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トップ デジタル 生成AIがライフスタイルを大きく変える。スマホ並みの存在感、その実態と活用方法とは
デジタル
投稿日:2025年01月24日 08:51

生成AIがライフスタイルを大きく変える。スマホ並みの存在感、その実態と活用方法とは

 ここ数年、生成AIの活用が生活の質を左右する重要な要素となっている。仕事の質も飛躍的に向上し、AIを活用する者としない者との間には、今後圧倒的な差が生まれるだろう。 東京大学の池谷裕二教授は「現代において生成AIを使わないのは、『自分はスマートフォンを持たない主義だから』『私はEメールは使わないから』と主張するようなものです」と語るが、これからの時代に必要な生成AIの活用方法とは一体? 本記事は『生成AIと脳~この二つのコラボで人生が変わる~』の一部を再編集してお届けする。
生成AIと脳

『生成AIと脳 この二つのコラボで人生が変わる』(扶桑社新書)

生成AI、スマホ以上の生活必需品に?

 生成AIは、日常のどんなことに使えるのでしょうか? 私の場合、日常のとても多くの場面で生成AIを利用しています。あまりに依存しすぎて、生成AIが登場する前の自分が、どんな風に仕事をしていたのか、もはや想像できません。「よくこれだけの仕事を、生成AIなしでこなしていたなあ。当時は、さぞや非効率な仕事の仕方をしていたのだろう……」と、昔の自分を気の毒にすら思います。 生成AIの有無による違いは、携帯電話がない時代とある時代の違いに匹敵するほどです。私が大学生の頃には携帯電話がありませんでしたが、当時どうやって友達と待ち合わせをしていたのか、ほとんど覚えていません。電車が遅れたとき、どうしていたのでしょうか。 当時は、インターネットが普及していません。飲み会の幹事を任されたときも、どうやって店を探していたのでしょうか。おそらく情報誌などを読み、必死に情報収集をしていたことでしょう。言えるのは、現代と比べて当時は圧倒的に不便だったということです。 ネットやスマートフォンが当たり前に使える現在から振り返ると、「あの頃の自分はよく生きていたな。まるで、武器を持たずに敵と戦っていたようなものだ」と感じます。 それと同じような感覚を、2年前の生成AIを持たない自分に対しても抱きます。それほどまでに、生成AIは私の仕事に大きなインパクトを与える存在です。 断言できるのは、生成AIによって、仕事のクオリティは格段に向上したということです。もし生成AIを使わず、自分の素の実力で仕事をした場合、アウトプットの質は明らかに低くなってしまうでしょう。生成AIを使っている人と競争した場合、その差は歴然で、敗北することは間違いありません。 現代において生成AIを使わないのは、「自分はスマートフォンを持たない主義だから」「私はEメールは使わないから」と主張するようなものです。妙なプライドを掲げて、こだわりを持ち続けると、本人が損をするのは目に見えていますし、利用している周囲の皆にも迷惑を掛けてしまうかもしれません。 ちなみに、2024年9月に行われたアンケート調査では、人々のAIに対する態度は5つに分類されるそうです。皆さんはどのタイプに属するでしょうか。1.マキシマリスト: AIを頻繁に使い、他者にもAIの話題をする2.地下運動派: AIを頻繁に使うが、仲間には秘密にしている3.反逆派:AIの流行に乗らず、AIの使用をズルいと考える4.スーパーファン: AIに興味はあるが、まだ仕事で使用していない5.観察派:AIを活用しておらず、様子を窺っている

トップレベルの大学生の17%以上が、レポート作成にChatGPTを活用

 教育現場でも、生成AIの活用は欠かせないものになりつつあります。 ChatGPTが登場した当初、生成AIを教育に利用してよいかどうかという議論が起こりました。発表された2ヶ月後の2023年1月の時点で、「トップレベルの大学の学生で、レポート作成にChatGPTを使用した割合は17%以上」と報告されています。これには「学生の本来の学力が身につかないのではないか」といった社会的な批判もありました。 しかし、私の研究室では、ChatGPTが登場すると即座に、学生たちへ「論文の作成には生成AIを使用するように」と伝えました。前述のように、ChatGPT、Gemini、Claude、Llamaの4つのモデルの回答を比較するための独自のシステムも、研究室の学生やスタッフに最新バージョンを無償で提供しています。 現在も、「生成AIに学習利用は正しい教育か」「学生の真の学力は伸びるのか」という議論が続いていますが、私はむしろ「生成AIを使いこなせない学生を自分の研究室から送り出すわけにはいかない」と考えています。 今後、生成AIは社会の中であらゆるツールに組み込まれていくことでしょう。確実に利用が進むのだからこそ、使用を規制するのではなく、むしろ、そのよしあしを理解して上手に使いこなせる人材を育成することが、教育者としての私の責務だと考えています。 このツールが登場した瞬間、「教育者としても私自身がこのツールを使いこなさなくてはならない」と強く感じました。そのリサーチも兼ねて、私は日々生成AIを使い続けています。
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1970年 静岡県藤枝市生まれ。薬学博士。 東京大学薬学部教授。 2002~2005年にコロンビア大学(米ニューヨーク)に留学をはさみ、2014年より現職。 専門分野は神経生理学で、脳の健康について探究している 。また、2018年よりERATO脳AI融合プロジェクトの代表を務め、AIチップの脳移植によって新たな知能の開拓を目指している。文部科学大臣表彰 若手科学者賞(2008年)、日本学術振興会賞(2013年)、日本学士院学術奨励賞(2013年)などを受賞。また、『夢を叶えるために脳はある』(講談社)で小林秀雄賞受賞(2024年)。

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