実写版『白雪姫』の“修正”に批判の声が続出
実写版『白雪姫』が議論を呼んでいます。総製作費2億7000万ドルに対する初週の興行成績が4300万ドルと期待外れだったのに加えて、現代的に書き換えられた内容に疑問の声が相次いでいるのです。 アニメでは「明るくきれいな心を持つ美しい王女」として白い肌のルックスだったキャラに、実写版ではコロンビア系の俳優を起用。白雪姫という名前の由来も、本来の「雪のように白い子」から「猛吹雪を生き延びた」という設定に変更されています。さらにはストーリーも、“世界征服を企む悪女と対決する自立した強い女性”となっていることからもわかるように、昨今の多様性への配慮、ポリコレを強く意識した作品になっています。 実際に作品を見た人からは不満の声が続出。“多様性は大事だがあまりにも原作へのリスペクトが欠けている”とか、“絶対に崩してはいけない世界観があるはず”と、批判を通り越して否定的な意見が多いのが印象的です。 一方で、ディズニーの姿勢を擁護する声もあります。いわゆる、白人至上主義的な美的感覚が支配的だった過去への反省として、目に見える形で実写版『白雪姫』が態度を表明したことは称賛に値する、といった意見ですね。
昨今見られる“修正主義的なムーブメント”
『白雪姫』のほかにも、昨今では歴史を振り返り、誤りをただす、修正主義的なムーブメントが見られるのも事実です。 たとえば、植民地主義の象徴であるクリストファー・コロンブスの像を破壊したり、同様の理由でアメリカ国歌の斉唱を拒否するアスリートの存在も注目を集めました。 また女性の権利を尊重する理由から、男女デュエットの冬の定番ラブソング「Baby It’s Cold Outside」の歌詞を直すなんてこともありました。オリジナルでは“外は寒いから”と言って、家に帰ろうとする女性をなんとか部屋にとどめておこうと必死な男性の様子を描いた歌詞が、ポリコレ版ではUberを呼んで気持ちよく家に送り届ける内容になっているのです。 好むと好まざるとに拘らず、これが近年のアメリカのエンターテイメントの方向性を決めてきた思想的な潮流だったのですね。実写版『白雪姫』も、そうした流れの中に位置づけられます。