
#17 オリジナルプリント持っていますか?
1. オリジナルプリントを持っていますか?
みなさんは、オリジナルプリントを持っていますか?
私は現在、4枚のオリジナルプリントを所有しています。それぞれに特別な思い入れがあり、購入までに悩んだものもあります。今日は、その4枚についてご紹介します。
1枚目:JOSEF SUDEKさんの作品
一つは超有名人と私は思っていますが、写真好きの人も知らない写真家の写真です。名前はJOSEF SUDKさんと言います。私が持っているプリントは彼が亡くなってからのプリントで、サインではなくスタンプが押されています。そのスタンプが本物の証明になります。本人のサイン入りとスタンプでは価値がかなり変わります。
2枚目:中澤真央さんの作品
次に購入したのは、日本人写真家中澤真央 さんの作品です。
以前はSUDEKさんの写真を飾っていましたが、今月入れ替えました。購入の決め手は、その価格。オリジナルプリントとしては破格の安さで、「写真家の利益はほぼゼロ、もしくはマイナスでは?」と思うほどでした。
それでも私にとっては高価な買い物で、購入を1ヶ月悩みました。しかし、時間が経っても忘れられず、ついに決断。エディション管理されており、私が持っているのは#1 です。個展をレンタルギャラリーではなく、百貨店やギャラリーで開かれている方なので、実力のある写真家だと思います。この作品はもっと多くの人に知られてもいいはず。
3枚目:横谷宣さんの作品
3枚目は、日本人写真家横谷宣 さんの作品。これもエディション管理されており、私が持っているのは#7 です。
この写真は特に思い入れが深く、購入するまで1ヶ月以上悩みました。価格が高かったのもありますが、最終的に貯金を崩して購入しました。
実は、この作品は#10 まで販売予定 でした。しかし、使用していた印画紙の生産が終了してしまい、自ら印画紙を作って販売されていたとのこと。でも、それも難しくなり、私の写真が最後の販売作品 になるかもしれないそうです。まだ飾っていませんが、大切にしたいと思っています。
4枚目:小池貴之さんの作品
最後は、日本人写真家小池貴之 さんの作品です。本人から直接購入しました。
完成まで4ヶ月かかりましたが、それも納得。なぜなら、これはコロジオン塗布 という古い技法 を使った作品だからです。写真の初期に用いられた技法で、通常の印画紙プリントとはまったく異なる美しさがあります。
特にガラスにプリントされているため、光の反射が紙とは違います。興味のある方は、ぜひ実物を見てほしいです。
2. オリジナルプリントの買い方
2-1. 直接作家さんから購入する
今では、マグナム・フォトの会員をはじめ、多くの写真家がネット販売を行っており、作家さんから直接オリジナルプリントを購入することができます。
ただし、エディション番号(限定枚数)が付いている場合でも、その番号が厳密に管理されているとは限りません。実際にはエディション数を超えるプリントが存在してしまう可能性もあります。
また、一部の有名作家の中には、プリントのサイズや手法を変えることで、同じイメージにもかかわらずエディションをリセットし、新たに販売することもあります。
このような事情を踏まえると、「エディションはあくまで目安」と考え、本物であること自体に価値を見出して購入するのが良いかもしれません。
オリジナルプリントの世界は奥深く、作家の意図や市場の動向によって価値が変動します。作品を購入する際は、自分が本当に気に入ったものを選ぶことが大切です。
2−2. ギャラリーで購入する
ギャラリーは写真の売買を専門に扱っているため、安心して購入できます。ただし、ギャラリーの取り分があるため、販売価格はやや高めになります。
ギャラリーに直接登録されている写真家もおり、ギャラリーごとに販売価格が異なります。有名なギャラリーほど価格が高くなる傾向があり、写真家自身も作品の価値を高めるために、より評価の高いギャラリーへと移ることがあります。
写真を資産として購入する場合、まだ無名のうちに手に入れるのが理想的ですが、一般の方がどの写真家が将来有名になるかを見極めるのは難しいでしょう。そのため、「投資目的」ではなく、「本当に欲しい写真」を選んで購入することをおすすめします。
「欲しい写真は、そのときに買うべき」という考え方を象徴するエピソードとして、宮沢りえさんのお母様のお話があります。彼女は、まだ手の届く価格だった頃にアーヴィング・ペン(Irving Penn)氏の写真を購入し、長年部屋に飾っていたそうです。写真は時間とともに色褪せてしまいましたが、現在ではその作品の価値は購入当時よりもはるかに高くなっています。もし資産目的で購入していたなら、色褪せるような飾り方はしなかったはずです。この話からも、写真は「買えるときに買って、楽しむこと」が大切だと感じさせられます。
2−3. その他
ネットで個人販売されているものもありますが、あまりおすすめしません。本物かどうかの判断が難しいためです。ただし、価格が極端に安ければ、くじ引きのような感覚で楽しめるかもしれません。
本物だと期待せず、手元に届いたら自分で真贋を確かめる必要があります。それで本物とわかればラッキーですし、偽物でも「そんなものだ」と割り切れるなら問題ないでしょう。これは、ジャンクレンズを購入する感覚に似ています。ジャンクレンズは修理しないと何らかの不具合がありますが、それでも使えることが多いですよね。同様に、個人販売される写真も、何らかのダメージがある可能性と偽物の可能性があることを理解したうえで購入するのが楽しみ方だと思います。
3. 終わりに
私の家はとても狭いです。「6畳しかないから狭い」という人もいますが、私は6畳よりもさらに狭い部屋に住んでいます。💦
本当に狭いので、飾れる写真は1枚だけ。それに、借家なので壁に釘を打つこともできず、写真は壁に立てかけているだけです。それでも写真を飾りたくなるのは、写真に囲まれて過ごしたいからです。
私は10代の頃から写真が趣味で、途中でやめたりもしましたが、結局ずっと続いています。おそらく、死ぬまで写真を嫌いになることはないでしょう。
こんなふうに、写真に没頭する生活を送っていてもいいのだと思っています。むしろ、好きなことに夢中でいられることこそが幸せです。なぜなら、夢中になれるものがなくなってしまったら、人生の楽しみも失われてしまうと思うからです。
これまで多くの人を見てきましたが、10代の頃に熱中したことを大人になっても続けられているのは、本当に好きなこと、つまり「本当の趣味」なのだと思います。それは、環境や考え方が変わっても続けられる、心の底から楽しいことだからではないでしょうか。
皆さんにとっての「楽しいこと」は何ですか?
ご家族がいる方、さまざまな事情がある方、それぞれの環境があると思います。でも、子どもの頃に夢中になったことは、大人になっても楽しいと感じられるものかもしれません。時にはそんな思い出を振り返り、もう一度楽しんでみるのもいいかもしれませんね。
ここまで、読んでいただきありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。