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はじめに

敷かれたレールを逸脱する人生を運行しかけております森栖檸檬と申します.よろしくお願いします.
この記事では現代の現人神の一柱であられる中田ヤスタカの楽曲の特徴の一つであると筆者が考える「調性の逸脱」について述べるという体で,Perfumeの楽曲のここ好きポインツを書き並べていきます.
あくまで調性という観点にのみ着目していきます.調性は音楽を構成する重要な要素ではあるものの,同時に音楽を構成する要素のごく一部でしかありません.他の要素については他の人にお任せします.よろしくお願いします.

中田ヤスタカはPerfume以外にも至る所で楽曲を書いているのになぜPerfumeなのかというと,大した理由はなくて,CAPSULEでの実験の成果を「普遍」が求められるポップスの場で結実させているPerfumeでの逸脱っぷりを見たいからというのが建前で,Perfumeが好きだからというのが本音です.にんじゃりばんばんとかひかりのディスコとかの話もしたかったのですが,他の人にお任せします.よろしくお願いします.
Perfumeを能動的に聴き出したのは2023/7ごろ,中田ヤスタカのヤバさをちゃんと認知したのはもっと最近で2024/12ごろっぽいです.つまりそんな感じのニワカが書いてる記事なので生暖かめに見てください.
めちゃくちゃ個人的な話で恐縮なんですが,ネビュラロマンス後編がリリースされて,ライブ行ってみたいな〜と思って喜んでいた矢先に活動休止宣言されたので悲しいです.が,本人たちの幸せが一番です.ライブビューイングがあって本当に良かった.

対象とするのはオリジナルアルバム(GAME, ⊿, JPN, LEVEL 3, COSMIC EXPLORER, Future Pop, PLASMA,ネビュラロマンス前篇・後篇)収録曲とします.


調については基本的にはメジャーであるとします.一般的なメジャーあるいはマイナースケールから逸脱するような音使いを発見し次第コメントするという形になります.どのように逸脱しているかについて述べる際に,SoundQuestで提唱されているカーネル/シェルという表現を用いることがあります.

主にテンション,旋法,転調(部分転調含む),複調といった技法に注目していく感じです.また,これは!と思ったことについても何かしらコメントするつもりです.コードと音名を区別するために前者には大文字,後者には小文字を使います.表記するコードは「こういうつもりで作ったんだろうな〜」というお気持ちを表したものになるので,実際に鳴っている音を必ずしも反映したものではないということをあらかじめご了承ください.必要性を感じない限りはテンションは省略しています.また,一般的な記号を使っているとは思いますが,もしよくわかんないのがあればSoundQuestを見るなどしてください.おそらく書いてあります.
なお,採譜が正しいという保証は一切ありませんので留意の方お願いします.まあこれはヤバいコード使ってる中田ヤスタカの責任ということにします.

それでは出発進行!!!


GAME

ポリリズム

特になし.

plastic smile

特になし.

GAME

一昔前だったらロックバンドがエレキギターでゴリゴリ鳴らしてそうな曲をEDMでやってるみたいな曲.それもあってかパワーコードみがあり,メロディでebを踏まないことも合わさってじゃっっっかん調性が曖昧な気がするかも…?まあ普通にGマイナーだと思うんですけどね.

Baby cruising Love

大元のキーはE."ハッとして気が付いたら"でkey=EにとってのbVIIであるDを鳴らしながらもメロディはkey=Eを維持.次の"引き返せないほどの距離が"では同じくDΔ→C#mという進行だけどメロディがdを踏むことでkey=Aへの転調を示唆.その直後にCΔ→Bmという同形(IV→IIIm)の進行を用いてkey=Gへ転調.その後はAmでkey=Gを維持するのかと思わせておいて,F#m9/Bに進行して同主調転調によってkey=Eにナチュラルに戻る.作曲うますぎやろ.

チョコレイト・ディスコ

key=Eb.中田ヤスタカに特有という感じは全くないけど,サビ前にCb→Db(bVI→bVII)というノンダイアトニックコードがある.メロディはkey=Ebの範疇なのは流石.
逸脱はないけどサビのコードをちょくちょく変えてるのが飽き対策って感じで素敵.

マカロニ

key=Eb.よくある進行ではあるものの,イントロ2個目のコードからしていきなりAφ(#IVφ)だし,イントロ終わりもDb7→EbΔ(bVII→I)という外しっぷり.
Aメロの"歩くの"や"(やわらかいよ)ね"のところでピカルディしてて,前者ではメロディもeを踏んでいる.
サビではイントロの進行を再利用.
"最後の時が〜"ではkey=Gbに同主調転調.
ラスサビ終わりでそれまでFm→Db7→EbΔに乗せてた"でも安心できるの"を2回リフレインしてるけど,乗せるタイミング(もといコード)が,1回目Cm→Aφ→で2回目はAφ→AbΔ→と2回とも違うというのが凄すぎ.

セラミックガール

大元のキーはEbだけど途中でGbに転調する.

Take me Take me

Abm9→Ebm9を繰り返すkey=GbパートとBbm9→Fm9を繰り返すkey=Abパートがある.Abパートで時折入るFΔ/Gにめちゃくちゃ中田ヤスタカ味を感じる.

シークレットシークレット

key=E.イントロなどのC#m9→G#m9のG#m9(IIIm)のa#(kernel=4#, shell=9th)が中田ヤスタカ印.

Butterfly

民族音楽的なイントロが印象的.この段階では調性がかなり曖昧.
"薄い〜"以降ではベースの動き(b→f#→g→d→…)からkey=Dだとわかるようになって安心できる."(羽の)ように"などではF#m(IIIm)の上にg#(kernel=4#, shell=9th)を乗せている.

Twinkle Snow Powdery Snow

key=F.イントロがBm→BbΔ→Am→AbΔ→Gm→GbΔ→FΔと,かなりやってる.
その後は普通〜かと思わせておいて,落ちサビでイントロを思わせるBφ→BbΔ→Am→AbΔ→Gm→GbΔ→FΔというリハモをかましてきて好き.

Puppy love

特になし.

自分用メモ:#4=2, 旋法=1, 複調=0, なし=3


Take off

カウントダウン始まる前にBm→C#m/B→Bm→CΔ/B→Bm→Em/B→Bm→BΔみたいなことをやってる.詳細な記述にはコードスケール理論が必要そうだしそもそも耳コピが難しすぎるので泣く泣く割愛します…とりあえずbのベースの上で色々スケールを変えていることは確実.

love the world

サビでkey=Fでそれ以外はkey=Dというよくある転調の感じ.転調する箇所はEm→F#m→C9→Bm→Gm→Am→Bb→Cみたいな感じ.それまで鳴らしてたaとbとeからなるシンセリフを特に変えずにC9の上に乗せてるので,一時的にb♭とbで競合が起こっているのが面白い.めちゃくちゃどうでもいいことだけど単音のシのフラットをbbと表すとぱっと見で何のことかが頗るわかりにくいのでこの時だけちゃんと♭を使って,それ以外では(変換が面倒なので)bをフラットの代わりとして使います.
わざわざ取り立てるほどでもないけど,"チュチュチュ"のGm→G#m→Amがまあ逸脱と言えはする.

Dream Fighter

特になし.

edge

基本的にキーはFマイナー."(123)4"や"そうなんだね〜"前の間奏でaを鳴らして一瞬の浮遊感を演出.
"say loving you yeh!"の後のM2上行m2下行を繰り返す機械的なフレーズでまさに調性から逸脱.
その後さらに"Down Down〜"あたりの声を崩してきて,dとかを鳴らしてる.
"誰だって〜"のAbΔ→Cmの進行のCm(IIIm)の部分で本格的にd(shell=9th)を鳴らして逸脱!
アウトロの声ネタでもやはりdを鳴らしてくる.
メロディでdbを踏むことはないし逆にインストがdを鳴らすこともないので,FドリアのメロディとFエオリアの伴奏が混在していると解釈できなくもない.

