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この記事は“中国、脱「超高層ビル」都市開発で方針転換”というニュースの解説です。

【北京共同】中国の習近平指導部は共産党・政府の高官が都市開発について議論する「中央都市工作会議」を北京で10年ぶりに開き「超高層ビルの建設を厳格に制限する」方針を示した。急速に経済発展した中国は高層ビルの建設を世界と競ったが、必要性への疑問や安全面の懸念が噴出。不動産不況を経て方針転換を明確にした。

中国、脱「超高層ビル」 都市開発で方針転換

この方針変換の裏側には「高層マンションはいずれスラム街となるだろう」という予測があります。

中国では急激な経済発展のもとで都市化と不動産開発が加速、20階建て以上のタワーマンションの建築ラッシュが発生しました。

しかし、こうした高層住宅が将来的に「都市型スラム」へと変貌する可能性が指摘されています。

2019年の「予言」

以下は2019年に発表された、スラム化する高層マンションの報告例です。

清華大学建築学部の尹稚教授は「30年前にアメリカで建てられた高層住宅が、今や恐怖の貧民窟になっている」と語りました。 北京大学の朱国鐘教授は築年数、供給、住宅価格及び都市発展などの要因を総合すると「今後、我が国も広大なスラム街が出現する。それは現在の高層ビルエリアに集まる」と推定しました。

北京科学技術大学博士課程の学生指導教員であり、中国都市開発研究所所長である周天勇は2019年8月の報告で、数十階建てマンションの価値が急落すると考えていると述べました。

これらの言論は当時、あまり大きく話題になることはありませんでした。しかし不景気が現実となった今は「スラム化する高層マンション」は起こりうるかもしれない未来であるという論説が増えてきました。

なぜこのようなことが起こりうるのか。中国社会の姿を解説します。

高層マンションの信仰

そもそも、なぜ人々は高層階を好むのでしょうか。一般的には
・交通等の騒音問題
・風塵などの環境問題
・景観や日照
・社会的ステータス
と言われています。

そして中国では高層階が実際に「社会的ステータス」だった時代がありました。計画経済時代、ほとんど無料で住居が配布された時代です。

1950年代~1990年代初頭の中国は、住宅は個人が購入するものではなく、国家または所属する職場単位によって無償または低額で提供されていました。

この「無料住宅割り当て(免费分房)」制度のもとでは、限られた住宅資源を役職・功績・家族構成などに応じて配分するという仕組みが採用されました。しかし住宅資源が限られているなか、何年も待たされる人、まったく分配されない人も大勢いました。

限られた住宅資源は軍、公安、計画委などの部門に優先的に分配され、一般庶民は後回しでした。

その中でも高層マンションや日照・風通しが良い住戸は、しばしば管理職や技術幹部に優先的に割り当てられ、最上階や角部屋など条件が良いとされた住戸は功労者の象徴として扱われました。

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