行することで勝利を確実なものにしました

さて、多くのプレイヤーはグーが最大のカウントになることに気が付き、パスカードの突合せを始めますが、皮肉なことにプレイヤーは27名。つまり、誰か一人はパスカードの突合せができない。一人負けすることになります。結果、ファーストゲームの裏切り者の一人がその矢面に立ち、一人負けすることになりました。

ファーストゲームの裏切り者はパスケースに貼られた3枚のシールが目立ち、第三ゲームでは如実に交渉が不利になっていていかにも信用のゲームというのをひしひしと感じた。

今での彼の煽り文句は忘れられません。がけっぷちに立った人間のあがき、これぞデスゲーム、品川、最高だよ。

結果は、品川の一人負けだった。そしてファイナルゲームへ。

Final GAME『???』

さて、ここでポイントの集計が行われ、ファイナルゲームに進む最下位の二人が決定されることになりました。

最下位は、品川。もう一人は…..

順当に進むと思っていたゲームは最後の動きを見せる。

ここで、パスゲームのルールを思い出してみよう。

序列について、何か言及がなかっただろうか。

そう、それは……

会場の注意事項には、本ゲームは1を最弱の数字として扱い、例えばトランプであれば、A=1、J=11、Q=12、K=13として扱い。Aが最強といったルールも存在しないということが明記されていました。

冒頭の注意事項

1が最弱なんです。

つまり、最後の最後のどんでん返し、ファイナルゲームに進むのは、最下位の品川と現在の序列が”1”位だった新宿になりました!!

激アツすぎる。

1位で高みの見物をしていた新宿が一気にどん底に落とされる。いやあ最高でしたね。

そして最後のゲームの内容は……

じゃんけん:
3種類の指の出し方(グー・パー・チョキ)でいわゆる三すくみの関係を構成し、その強弱関係により勝敗を決める遊戯である。

Wikipedia より

そう、ただのじゃんけんでした。

ファイナルゲームは泣いても笑っても一本勝負、パスポートが没収されるかどうかはただのじゃんけんで決まってしまう。あまりに残酷なものです。

そして、最後の勝負の結果は……

品川の敗北!!!にて終結しました。

新宿は渾身のガッツポーズをし、品川は床に崩れ落ち

「どうしてだよおおおおおおおお!!!」

いやあ、最高でした。このデスゲームを最も楽しんでいたのは彼だったのかもしれません。会場はもちろん大沸きでした。

こうして、狂気のデスゲームことパスゲームは閉幕することになりました。

総括

ちなみに品川のパスポートは運営により本当に没収され、返却予定日も不明だそうです。恐ろしいですね。下手をしたら自分もその立場になっていたかと思うと震えが止まりません。ちなみに私、西日暮里ことえあさんは13位で終わりました。

間違いなく最高の夜でした。とんでもなく楽しかった。こんなもんは非常に残念ながら再演されることはないので、あの感動を少しでも伝えられればと思いこの記事を書きました。

こんなひりつく体験は今後の人生で類を見ないでしょう。この体験をしてしまったら、もう普通のゲームでは満足できなくなってしまう。正直それが、パスゲームの最も恐ろしい点です。

ありがとう、PADDLE。ありがとう、島倉さん、沙竹唯さん。そして、この公演に関わった狂ったスタッフと参加者たちに最大の感謝を込めて


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学部から分野を転向し東京大学大学院学際情報学府に合格

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