NIGHT FLIGHT

key=Eb."(take off from the) base"のところでDbΔ(bVII).
"(いつもと) 違う角度(から見た)"のところなどでBbΔ(VΔ)というレアな和音を鳴らしてくる."(刺激的で甘い)わ"でピカルディ.
アウトロ(Cm→Gm)のシンセはGm(IIIm)のところで,奇数回目にb♭ a gで偶数回目にb♭ ab gと意図的にスケールを変えてきている.リスナーを飽きさせない工夫がすばら.

Kiss and Music

Cルートの上で,シンセのフレーズはgとdbとb♭とabを鳴らしているのに対してエレピやメロディはdやaを鳴らしてくる.CドリアとCフリジアが混在していると解釈できる.

Zero Gravity

この曲だけで記事一つ書けてしまうくらいにはヤバい曲.一言で表すとkey=Fとkey=Abの間をありえないほどシームレスに転調しまくる曲.
大枠のコード進行を書きます.
サビ:FΔ→Gm→DbΔ→Cm(ここまでkey=Ab)→FΔ→Gm(key=F)→DbΔ→Cm→
Bbm→Cm→Eb7→Fm→Bbm→Cm→DbΔ→C7→
FΔ→Gm→Bbm(key=Ab)→C7→FΔ→Gm(key=F)→DbΔ→Cm→
Bbm→Cm→DbΔ→Eb/F→Bbm→Cm→DbΔ(key=Ab)
間奏:Cm7/F→Gm→Cm7/F→Gm→DbΔ(key=F)→
Cm7/F→Gm→Cm7/F→Gm→DbΔ(key=Ab)
Aメロ:FΔ→Bbm→Eb7→FΔ→Bbm→Eb7→AbΔ→DbΔ→Cm→C7(key=Ab)→FΔ→
FΔ(key=F)→Bbm→Eb7→FΔ→Bbm→Eb7→AbΔ→DbΔ→Cm→C7→FΔ(key=Ab)
Bメロなど:Bbm→Cm→Bbm→Cm→Eb7→Fm→Eb7→
DbΔ→Cm→Bbm→AbΔ→GbΔ(key=Ab)→Gm(key=F)→C7(key=Ab)
テンションを省略しているのでわかりにくいけど,C7などの上に-9th(key=Abにおけるkernel=4)を乗せていて,それがスムーズな転調に貢献していることは間違いない.
逸脱という観点からだとBメロのGbΔ(key=AbにおけるbVIIかつkey=FにおけるbII)が美味しすぎる.
個人的に一番ヤバいなと思うのが,間奏で全く同じ進行を繰り返してるのにも関わらず,1回目はkey=F,2回目はkey=Abという世界の違いをシンセフレーズの音使いだけで見事に表現し切っていること.神.

I still love U

key=C.イントロでF→Em→DとかF→Em→Aとかやってる.
"願うなら"などではコードはD→Eと思いっきりkey=Aに転調しているものの,うまく元のkey=Cと共通する音を踏んで浮き上がりすぎないようにしている."(いってくれるよ)な"でF#φも同様だけど,サビ直前の"(そんなふたり)がいい"のE7でg#を鳴らして転調感をどんどん高めている.
サビの"(見)えないドア"などではE7→AΔと完全にkey=Aに転調して浮遊!
転調としては至って普通だけど,全体の構成を踏まえた転調度合いのコントロール具合は流石.

The best thing

key=F.3回目の"視線の行く先はどこ"でCm→F7みたいなリハモがかかっているっぽい.

Speed of Sound

GΔ→FΔの繰り返しが一時的にAΔ→GΔになったりしてる感じ(コードが合ってる自信はあまりない).中田ヤスタカっぽい感じはしないけど,メジャーセブンスでM2上下する進行はなかなかの逸脱っぷり.

ワンルーム・ディスコ

key=D."昼間みたい〜"がCΔ→Bm→Asus4→D→CΔ→Bm→Asus4→Bm→GΔ→D/F#→Asus4→Bm→CΔ→Asus4→Bmの進行の上に乗るcもc#もないメロディという,key=DともGとも判別がつかない展開をしている.
転調全然関係ないけど,イントロのサウンド(Em→F#m)がラスサビの合間に再登場するのすこすこ.

願い

key=Db.まずイントロ歌入り2個前の和音でCbΔ(bVII)を鳴らして軽くジャブ.
"早く目が覚めた今日の"などのGbΔ→FmのFm(IIIm)の上にg(kernel=4#, shell=9th)を鳴らしてリディア特有の浮遊感を演出.
そのすぐ後"キミは〜考えていた"ではAΔ/B→C#m→B/D#→EΔ→AΔ→B6→C#と同主調のkey=Eに転調しつつピカルディで再びkey=Dbに戻る.綺麗.
調性がどうこうという話ではないけれど,サビの1周目は456始まりなのに対して2周目は536始まりなのがリスナーを飽きさせない工夫としてとても良い.
個人的な偏見だけど普通の人だったら絶対サビの"距離は"のBbmをBbにするだろうところを頑なにBbmにしているところにひねくれとこだわりを感じる.そういう王道の技を使ってないのに泣けるのがすごい.

自分用メモ:#4=4, 旋法=4, 複調=2, なし=1


JPN

The Opening

key=Ebなのは明らかだけどちょくちょくCsus4を使っているせいかやや調性が曖昧に感じられる瞬間がある.

レーザービーム

伴奏は普通にCエオリアなのに対して,ピコピコシンセd c b♭ a gや"実る(果実が)"g a b♭などから判断できるようにCドリアが混在している.
Gm(IIIm)だけでなくCm(VIm)の上でもkernel=#4を鳴らしているのはこの曲が初かな.
"(光に)似てる"でG7,"君の素肌が"でAφというまあ普通の逸脱.
アルバムバージョンでは2番でリハモしているのも面白い.
この曲の複調に気づいたことがきっかけで中田ヤスタカに興味を持ち出したようなところはあります.

GLITTER

key=B.2回目の"笑って"やその後の"GLITTER"連呼の後にG#7?に進行してb#を鳴らしてくる.
さらにその後の"なんでも~"でEΔ→AΔ→A#m→A→G#7というリハモをかましてくる.

ナチュラルに恋して

イントロはkey=Cだがピカルディによってすぐにサビのkey=Aに転調.その後"(い)ちばんのほんもの"でDmに進行したりDの後にEmとか鳴らしたりしてkey=Cへの回帰を匂わせている.
"ぜんぜんがんばってくれない〜"ではRelated ii-Vと思われるEm→A7やDm→G7が見られる.
"キミは人気者だし〜"ではC#m→F#m→Em→DΔ→C#m→CΔ→Bm→AのEmとCΔでやはり別の調によりかかる.
はじめのサビ終わりではDmの後にはAに進行していたが,2サビ終わりではDmの後にGに進行してついにイントロのkey=Cへ回帰.これはラスサビ後でも同様.

MY COLOR

大元はkey=F."いつものように〜"ではGm→Am→Bb→C→DbΔという上行するベースラインを用いて綺麗にkey=Abに転調.その後はやはりCをピボットとして使ってkey=Fに戻る.2回目は転調しないというのがひねくれポイント高い.

時の針

key=Ab."ふと思い出す景色のように〜"ではBbm→C7→Fm→Eb→DbΔ→GbΔ→Fm→Bbm→C7→Fm→Ebm→DbΔ→Db/Ebという進行をしていて,個人的には2周目でEbをマイナーにしているのがすこすこ.

