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大好評、お仕事小説。美人デザイナーさくらさんの必殺技はトリミング。今日もトリミングで事件を解決します。

さくら:カメラマン出身のデザイナー(愛用のカメラはNikon D750)。美人で仕事もできるが……
シノ:見習いディレクター(性格に難のあるさくらと組まされがち)
プロデュース部長:顔が怖い。いつも冗談か本気かわかりにくい。
社長:ケチ&お金が大好き。いつも思い付きで社員を困らしている。

シリーズ第3弾です。このお話から読んでも大丈夫!

◆ ◆ ◆

このまま今の会社を続けていいものか不安に思っています……。この、デジタル全盛の世の中で、あまりにもアナログすぎるのです。

あ、申し遅れました。わたくしシノと申します。小さな制作会社に勤めています。

社員が変な人ばかりで、それも十分問題なのですが、それ以前に普通に淘汰されてしまうと思うのです。

わたしたちは主に、お客様の広報物の制作をお手伝いしています。そのほとんどが印刷物です。

……そうなのです。このご時世に印刷の仕事ばかりしているのです。

業界の先行きが怪しいわりに、仕事は大変。データで納品するか、印刷までして納品するかでは、業務量に雲泥の差があります。

ええ、お話したいのは山々ですが、ここから先は伝統芸能のような世界になってしまうのでやめておきましょう。

今日は、めずらしく早めに帰宅できました。ワンルームのマンション、ひとりきりの時間です。

お気に入りのソファーでゆっくりできるのはいいのですが、この空白はけっこう危険でして、将来の不安がどうしても頭をよぎります。

社員の皆さんは本気で21世紀を印刷物で乗り切る気なのでしょうか? 

定年間近のおじさんは今のままでいいかもしれません。でも、わたしはまだ25歳ですよ? 

たくさんの余白が広がっています。生きなければならないのです。

これはやばい……と思ったのは、入社直後です。

わたしが所属するプロデュース部では、なぜかディレクターひとりひとりに何世代前なのかわからないiPadが支給されます。社長の過去の思い付きによるものでしょう。

皆さん、それを引き出しの奥に押し込み、記憶から削除しています。最初は、なぜ頑なに目を背けているのか気になりました。

ある人は使い方がわからないと言い、ある人は古すぎて使えないと言い、ある人は壊したときのペナルティが怖すぎると言いました。

社長はケチですからねえ。年代物のiPadを壊して、最新の価格を請求されるのは、たしかに怖すぎます……。

とはいえ、皆さんの根底にあるのはデジタルへの苦手意識だと思います。

プロデュース部の部長さんは以前、私物のiPhoneとデータを同期させてしまったことがあるらしく、大切に保存してきた音楽データがすべて消えてしまったそうです。

「あれは悪魔の兵器やで」と言い、鍵付きの引き出しに封印して、もう二度と取り出す気はなさそうです。

ライティング部のひとり部長さんは、過去にそれを使って、株取引で大損失を出したことがあるらしく、「呪いの石板」と呼んで、とっくに社長に返却してしまったそうです。

タブレットに罪はないですけどね……。呪いの石板が今だれの手元にあるのか、地味に気になります。

部長さんたちがそんな感じなので、いつまで経ってもデジタル化の機運が高まりません。とにかく、皆さんデジタルが苦手なのです。

わたしをIT女子と見なすことからもそれは明らかです。皆さんにスマホの設定を教えてあげることはよくありますが、わたしは同年代からしたら、まったく知識がありません。

それなのに、すぐに若者代表にされてしまい、アプリとSNSを使いこなしていることにされてしまいます。しかし、若者と言ってもいろんな人間がいるのです。

後ろのシマの巨体のおじさんから、「シノちゃんもショート動画で踊ってるんでしょ」とか、「キラキラ盛った写真をアップしてるんでしょ」とかニヤニヤ言われるのは心外です。

やりませんよ、そんな面倒なこと……。
わたしはたまに趣味の俳句を投稿するくらいです。

ふう。嫌になりますねえ。

そう言いながらも、ソファにもたれ、無意識にスマホをのぞいている自分に気がつきました。

短文SNS、ネックスのポストを目で追っています。なるほど、自分でも気づかないくらい生活の一部になっているのかもしれませんね……。

タイムラインのおすすめ画面を眺めています。過去にイイねを押したポストと似た投稿が流れてきます。

わたしでいえば、俳句コミュニティの人たちの投稿。それから最近仕事で悩んでいるので、同じような人のお悩みポスト。あとは、自分の好みとはあまり関係のない、人気の高い投稿、いわゆるバズったポストです。

わたしは無意識に画面をスクロールさせます。

最近、ネックスでもショート動画が多いですねえ……。やっぱり流行ってるんですね。

華やかな映像は目を引きますからねえ。可愛い女の子の動画は、同性から見ても癒されます。

……ですが、今のわたしが目を留めてしまうのは、どうしても転職ポストのほうです。

病んでいるのでしょうか。帰宅途中にも、つい愚痴っぽい投稿をしてしまいました。

あれ、知らない人から返信があります。

つまらなそうな職場。底辺。老人ホームですかwww


むむ、こういう人がいるので、ネックスは油断できないのです。

シノの職場は底辺ではありません。
さくらさんがいます。

さくらさんは職場の先輩で、美人で仕事もできます。この人に見せてあげたいものです。

……きっと、このときですね。

このときに、大トラブルの芽は蒔かれていたのです。とんでもないことが起きます。

100万回再生の悪魔のバズりがわたしを襲います。

次回は真面目なお仕事の話もしちゃいます。デザイナーとカメラマンが印刷物と相性のいい理由がわかりますよ。またお会いいたしましょう!(シノ)

次のお話です↓

衝撃のヒゲ裁判編もぜひ!(完結済みのお話です)

読んでくれてありがとう!
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▼記事を書いたのはこんなひと▼

▼ネックスでもどうか構ってください▼

あれ、さくらさん書いたの、まだ先週か…
明日から新作のSNSバズり編はじめるかも。よろしくね!pic.twitter.com/fhzZ08R3Zd

— 焔ふぁい|FIREの精霊 (@rockstar_narite)September 8, 2025

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焔ふぁい|FIREの精霊クリエイターであり続けたいー! が、整体に行かないと死ぬ。ポンコツゆえ、ポンコツゆえ、300円よろしくお願いしまーーす!
楽器を持たずにロックスターを目指している者です。お金を愛し、創作を愛し、音楽もちょっと好き。無敵のエースディレクターになっても会社員に向いてなかったのでFIREの精霊になりました。自分に似た誰かのために、戦略の書「ロックスターになりてえなぁ」を運営中!(文筆家/コンサル/投資家)

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