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「タスク分解」が苦手だという悩みを、若手プロジェクトマネージャーだけでなく、多くのビジネスパーソンから耳にします。

この悩みが広がる背景には、目的・目標を具体的なタスクに分解するスキルを体系的に学ぶ機会が少ないにも関わらず「できて当然」と扱われていることがあると考えています。

そこで今回は、なぜタスク分解が難しく感じるのか、そしてどのような考え方と手法で克服できるのかを、実践的な視点から解説します。


なお、この記事では、アクションタスクは明確に分けて記載しています。それぞれの詳細はこちらの記事をご確認ください。

■アクション
概念レベルの活動であり、「何をするか」を示す抽象的な行動

■タスク
アクションを具体的で実行可能な作業単位に分解したもの


タスク分解の前に、アクションを明確にする

大きな目的・目標を前にして、いきなり具体的なタスクに分解しようとする人がいます。しかし、これではうまくいきません。目的・目標とタスクの間には、抽象度に大きな隔たりがあるからです。

たとえば「世界一のテーマパークを作る」という目的があったとき、いきなり「チケット販売所の壁紙の色を決める」といった詳細なタスクから始める人はいないと思います。まずは「コンセプトを固める」「エリア構成を検討する」「ターゲット層を明確化する」など、抽象度の高い段階から順に考えていくはずです。

ふだんの活動でも同じです。大きな目的・目標から細かなタスクへと、段階的に抽象度を下げていく必要があります。

そのため、効果的なタスク分解には、まず目標とタスクの中間に位置する「アクション」を明確にすることが大切です。

アクションが明確かどうかは、そのアクションの「完了条件」が明確に言語化できるかどうかで判断することができます。たとえば「最高のアトラクションを設計する」というアクションの場合、何をもって最高かがわからず、完了条件が明確とは言い難いです。「建設費30億円以下で実現可能な業界最長4kmのジェットコースターを設計する」等であれば、完了条件が明確なアクションといえます。

完了条件が明確に言語化できない場合、アクションをより明確にする行動をとる必要があります。

[補足:アクションを明確にするには]
アクションが明確にならないのは、目的と現在地が明確でなく、戦略がそこに存在しないからです。つまるところ、プロジェクトとしての体を成していないため、アクションが明確にならないのです。

そのため、アクションが明確ではないと感じた時は、アクションを疑うのではなく、その前段である「目的・現在地・戦略」を見直すと良いケースが多いです。

アクションの抽象度が高い場合、アクションをプロジェクト化して捉える

アクションが明確であれば、そこから具体的なタスクを考えるのは比較的容易です。ただし、アクションにも抽象度があることに注意が必要です。

先ほどのテーマパークの例でいえば、「アトラクションを作る」というアクションがあっても、多くの人は具体的なタスクが浮かばないはずです。これは「アクション」ではあるものの、抽象度がまだ高すぎるからです。

この場合、アクションそのものを「プロジェクト化」して捉え直す必要があります。つまり、アクションそのものを「目的」として捉え直し、現在地を把握した上で戦略を考え、そのアクションを実現するためのより具体的なアクションを考えていくのです。

このようにアクションをひとつの小さなプロジェクトとして捉え直すことで、より具体的なアクション、そして実行可能な「タスク」へと段階的に分解できるようになります。

※「プロジェクト化」についての詳細は下記をご覧ください。


ここまでの流れで、抽象的な目的・目標から明確なアクションを導き出し、具体的なタスクに分解する筋道が見えてきたかと思います。

では実際にタスク分解を進める際、タスクの粒度をどう判断すればよいでしょうか。この判断は、個人かチームかによって大きく変わります

そこで続いては、個人とチームそれぞれに適したタスク分解の粒度について、具体的に解説していきます。


個人の場合、忘却との戦いでしかない

個人で行う活動の場合、連続して作業できるならタスク分解の粒度はあまり重要ではありません。自身が一貫して関わるためタスクの背景(アクション、目的等)を理解しているはずですし、多少粗い粒度であったとしても実行時に迷うことがないからです。

しかし、作業が中断される可能性があるなら話は別です。

粒度の大きなタスクに着手したものの途中で中断し、一週間後に再開する場面を想像してみてください。「どこまで進んだっけ?」「次は何をするつもりだったっけ?」と悩んでしまうと思います。

この問題を解決するのがタスクの細分化です。細かく分解すれば「どこまで完了したか」が明確になり、再開時の迷いを減らせます。しかし、タスクの登録や更新といった管理コストが新たに発生してしまいます。

つまるところ、個人におけるタスク分解の粒度の問題は、忘却を考慮した上で「タスク再開時の迷い」を避けるか、「タスク管理の手間」を避けるかというトレードオフに帰結します。

この観点から考えると、連続して作業できる時は粗い粒度のまま、それが難しい時は管理コストを受け入れてでも細かく分解する、といった使い分けが良いと考えています。

[余談:セーブポイントとしてのタスク管理]
筆者はあまり記憶力がよくありません。また、複数の物事に関わることも多いため、「書いてあることは正しく、それ以外は記憶違い」といったルールで物事を進めています。

それゆえ、わりと細かめのタスク管理を行なっていて、タスクの完了有無をセーブポイントのように利用しています。

物事を再開する時は、「この背景でこのようなアクションがあり、このタスクまで終わっているので次はこれをやれば良い」という事実を見て、機械的に手を動かすことが多いです。

チームの場合、自分とチームのレベル次第

チームで行う活動の場合、タスク分解の粒度は成果物の精度に直結します。

タスクの粒度が粗ければメンバー間で解釈が分かれ、期待と違う結果になりがちです。細かく分解すれば、やるべきことが明確になり期待通りの成果を得やすくなります。しかし、その分だけタスクの管理の負荷が高くなってしまいます。

つまり、チームにおけるタスク分解の粒度の問題は、「成果の確実性」を取るか「管理の効率性」を取るかというトレードオフに帰結します。

このバランスをどこに置くかは自身とチームのレベル次第です。成熟したチームなら粗い粒度のタスクで問題ありませんが、経験の浅いメンバーが多い場合はより細かな粒度のタスクに分解する必要があります。

[補足:小さなチームのタスクの粒度]
小さなチームであればあるほど、管理コストを下げるために粗い粒度のタスクになりがちです。とはいえこれは、「メンバーが突然休んだ場合のリスク」の増加を意味します。

粒度が粗いタスクの場合、担当者しか知らないことが増えていきます。その結果、担当者が休んだ際に他のメンバーがタスクを引き継ごうとしても、ゼロからやり直すしかなくなってしまうのです。

この問題を防ぐためにも、小さなチームであったとしてもある程度細かめの粒度(半日〜1日で終わる程度)にしておくほうが良いと考えています。

おわりに

タスク管理が苦手という悩みの裏には、目的と現在地が明確ではないがゆえに「アクション」が明確ではないという問題があることが多いです。まずは目的と現在地を明確にし、どのように物事を進めていくかを整理した上で、アクションを明確にしていきましょう。

また、ひとつひとつのアクションを「プロジェクト」と捉えると、タスク分解は比較的簡単に行えるようになります。最初は時間がかかりますが、このような考え方に慣れていくと良いでしょう。

その上で、自身やチームの状況を見つつ、適切な粒度にタスクを分解していきましょう。




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P.S. 爆速したいんですが、作りたいものがあんまりないんだよな〜とか思ったりします。ソフトウェア文脈は車輪の再発明ばかりですしねえ。 

AIファーストなアーキテクチャの最適解で爆速したい気持ちはある

— きゅーい🥳 (@library_fit)September 22, 2025


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