ねぇ

特になし.最後"ねぇ ねぇ ねぇ ねぇ"を繰り返すところでリハモしてて好きです.

微かなカオリ

key=F."このキモチも〜"で(Dm→)DbΔ→Cm→Bbm→Cm→Dφ→C/Eと一時的にkey=Abに転調する.
ハーモナイズの話になってしまうんだけど,冒頭(と3回目の"やさしいキミの〜")のサビはVImから始まる下行形なのに対して,ワンコーラス済まして迎える2サビはIVから始まる上行形になってて,さらに1,2,ラスサビの中での2周目"やさしいキミの〜"ではBbΔ→BbΔ→Am→Amとベースを維持するようにしていて飽きさせない工夫が細かくてすこすこすこ.
3サビ後も同様にkey=Abに転調するけど6個目の和音のCm(IIIm)で多分お得意の9thを乗せていてとても良い.

575

特になし.

VOICE

key=E.冒頭(と6回目)の"Everything you need to know〜"では他と違う進行をしていて,"(輝く宝)石みた(いに)"ではDΔを使っていてしかも最後ピカルディする.
"点と点を〜"などでDΔふたたび.

心のスポーツ

特になし.

Have a Stroll

key=B.逸脱してないんだけど,イントロから続く進行では,前半はE/C#→F#/D#→E/F#→F#/G#という動きをしているのに対して,後半はウワモノは同じままでe→d#→e→d#という動きを繰り返して最後はc#→f#で締めているというように違いをつけている.
"どうしよう〜"ではEΔ→Em6→D#m→F#/G#を2回繰り返した後で同形のメロディをEm→Em6→DΔ→Bmに乗せてkey=Dに転調.その後はC#m→D#m→EΔ→E/F#とkey=Bにシームレスに戻る.同主調だから戻りやすいっていうのもあると思うけど,C#m→D#mの上に乗せるメロディとして両方の調に共通するbとc#を選択しているのもでかそう.
そして"Have a stroll〜"でEm→A7(→BΔ→G#m)とkey=Dに一時転調.この時もbとf#とeという両方の調に共通する音を選択している.その後はEm→EΔ/F#→D#m→G#m→EΔ→D#m→G#m→B7/F#→C#m→E/F#→BΔという感じで逸脱を続けながらも同じ進行を繰り返さないというこだわりっぷり.
その後の間奏はC#m→C#m→D#m→G#mの繰り返しで,思った通りというべきかD#m(IIIm)に9thを乗せている.

不自然なガール

key=F#."もうもう遅いのかな"などでD#にピカルディ.
2回目の"相談があるからって〜"でG#m→A#m→B/C#→C#/D#を2回繰り返すリハモをして,その後元の進行(BΔ→A#m→B/C#→D#m)に戻るかと思いきや,BΔ→A#m→G#m→F#Δ→EΔ→B/C#→A#7とちょっとした逸脱をかましてくる.

スパイス

イントロからぶっ放してくる.細かいテンションを一切無視して大枠を記述するとFm→Gm→Dm→Emみたいな調性のわからん進行から始まる.歌が入る前は前半2つと後半2つで別の調(FドリアとDドリア?)になるように音を散りばめている感じがするけど,歌が入ることでFm→Gm→Dmはkey=Eb(またはBb)っぽく,Emでkey=Gに転調しているような意味づけが与えられる感じがある.Dmで歌メロがb♭を鳴らしていてもアルペジオでは構わずbを鳴らしているっぽいので,ちょっとした複調が起こっている.最終的にDmがGへと進行して調性が収束し,その後key=Ebに着地する.
かと思いきや,"何か起こすの"(Cm)で歌が一段落ついた途端にEΔ→F#→G#m→EΔ→D#m→G#m(key=B)→GbΔ→Ab→Bbm(key=Db)→Bm/E(key=D?)→Cm/F(key=Eb)と怒涛の転調ラッシュを決めてくる.その後はAbリディアの伴奏の上に冒頭のメロディを乗せてくる.
さらにその後は一度提示したのと同じような流れを辿るものの,ラスサビ後の"ワクワクが欲しい"などを(マカロニのそれと同じように)それまでとは違うタイミングでリフレイン.

自分用メモ:#4=3, 旋法=2, 複調=2, なし=3


LEVEL 3

Enter the Sphere

メロディはG#エオリアだけど伴奏は時折G#ミクソリディアっぽい響きを鳴らしている.
かと思えば歌が一段落したところでEドリアへ転調.かと思えばcのナチュラルを鳴らしてEエオリアっぽい響きを混ぜてくる.その後元のG#に回帰.

Spring of Life

イントロでb♭→aというsus4解決の流れを作りメジャー系を示唆しつつベースはf→gb→fというフリジアじみた動きをしていて,メジャースケールを親として出来るスケールから逸脱していることを感じさせる.歌が入っている間は普通にkey=Ab.

Magic of Love

key=A.サビ終わりでピカルディ.
"キミの心は〜"ではkey=Cに転調.
中田ヤスタカはめちゃくちゃ綺麗に転調するイメージがあるけど,この曲は意識的に唐突な転調をやってる気がしないでもない.
1サビ後の間奏はシングルバージョンの方が面白いことやってて好きだけど割愛します.アルバムバージョンのシンセのフレーズも捨てがたいのでどっこいどっこいって感じですね.脱線しました.
ラスサビ終わりではF#からGΔ→F#m→FΔ→Em→Bm→C#m→F#という逸脱に次ぐ逸脱.でもピアノのトップノートはほとんどkey=Aの範疇なのでごく自然に聴こえる.

Clockwork

それまではGm→Bb/C→Dmという進行でDエオリアの振る舞いをしていたのに,2回目の"世界変えるわ(キミがステージ)"の後の"Wah Wah Wah"で急に,メロディはDエオリアで変わらないままEbΔ→F6→GmというでGエオリアの振る舞いをしだして複調化する.その後Gmで終始する形からそのままGmから始まる進行へと,何事もなかったかのように戻る.その後の"Wah Wah Wah 123"ではC7→Am→Dmという(これ自体はそれ以前と同じ)進行の後にまたGエオリアモードに突入."ぜんまい仕掛け 微笑んで"などではEbΔ→BbΔ→Gmにするなどちょっとした変化も加えてきている.

1mm

特になし.イントロのオーボエみたいなフレーズが"楽しめるかも"から鳴り始めるのが,そこから!?みたいな感じで面白くて好き.

未来のミュージアム

key=Ab.イントロからAbΔ→Ab/Gb→Fm→FbΔ→Gb6→Abというよくある逸脱.
"(みんなで)行こう"のBb/Ab,"(広が)る世界"のBb7でジャブ打っといて,"手をかざして〜"で同じ進行を繰り返すというフェイントからの"(素敵)な何かが待ってる"で(Fm→)Dbm→Bb7→Eb7→Abという進行によるストレート一時転調(?)が決まる.
その後も"(希望を)胸に"でCm→C/E→Fmでジャブ打ってからの"扉開(けて)"でDbmストレートというコンボをかましてくる.

Party Maker

入りは普通にAbメジャー/Fマイナー.その後のdrop?ではf→ab→fというベースの上にf→b→gbというリフを乗せていて,bをcbと解釈すればポップスではかなり珍しいロクリアを使っているとみなせることになる.その後はcやgといったFエオリアの音を鳴らして歌パートに戻る.
2回目の"Your Party Maker"の後ではkey=AbでCmに9thを乗せている.

