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対雁琳訴訟、勝訴確定についての弁護団声明

武蔵大学教授である北村紗衣氏が、令和4年2月25日に、Xアカウント名「雁琳」を被告として提起した損害賠償請求事件について、令和6年4月17日に、東京地裁において、被告に対し原告への220万円の支払いを命じる判決が言い渡された。その後、控訴審である東京高裁においても東京地裁の判決が維持され(令和6年8月29日控訴審判決)、令和7年3月21日付で、被告による上告が棄却された。

原告は、訴訟において、被告のXにおける11の投稿が、名誉毀損ないし侮辱に当たると主張した。被告は、自身の投稿は真実に基づく、表現態様は多少悪いかもしれないが、はなはだしい侵害ではない等主張したが、地裁判決では1つの投稿を除く10の投稿について不法行為であると認められ、また、控訴審では、すべての投稿につい不法行為であると認められた。不法行為であるとされた違法な投稿には、被告が原告の著作に中指を立てた画像を投稿したものや、原告の生存自体をあげつらうかのような侮辱を再投稿したもの、他のアカウントの投稿を受けて、原告の論考の発表時期など詳細を確認することなく「学匪、曲学阿世」などと原告に名誉毀損を行ったものなどが含まれている。

原告は、被告は、訴訟係属中もカンパを募り、訴訟や判決に言及したり、原告について揶揄を繰り返す(原告を揶揄する投稿を再投稿することを含む)などしていたが、被告本人が訴訟に出席することは一度もなく、陳述書を提出することも、尋問に出席することも、原告に反対尋問を実施することもなかった。被告は、上告棄却となった後の令和7年3月26日時点でも、「(原告に)220万円も請求されたことは明らかにおかしい」と投稿し、被告に220万円の支払いを命じる判決が最高裁で維持されたことにも触れず、カンパを募集する投稿を固定ツイートとしたままである。

弁護団は、判決において、意見論評による名誉毀損や侮辱を含め、すべての投稿が違法と認められたこと、原告の受けた精神的苦痛が完全に慰藉されているわけではないものの、多数のフォロワーを有する被告の各投稿が、多数の者に閲覧され、内容や用いられた修辞など考慮して220万円の損害賠償が認められたことについては、適正な判決が下されたものと評価する。

弁護団は、裁判の終結に当たり、被告が行ったような違法な誹謗中傷の撲滅を呼びかけるものである。今回の最高裁決定がその一助となることを希望してやまない。

2025年3月27日
               北村紗衣氏 弁護団      

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2000年から弁護士。武蔵小杉合同法律事務所を主宰。自由法曹団常任幹事。元植村隆東京弁護団事務局長。著作「ヘイトスピーチに抗する人々」(新日本出版社2014年)。「9条の挑戦 ~非軍事中立戦略のリアリズム」(大月書店2018年)。布施辰治弁護士を敬愛。愛読書は「レ・ミゼラブル」。

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