ハンドルを握ると性格が一変し、普段の自分とは異なる行動をとるドライバーが少なくありません。それらは、危険な運転を引き起こす原因にもなっています。 「百害あって一利なし」と言いたいところですが、実際にはあおり運転がきっかけで幸せを手に入れた人々も存在します。その背後にはどのようなストーリーがあったのでしょうか。

※画像はイメージです。以下同
早く帰りたい日に限って……
内装業の見習いである独身の
戸倉さん(25歳)。高校を卒業後、親戚が経営する内装工事会社に就職し、忙しい日々を送っています。「その日の現場は隣町で、車で約40分の距離でした。前夜、中学時代の友人から『プチ同窓会がある』と連絡を受けていたので、親方に5時ぴったりに上がらせてもらい、車を走らせていました」 そんな日に限って、帰り道の半分以上を占める片側1車線の県道に差し掛かると、戸倉さんの前にノロノロ運転の軽自動車が現れました。「いくらなんでも、あの遅さは異常です。時速20キロ前後でした。ただ、最近あおり運転のニュースをよく目にしていたので、最初は我慢していましたが…」
気が付けば思い切りあおっていた
前方の軽自動車はその後も速度を上げるどころか、ブレーキランプが頻繁に点灯するようになったといいます。「いつの間にかパッシングをしたり、車間距離を詰める運転をしていました。それでも前の車のノロノロ運転は一向に変らず、ついにはクラクションを10秒くらい鳴らしてしまいました。そしたら、前の軽自動車が、突然急ブレーキを踏んだんです」 戸倉さんは前方の軽自動車に追突寸前で停止できたそうですが、その時に「ハッと」我に帰り、自分が大胆にあおり運転をしていたことに気づいたそうです。