ふりかえるといるよ

key=Db.イントロやアウトロ付近でCm→Dm(VIIm→#Im)という激レア進行を何度か鳴らしてくる.進行先の1つであるEbmに対するメロディックマイナーを意識してそう.
2回目の"ふりかえるといるよ"でCbΔ,3回目の終わり際のFmの上にg(9th),4回目でCm→CbM7-5→Fという恐怖ゾーンあり.
最後の"なにかお(かしいなあ)"でCbΔ使用.なにかおかしいどころではない.

ポイント

key=Gb.イントロの2(と6)個目の和音Bbm(IIIm)でc(shell=9th, kernel=#4).

だいじょばない

特になし.

Handy Man

サビ後の間奏で民族楽器っぽい楽器がc#鳴らしてて,その後のサビでも同じフレーズが鳴ってるのに対して,ベースはcを鳴らしていて,EドリアとEエオリアの複調になってる.
2サビ後の落ちサビ?ラスサビ?でリハモあり.

Sleeping Beauty

メロディやウワモノはEドリアだけど,"Sleeping Beauty"という歌詞が入っている間はベースはcを鳴らしていたりするのでHandy Manと全く同じ複調.

Spending all my time

特になし.d→f#→c#→bというトップノートに対してベースの当て方を変えてて面白い.

Dream Land

key=D.お得意のkernel=#4をいたるところで使ってくるけど,今回は冒頭の"(夢の中に住)みたくて"IIImだけでなくIΔの上にも乗せている.
2サビ後の"Come again, come again まだ戻れるよ"でベースがc→d→d#という動きをしていて,"(ボク)が引(くから)"でもベースがcを鳴らしている.本当にふわふわした夢みたいな雰囲気ですばら.

自分用メモ:#4=6, 旋法=6, 複調=4, なし=3


COSMIC EXPLORER

Navigate

特になし.

Cosmic Explorer

冒頭はFm→Bb7/F→Fm→Bb7/F→F7→Bbm/F→Eb/Fという進行で,よくあるVIm→II7の逸脱によくない(≠良くない)逸脱を重ねている感じ.
"Woo (Cosmic Explorer)"の部分はF→Db→Ab→Ebという進行をしていて,key=AbでFでピカルディしていると解釈するのが妥当か.
"星を離れて〜"ではDb→Ab→Cm→Bb→Bbm→Ab→Eb→F→Db→Ab→Eb→Bb→Bbm→Cm→Eb→Fという進行.2周目でちょっと変えてるのがさすが.サビ?前"(Seek new fi)eld"でC7.
2回目の"Woo (Cosmic Explorer)"の後の間奏ではFm→Bb7/F→Eb/F→Gm9→GbΔ→Fm→Gm→Am→Bbm→Cm→Db→Eb→Fm→Abみたいな自由すぎる進行をしている.
"(超えてい)く"でBb,"(魂だけが)永遠"でBb/Dという高揚感のある和音を配置.その後のスキャット?でF→F→Db→Ebというリハモを挟んでくる.

Miracle Worker

特になし.

Next Stage with YOU

特になし.

STORY

特になし.と書きたいところだが,ベースはe鳴らしてるのに数字を音階に当てはめると1がbになるし,なぜか9がdだし(cかc#とかならわかる,あるいは実は10って発音してるのかも)よくわからん.

FLASH

key=Db."速い時の中で ちはやぶる"などや,"今夜はこれからなの"の後の間奏にEbΔ/F(IIΔ/III)→Bbm→Cm(VIIm)という進行がある.
個人的にはシングルバージョンからこうも変えてくるかという勇気を称賛したい.調性からの逸脱という観点で見ればこちらの方が断然面白い.

Sweet Refrain

イントロはEm→F→Gでkey=Cっぽい振る舞いをしていたのに歌が始まった途端にkey=Gになってビビる.c b g b c b d bという共通するリフで滑らかさを高めている感じはする."(明)日がい(っぱい)"でFを使用.

Baby Face

特になし.

TOKIMEKI LIGHTS

key=C.冒頭サビは他のサビと進行が違っていて全体的に久石譲みたいなぼんやりとした音使いになっていて,"(進め)ボートのように"ではGsus2/B→E/C#というV→IIIの発展形みたいな逸脱がある.
その後の間奏(やサビの該当箇所)でEm9→D/F#みたいな逸脱がある.
"(銀河を)超えて"でEm9,"川上り"の後にC7."旅してたいよ"の後に"ああ 爽やかな〜"の進行をkey=Aに転調して演奏するけど,歌が戻ると流れをぶっちぎってkey=Cに戻る.ラスサビ終わりもAにピカルディするけど転調はしない.

STAR TRAIN

特になし.

Relax In The City

key=E.2回目の"暖めて欲しいの"の後にAΔ/B→GΔ/Aというリラックスタイムを設けた後でkey=Gに同主調転調してEm→Em→C→Dという進行を繰り返す.最後のDは同じルートのEΔに進行して元のkey=Eに戻る.

Pick Me Up

key=A."(輝く星空のよ)うな"でC#m9.

Cling Cling

key=D."おっきいハコの中〜"ではG→D→F#m→E→Em→D→A→F#mという進行の上で,g→f#→g→b→g,f#→e→f#→a→f#と同じ形のメロディa→g#→a→c#→aを使って華麗に転調.2周目はコードを変えてくることで,同じ展開にはしないことを予め示唆.
"I will cling to your chest"に対するコードの当て方を変えてきてるのすこ.
"この空を越える着(物)"や"光差した向(こうに)"でCΔ.

Hold Your Hand

key=G."不安で"でA7,"ねえ"でB7というコテコテの二次ドミナント.めちゃくちゃどうでもいい話だけど,タイトルもそうだしコーラスの充実っぷりからビートルズを想起してしまう.

自分用メモ:#4=3, 旋法=0, 複調=0, なし=6


Future Pop

Start-Up

特になし.次曲の要素入れるアルバムのインスト好き.

Future Pop

特になし.

If you wanna

特になし.

TOKYO GIRL

特になし.

FUSION

F#フリジア.でも1回目の"Yeah"や"Fusion"のちょっと前のビルドアップ?で駆け上がるエレピのフレーズがBドリアっぽく聴こえるから,複調になってる.

Tiny Baby

key=E.なぜかラスサビが終わった後にkey=Aに転調.

Let Me Know

特になし.

超来輪

特になし.

無限未来

特になし.

宝石の雨

key=Gb.イントロ(とラスサビ前間奏)7,8個目の和音がCm→F(#IVm→VII)という結構な逸脱.

天空

key=Bb."分か(らずに)"や"飛びたい"などでDbΔ(bIII).
ラスサビ前に間奏途中でkey=Dbに同主調転調.F(key=BbにおけるV,key=DbにおけるIII)のピボットを活かして滑らかに戻る.

Everyday

特になし.リハモ好き好き星人なので"You make me happy everyday"に対して色々なコードを当てていく形になっていて好きです.

自分用メモ:#4=0, 旋法=1, 複調=1, なし=8


PLASMA

Plasma

C#7→E7→C#7→DΔ→EというC#ミクソリディアを元にしてそうな世界から始まり,AΔ→F#m→EΔ→Bというkey=Eっぽいループを繰り返した後で,AΔ→F#mの後に再びC#へ帰還.次曲の要素入れるアルバムのインスト好き2.

Time Warp

key=E."宝物になる"などの後にBmがある.
2回目の"(思い出すの)さ"ではAmでリハモしてる.

ポリゴンウェイヴ

key=Db."太陽がなくて〜"ではGbΔ→CbΔ→Ebm→F/G→Gb6→Ebm→Fm→GbΔ→Ab/Bbというエロい進行をしている.
"ポリゴンウェイヴ"を連呼する間奏パートではCbΔ→Abm→Ebm→Fm9→CbΔ→Abm→Ebm→Fm9→CbΔ→DbΔ→Ebm→Fm→GbΔ→Ab→Bbmという激エロ進行をしている.
その後の落ちサビのところはGbΔ/Db→Ab7/Db→Ebm→Fm9→CbΔ→DbΔ→Ebm→Fm→GbΔ→Ab→Ab/Bbという感じでその前の間奏で使った進行を再利用しつつ,どエロいリハモをかましてくれる.
逸脱なんも関係ないけどサビでベースを細かく変えてて流石.

再生

サビはkey=F#."こぼれ落ちる涙の〜"で割と唐突にkey=Aに同主調転調.
"探していたの"の後のC#mで9th(key=Aにおけるkernel=#4).
"ヒカリ止まる命の 夢はとっくに冷めていた"ではDΔ→C#m→C#/E#→A#m→Bm→B/C#→F#という進行でめちゃくちゃ巧みにkey=F#に戻る.

Spinning World

key=A.サビではE/F#→B/C#→DΔ→D/E→E/F#→B/C#→DΔ→F/Gという分数まみれな進行にこっそりと逸脱を紛れ込ませている.F/Gの上にf#を連打するメロディを乗せていて,逸脱云々の前に,普通やらんやろみたいな和音をぶち当てる度胸と,それでいて自然に成立させられる技術をただただ賞賛したい.
"心揺らいで"でC#m→D#m(IIIm→#IVm).

マワルカガミ

key=D."(声が 背中推して 今日だ)って"などでEm→F#m→Gm.

Flow

key=C."何もこわくないふりをしていた"でEm11(あるいはD/E→Em).2回目の"Flow Flow Flowing clouds"でもおそらく同様.
"太陽に"などでBbΔ.

∞ループ

ずっとkey=Ebの同じリフを繰り返すミニマル系かと思わせておいて"今日も~"から一気に様子が変わる.元々f→g→b♭→cという動きをしていたベースが全音上がってg→a→c→dになる.メロディはkey=Ebで変わらないままで,かつabを踏んでいたので,ここで複調発生."世界がループ〜"でベースはeb→f→ab→b♭という元々の全音下に変化,今度はメロディも同じ調(key=Db)に移動.その裏でなってるシンセはgを鳴らしてたりする.
"僕の宇宙は〜"AbΔ→Cm→Fm→EbΔ→Cmというkey=Ebらしい安心感のある進行で元の調に戻る.ただし,ハモリを聴く感じ"僕の宇宙は"などの"は"の部分でaという音を当てていて,ここでも複調が起こっている.
その後の"世界がループ"では元と同じメロディに対してAb→Gm→Bb→Cmという進行を当てている.必然性のあるリハモ,最高.
その後ベースがe→f#→a→bからのc→d→f→gという動きになり,それに伴ってシンセのフレーズもkey=Aからのkey=Fという転調をこなす.一見なんの変哲もない転調をしているパートに見えるけど,元々のベースf→g→b♭→cとkey=Ebの関係をそのまま保つなら,シンセフレーズは本来はkey=Dからのkey=Bbとして然るべきところを変えてきているところが素晴らしい.その後は何事もなかったかのように最初のkeyに戻って終了.作詞と作曲がうますぎる.

Drive'n The Rain

Eb/Ab→F/Bb→C/F→Eb/F→F/G→C/D→AbΔ→Gmというめちゃくちゃ曖昧な進行からスタート.その後はAbΔ/F→Bb/FというAORの感じの進行でkey=Ebに安定.かと思いきや"街を覆って"でAbΔ/Db→Gm7/C→Fm7/Bb→F/Gという逸脱.
"ハンドルを〜"ではAm7/D→AbΔ/Db→EbΔ/C→C→AbΔ→Gm7→Gm7/C→Cという進行で転調してないと判断できるギリギリの逸脱を狙ってくる.
サビ後は冒頭からと同じ展開・進行をなぞるものの,"近づけるように"(とその後の間奏の該当する箇所)でエレピがaを鳴らすことで,VΔ/IIというクオリティが形成される.同じような工夫が"光の未来へ走ろう"(と間奏該当箇所)でもなされていて,Gm9/Cというaを含む形に変更されていて,kernel=#4を用いた逸脱をリスナーを飽きさせないための周回変化と絡めてお出ししてくれる.
2回目の"駆けるよユニバース"の後でDm7→EbΔ→F→Gm7→Dm7→EbΔ→F→Gm7→Gm7→AbΔ→Bb→Cm7→Gm7→AbΔ→Gm9→GΔ/A→AbΔ→Fm7/Bbという感じの,これまた転調してるとも逸脱してるとも言い切れない絶妙な音使いをかましてくる.

ハテナビト

特になし.

アンドロイド&

Ebドリアと解釈.Dbイオニアと解釈しても全然通りはする.どちらにせよ冒頭の"世界はいつまでも 生まれ変わらない〜"ではCbΔ→Bbm→GbΔ→Fmという進行をしていてCbΔが逸脱している.その後の"世界はいつまでも 広がり続け〜"では他のパートと同じくGbΔ→Ab→Ebmという進行をしているが,さらにその後の間奏と"痺れるエモーション〜"では冒頭の進行を再利用.
key=Gbで4を#4にするのをめちゃくちゃ高頻度で行っているようにも聴こえる.ここまで来ると逸脱というか,複数の調を融合しているようにも感じられてくる.

さよならプラスティックワールド

key=Db."グッバイプラスティックワールド〜"ではBbm→Fm→GbΔ→DbΔという進行を繰り返しているのに対し,直後の"さよならプラスティックワールド〜"ではEbm→Ebm→Fm→Bbm/F→GbΔ→GbΔ→Db/Cb→Ab7sus4(-9,-13)という感じで早くもリハモを披露してくれる.その後はGbΔ→Gbm→Fm→Fbm→Ebm→Gb/Ab→DbΔという半音下行を挟む感じで進行.
"幾千の〜"ではしばらくGb/Abを(間にAb/Bbを挟みつつ)続けた後,半音の平行移動を2つ挟んで短3度上に転調して同様にA/B(とB/C#)を続け,最後はC/D→D/Eと進行.そのままAΔ→G#m→F#m→EΔというkey=Eのごく普通の進行に進むが,直後にC#へと進行してサビのkey=Dbへの回帰を匂わせる.
"当然だって思ってた運命が 変わる 変わる 変えるよ"ではF#m→G#m→AΔ→A#φ→Ab9sus4と,key=Dbへと綺麗に調を変えてサビへと展開.真サビ?の進行はDbΔ/F→GbΔ→Bbm/Ab→Bbmの繰り返しで,冒頭の2つとはまた異なるという贅沢っぷり."(素)敵な未来で生きていたいわ"ではEbm→Gb7sus4→Ab7sus4という進行をかましてくる.
その後の間奏は元々の進行の前にGbΔ→Gbm→Fm→Fbm→Ebm→Gb/Ab→Ab/Bb→Bb/Cという進行が加わって増強されている.

自分用メモ:#4=5, 旋法=1, 複調=1, なし=1


ネビュラロマンス 前篇

The Light

key=Aと解釈.Bドリアでも良さそう.冒頭だけ他とボイシングが違う.Bm→F#m→Eという進行を繰り返す.
"(悲しい顔 人形)の街"ではEの上でメロディがd#を踏んでいてさりげに逸脱.

ラヴ・クラウド

これまたこの曲だけで記事が一つ書けるヤバ曲.調性からの逸脱という表現がまさに相応しい楽曲.
"I don't wanna dance〜"では,ウワモノがB→Bm→Am→Bb6を3回繰り返した後でB6→Bm(-13)→Am→Bbでパートを締めるという感じになっていて,それに対してベースは拍頭でe→a→c→d→e→a→b♭→c→e→a→c→f→e→a→b♭→cという音を当てていて,なんというか,コードネームで考えながら作ってないんだろうな〜というのを感じる.なのでウワモノとベースが独立していると解釈していくことにする.
"車走らせて〜"では,ベースを無視すると,DΔ→Am→DΔ→CΔというような進行をしている.ここでもやはりベースは和音を支えるものではなく,ある種の対旋律としての役割を果たしていると解釈するのが楽というか.
"恋に落ちる時はそう〜"は,全体的にヤバなこの曲の中でもとりわけヤバい箇所で,一つ和音が変わるたびに調性も変わっているといっても過言ではないように思える.ここの調性を一つ一つ判定することに意義を感じないので,メロディと和音に対する解釈を記述するに留めることにする.
歌が入っている部分がa→b→c#(A)→b→a→g(Fadd9)→f#→e→d(Em)→e→f#→g#(F#sus2)→f#→g→a(Am)→b→c→d(Bm)→c→b→g(G/F→G/D)で,その後のシンセフレーズの部分が(装飾を無視すると)g#(E/G#)→g#→f#→e(Cadd9)→d→c#→b(Bm)→b→c#→d#(C#sus2)→e→f#→g(Em)→f#→g→a(F#m)→b→c→d(Asus4)という様相になっているとみなした.ここからわかるのは歌部分とシンセ部分とで進行が概ね共通していて後者の進行は前者ののルートを完全5度上げたものになっているということ.
このルートの動きに注目して,中心軸システムとそこから得られる機能論を適用してみると面白いことがわかった.

中心軸システムの記事にもある転回形問題を避けるために,ウワモノ/ベース分離現象やルートの動きの共通性を考慮して,この部分の概念上のルートがa→f→e→f#→a→b→d→e→c→b→c#→e→f#→aであると仮定する.このとき登場するルート変化はM3↓,m2↓,M2↑,m3↑のみであり,見事に順行と保留(接続系理論の記事を参照)しかない綺麗な進行をしていることになる.
特に,(この曲全体の調を強いて決めるならEマイナーになると思うので)スタートのaをSとみなすと,この進行はS-D-T-S-S-D-D T-S-D-T-T-S-Dという動きになり,これだけ見るとかなり一般的な進行のように思える.
中田ヤスタカが中心軸システムをこのような形で扱ってこの進行を作ったのかまではわからないが,無茶苦茶をやっている割には異様に通りが良く自然に聴こえる理由についてはある程度説明できているように思う.
サビ後の間奏ではGiant Stepsを思わせるサックスのフレーズをぶちこんできている.流石にコルトレーンチェンジはやってなさそうだが,あれくらいの高度な音楽を何らかの形で参照しているんだろうなと思わせてくれるような楽曲.
この曲で中田ヤスタカのヤバさに気づいてPerfumeを聴き漁り始めました.

Cosmic Treat

冒頭はGΔ/C→AΔ/D→GΔ/C→AΔ/D→GΔ/A→AΔ/B→FΔ→Dsus4というような他とは異なる進行をしている.メロディのgとAΔのg#が混在している.
この後は普通にkey=G."shadows play"でいつものBm9(IIIm).ここ同じようなメロディで前半はCΔ→D/E→C/D→GΔで後半はCΔ→Bm9→Am→Emにリハモしてて好き.
"キミと踊る〜"ではG/C→A/B→G/C→A/B→C/F→D/E→C/F→D7sus4→Bm7(13)という感じの冒頭を思わせる進行.ウワモノとベースが広がる方向に反行している形になっているのがこの場面に合ってて流石.心が無重力になる気持ちよさ〜〜〜.

Starlight Dreams

冒頭やその後歌が入ってからしばらくはDΔ/B→EΔ/Bを繰り返した後でGΔや,GΔ→F#m9→Em9→F#m9や,GΔ→F#m9→GΔ→AΔ→Bm6をアペンドするような展開.BドリアとBエオリアの複調.Bミクソリディアとの複調でもあるとも言えるかもしれない.

IMA IMA IMA

"悲しみを持たずに〜"ではBm→F#m→A→G#m→G→D→A→B→F#m→A→E→Em→D→A→F#m→Bという進行の上でBドリアのメロディをベースにしながらあちこちの調へと逸脱している.
"カラダを持たない 心だけがこだまする"ではC#m→CΔ→Em→EbΔ→AΔ(+11)という進行の上でd# e f# g a b a d,e f# g a b♭ c b♭ g a g aという音を巧みに変位させた同形のメロディを繰り返すことで,自然さを確保しつつ調性の不明な世界へと誘う.
"現実世界に〜"ではEm9→GmΔ/C→A/B→Am→GΔ→F#7→A/B→Am→Em9→F#m9→GΔ→Em→F#m→GΔ→C7→F#7という進行の上で,a g f# e f#というフレーズをもとにしたメロディを繰り返しながら,key=DともGともつかない世界を様々な方法で漂わさせてくれる.

すみっコディスコ

key=Gが大元.冒頭"Watching Watching〜"は他と進行が違う.
"森の奥から"ではメロディがc#を踏んでいて,Eドリアになっている."受け止めて"の後のベースがaを鳴らしているところではシンセがa g# f# e c#と鳴らしていてAイオニアのコードスケールになっている.かと思えば"(一人)で"ではD7を鳴らしていて,逸脱に暇がない.
真サビ1回目の"Watching Watching すみっコディスコで〜"は普通なんだけど,2回目はベースがbを鳴らしている時にウワモノはAを鳴らしている.
"ディスコ ディスコ すみっコディスコ"はA→A→D→Em→CΔ→CΔ→Bm→Emを繰り返していてEドリアとエオリアの間の行ったり来たりをより顕著にしてきている.
他の曲にもそういう要素はあったけど特にこの曲はコードというよりスケールみたいな要素が大きいのでコード進行を採ってから考えるというやり方の限界を感じている.

Morning Cruising

冒頭や間奏はEΔ/G#→F#Δ/G#を繰り返した後G#m/F#→C#m/B→F#m/E→Bm/Aで歌入り.
"街が目を覚まして〜"はD#m/G#→EΔ/G#に乗せてG#エオリアとドリアを行ったり来たり.
"鼓動のリズムに〜"はEΔ/C#→F#Δ/D#→EΔ/F#→F#Δ/G#を繰り返してEΔ/F#で締め.こう書くと普通だけど,最後のEΔ/F#はそれまでとはボイシングが違っていて,よりサビ直前にふさわしくなっているのだけど,コード表記だとそれが表せられない… d#に対するブルーノートも逸脱と言えはするか.
"Morning Cruising〜"はF#/G#→G#m/E#→C#sus2→D#m→E→F#→F#/G#→G#m/E#→C#sus2→B/D#→C#/E#→C#/F#という感じでさりげない違いをつけつつ,中断してEΔ/Aで締め.
シンセソロはC#7sus4/G#→C#6→E/A→E/F#→C#7sus4/G#→C#6→E/A→G#/A#→G#7sus4/D#→C#7sus4/G#→C#6→E/A→E/F#→E-5/G#→G#m/C#→EΔ→A→D#7sus4/A#→D#7sus4という感じの進行.4度堆積を意識したボイシングになってると思うんだけど,やはりコード表記だとそれが表せられない…

タイムカプセル

key=B."いつか帰れる日が来るなら"の後にG#m→C#7を繰り返した後にG#sus4→G#という普通の逸脱がある.
"呼び覚ますこの タイムカプセル"の後にkey=G#に転調.

時空花

key=B."広がる世界"などのD#m(IIIm)で9th.
"花と"などでA.

メビウス

key=E.冒頭(とラスサビ前)はE/C#→F#/C#→E/C#→F#/C#→E/C#→F#/D#→E/F#→F#/G#という変化の少ない進行でためを作り,続く本格的なイントロでEΔ/C#→D#m/C#→EΔ→F#6→EΔ/C#→F#/C#→E/A→G#7と色彩を増してくる.シンセのフレーズはa#になっている.
"星屑が舞う〜"はC#m/F#→EΔ→C#mを繰り返した後,DΔ→C#/E#→G#sus4→G#であっという間にkey=Dbに転調.
"Space Girl〜"ではDbΔ→GbΔ→AΔ→Abm(9,11)→DbΔ→Bbm→AΔ→Absus4という,よくあるI→bVII→bVI→Vみたいな進行を三捻りくらいした進行を展開.key=DbとEの間のような状態に.
1サビ後の間奏はイントロを思わせるフレーズに対してAΔ→B→F#→C#→AΔ→BΔ→F#Δ→G#7sus4というような進行でリハモ.
最後の"宇宙の中へ果てへ"で唐突に転調(移旋)!Ab/Bb→DbΔ→Ebsus4sus2→Ab/Bb→GbΔ→EbΔ/Fというような進行で,最後まで逸脱してくる!

自分用メモ:#4=7, 旋法=6, 複調=2, なし=0


ネビュラロマンス 後篇

Cipher

c#の上でE→D#→D→C#を2回繰り返した後,eの上でE→F#→D→Eを2回繰り返し,F#に進行.その後2度下行を繰り返しながら上行していくフレーズに入るけど,途中まではイオニアb6みたいなスケールだけど最後はgb→f a→g# b→a#という半音のアプローチをかける形になってる.
"鍵を回せば〜"ではA→B/Aの繰り返しの上でAリディアのメロディ.
"僕は祈る〜"ではGΔ→F#m9→GΔ→DΔで多分key=D.
"キミがCipher〜"ではFΔ→Em→FΔ→Gsus2→A5で多分key=C.

再起動世界

冒頭はA→Em9→Am/D→GΔ/A→FΔ→CΔ/D→Bm/EからのBm/A→CΔ/Aの繰り返し.
"このカラダが消える前に〜"からしばらくはAドリア.
"この世界には〜"ではFΔ→GΔ→C/D→D/Eはkey=CともGともなんともつかない絶妙なバランス.
"再起動世界〜"からはまたAドリアだけど1回目の"Start again"直前ではよくわからないスケールになっている.
ラスト落ちサビ?では1回目の"意識の再展開"でA7になってる.ここの展開歌詞に合っててとても良い.

ネビュラロマンス

key=D.イントロやサビ1周目終わりのBm→B/C#→B/D#(VIm→VI/VII→VI/I#)がなかなかの逸脱.それでなくともイントロアウトロ終わりなどでピカルディしてたりする.
イントロ以外のパートは1周目は普通の進行だけど2周目の2個目の和音F#mで9th.
サビ直前でC/D(bVII/I).

ソーラ・ウィンド

大元はBドリア."(進め未来)Super"などではd#になっている.
"流れる星を見たら〜"ではBエオリア."(涙が)溢れちゃうの"ではF#7.メロディがb a# f# e a f#とa#への半音アプローチで(演歌のような)泣きを作りつつ,aでMelodic-Harmonic-Divorceして現代的な感じも出している."窓側"では(Am→)B7/D#."(心の雨止)むまで"でF#7.
"(強い風が吹いた) 太陽が"で(Em→)Eφ."眩しい太陽に 電波が狂いそうだわ"ではGΔ→F#7→Bm→E7/G#.サビのメロディからしてそうだけど,"(わた)し 少し おかしいわ"ではGmΔ/C→F#ではモロにIMA IMA IMAのセルフオマージュをしている.その後のf# g dのリフもそう.平行世界というやつですか?

Virtual Fantasy

冒頭はF#m/B→A/E→F#m/B→G/E→F#m/B→A/E→F#m/B→G#m/E→F#m/B→F#m→G#mという感じでさりげない変化の付け方がうますぎ.
"Virtual fantasy is my escape〜"ではF#m/B→C#m/F#→GΔ→DΔ→F#m/B→C#m/F#→GΔ→EΔという感じの進行の上でBドリア.
"Binary stars light my night〜"ではF#m/B→G#m/F#→G69→BΔ/D#→F#m/B→G#m/F#→GΔ→Bm/Eという感じの進行の上で,Bドリアまたはエオリア.g#もgも歌わなくなった一方で伴奏はd#を鳴らすように.
"No more boundaries no more walls〜"ではBm/E→C#m/F#→A/B→Bm/G→C#m/F#→D#m/B→Bm/E→C#m/F#→A/B→GΔ→EΔ→F#7sus4という丸サをn捻りしたような進行の上で,やはりどっちともつかないメロディを歌う.D#m/Bではa#とメロディのaとが衝突して複調に.2回目の"Virtual fantasy is my escape〜"後の間奏も同じ進行だけど2回目のA/Bの後にBm/E→C#m/F#→G#m→A#m/D#という進行をしている.

Teenage Dreams

冒頭はBとBmを交互に鳴らしている.他の楽器が入ってから(や間奏)はB→E/B→F#/B→E/B→B→E/B→F#m/B→Em/B→
B→E/B→F#/B→E/B→B→E/B→Bm/E→F#7sus4で歌に突入.さりげない変化が本当に美味すぎる.
key=B."冷たいジュースを〜"ではBΔ→D#m→G#m→F#m→EΔ→F#/E→D#m→AΔ→EΔ→D#φ→G#7→C#m→D#m→E→F#7sus4→F#7という普通のポップスを0.5捻りくらいした進行.
"(Teenage Future) Memories"でA.
最後の"帰ろう 帰ろう〜"でリハモしてて泣けポイントが高まる.

Human Factory - 電造人間 -

大元はBドリア.1,2回目の"この衛星の歯車で〜"の後の間奏はBドリア→F#ドリア→Bミクソリディア→F#mエオリアみたいな感じになってる.
"ある日誰かが〜"はEm→CΔ→C#φ(9)→F#7という表記になるんだけど,Emの上にe→d#→d→c#のクリシェっぽいラインを乗せたりCΔの上にab→g c→b eb→d →g→f#というGΔとそれに対するクロマティックアプローチをぶつけたりしててとにかく響きがキモい.メロディはgがナチュラルになってる.F#7ではエレピがF#ドミナントディミニッシュスケール(所謂コンディミ)でディミニッシュっぽい響きを作っている.
3回目の"この衛星の歯車で〜"の後の間奏はベースがe→bに変わっていて,その後の"ある日誰かが〜"の進行や"私たちは飼い猫〜"も同様に完全4度上がっている.ただし!メロディはそのままという(Clockworkと同じ)複調状態になっている.

Moon

key=Db."ないものねだりしても"と"Fuu"の間で一瞬Bbのdの音が聴こえる.

exit

逸脱してないけどイントロがAbm→Gb→Abm/Eb→Gb/Fb→Abm/Db→Gb/Eb→Abm/Gb→Gb/Abという進行.
"遥か前にも〜"はkey=Cb."(眠り続け)ていた"で(Ab7sus2→)Ab."星の中で"でEbm→Absus4→Absus4/Bb→Absus4/Eb→Eb7であっという間にkey=Abに転調.前フリがうますぎる.
"この世界は何周目?〜"で繰り返すのはAb→Fm→FbΔ→Db/Ebという,どこかで聴いたことのあるような進行.はい.メビウスのサビ後半とやってることは同じですね.伏線回収?人生何周目ですか?
"戻れば このループを閉じるわ exit…"ではCb/Db→Db/Eb→Cb/Fb→Fb/Gbというような進行でサビの循環進行を閉じる.
ラスサビ前の間奏でAbエオリア(またはドリア)からGbエオリア(またはドリア)に移旋する場面がある.FbΔ→Ebm9→Dbm→Abm→FbΔ→Ebm9→Dbm→AΔというドリアとエオリアを行き来する進行でラスサビに突入.

巡ループ

key=Ab."考えていた"の後や"(この時の輝)き"でAb7,"(心の炎)を"でF.ラスサビ後にAb→Bb/Abという進行を繰り返す.これまたメビウスの冒頭なんかを思わせる動きですな〜.

自分用メモ:#4=6, 旋法=6, 複調=1, なし=0


考察

*繰り返しになりますが,採譜が合っているという保証は一切ないため留意をお願いします.

計測すると,全110曲のうち,
一瞬でもリディアやドリアを想起させる響きのある曲が36曲,
フレーズにメジャー/マイナーではない旋法を使っている曲が27曲,
一時的な部分転調/移旋の範囲に収まらない複調を行っている曲が13曲
あるという判定結果になった(判定の仕方によって多少の増減はあり得る).
この数が多いと言い切るには比較対象が必要だが,適切な比較対象とは何かという議論については興味と気力がないため割愛.参考までに,たまたま似たような調査をしたことがあってデータがあるため,筆者の敬愛するMr.Childrenで同じような計測を簡単にしてみると,243曲のうちリディア/ドリアのある曲が11曲,旋法を使ってる曲が16曲,複調のある曲が3曲という感じになった*.Perfumeと同じくらいドポップで,かつJPop全体の中でも結構な工夫をやってる方だと思うが,それでも曲数としてはPerfumeの方が遥かに逸脱していると言える.

どのアルバムにもリディア/ドリアの響きのある曲かメジャー/マイナー以外を使ったフレーズのある曲のどちらかが必ず含まれている.このことから,たまたまそうなったとか一時期ハマっていたとかそういうレベルではなく「調性の逸脱」というテーマに対して(意識的にか無意識的にかはともかく)ずっと取り組み続けていることがわかる.

一方で,一瞬もノンダイアトニックコードを使わない,かつ転調もしない曲が25曲ある.今時のJPopでノンダイアトニックコード使ってない曲って(もちろんジャンルとかにもよるだろうけど)かなり珍しい気がする.調性の逸脱とか何も考えずに作っててもI7とかII7とかとかIII7とかIVmとかVmとかVI7とか何かしらは入るっしょ.所謂洋楽はノンダイアトニックコードを全然使わない印象があるので(もちろんジャンルとかアーティストにもよるだろうけど),影響を感じたりもする.アルバム通して聴いた時のメリハリを意識している可能性もある.ちなみにMr.Childrenで同じ条件の曲は5曲だったので,これも参考までに.

逸脱とまでは行かないため取り立てて記述しなかったが,よく言われるヨ(ナ)抜き音階やピカルディ,分数(ハイブリッド)コードの多用も,調性の曖昧化に大きく影響していると思われる.
また,リハモをよくやることも調性の逸脱に関係していると考えられる.中田ヤスタカがリハモを行っているタイミングから推測するに,彼がリハモを行うのは楽曲に変化をつけるためだと考えられる.この目的のためには元の進行とは大きく異なる和音をつける必要があるが,多くの場合,リハモ前についていた元の(普通の)進行から大きな変化をつけようとするとどうしても普通ではなくなるため,結果的に調性から逸脱することも多くなるのだろうと考えられる.

まとめ

僕の好みは普通から逸脱しつつあるので旋法とか複調とかリハモとかが性癖なんですが,そんなニッチな性癖を非常にポップな方法で刺してくれる数少ないコンポーザーが中田ヤスタカだと思っています.マジ神.
個人的にはCOSMIC EXPLORERとFuture Popがあんまり好きではないのですが,理由がやっとわかりました.特にないからですね.逆に⊿,JPN,PLASMA,ネビュラロマンスが好きなのは,特にあるからなんでしょうね.
とはいえ,じゃあ今回記述量が多くない曲が好きではないのかというと全然そんなことはなく,例えばポリリズムやTake me Take me,ポイント,Pick Me Up,宝石の雨なんかは別口で語りたいことがありありしています.冒頭でも述べた通り,調性は音楽を構成する要素のごく一部でしかないのです.

音楽史は破壊の連続ですが,クラシック音楽(とジャズ)が最終的に調性を破壊して,聴衆が離れ衰退したという事実から,ポップさを保つ上で調性は非常に大切であると言えるでしょう.そのような前提を踏まえた上で,中田ヤスタカは調性から逸脱しつつポップなのが本当にすごいということがこの記事で真に述べたかったことかもしれません.さらっと聴き流せば全然気がつかないくらいのバランス感でとんでもないことをやってくるというのが,Perfumeが色々な人に愛されている一つの原因なのでしょう.

謝辞

ラヴ・クラウドで衝撃を受けてから聴き漁っているうちに,リディアやドリアがやたら多いな~,やってんな~とは思っていたものの,彼がやろうとしているであろうことが「調性からの逸脱」という言葉で表せそうだと気づいたのは最近のことでした.なので改めて全曲を耳コピして記事を書くことにしたんですが,マジで疲れました.PLASMAから調判定すら困難になってきたので本当に死ぬかと思った.全部中田ヤスタカっていう人のせいなんです…!耳コピが上達したのは間違いないです.明らかにIIIm9と分数コードに対する感度が高くなってる.この経験が作曲にも活かせることは間違いない,というか既に分析の過程で得られたアイデアのおかげで2曲形にできました.耳コピの効能はお墨付きです.あなたも是非分析して記事にしてください.で,調性から逸脱したおもしれ〜曲を作ってください.よろしくお願いします.

改めて,中田ヤスタカと,Perfumeの3人に感謝を述べたいと思います.いつまででも待つので,パワーアップして帰ってきてくれることを楽しみにしています.











*Mr.Childrenの楽曲のうち,
リディアがあると判定したものがラヴ コネクション,フラジャイル,ゆりかごのある丘から,傘の下の君に告ぐ,ニシエヒガシエ,スロースターター,my sweet heart,I,Jewelry,REM,Party is over.
その他の旋法を使っていると判定したものが,上記(Party is overを除く)からロード・アイ・ミス・ユー,ティーンエイジ・ドリーム,花 -Memento Mori-,Monster,fanfare,SINGLES.
複調があると判定したものがDanse Danse Danse,DISCOVERY,Door.
中田ヤスタカがよくやるようなIIIm9みたいな形のリディア感があるのはParty is overくらいだし,誰がどう聴いても複調と言えるものはDISCOVERY(cとdbとdが同時に存在している)くらい.他はロックやブルースやジャズといった,旋法をある種慣習的に使うジャンルの影響を受けている印象があるので,中田ヤスタカの逸脱ほど特異な感じはしない.

慣習といえば,EDMにおいてフリジアを使用することが,(ロックやブルースやジャズでミクソリディアやリディアを使用するのと同じくらいには)自然になってきていそうだという話があります.この記事を最後まで読むような人はきっと興味を持つんじゃないかと思うので,詳細な分析がなされている記事を紹介しておきます.

で,こんな感じの素晴らしい記事を書いて,共有してください.よろしくお願いします.

音楽オタクの音楽オタクによる音楽オタクのための記事を書いていきます. ニコニコ→https://www.nicovideo.jp/user/123304491 つべ↓

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