筆者(田中謙伍)はAmazon日本法人に新卒入社し、現在はAmazonで商品を出品する企業のコンサルティング会社を経営している。Amazon日本法人在籍中に副業でAmazon内で商品を出品し3億円を稼ぎ、現在はAmazon内でヒットする商品の成功要因を分析できる立場を活かし、日刊SPA!では「ヒットする商品の背景」についてお伝えしていきたい。今回は、
日本で急成長している海外ECサイト「Qoo10」と、苦境に陥っている「楽天市場」を比較してみたい。浮かび上がってきたのは、あまりに好対照で残酷な真実だった。

tamayura39 – stock.adobe.com
若い女性から圧倒的な支持を得ている「Qoo10」
Qoo10はアメリカに本社を置くグローバルEC企業「eBay(イーベイ)」が、運営する総合ECモールだ。日本には2010年に進出し、2023年で14年目を迎えている。日本では国内EC市場の年成長率の平均が10%と言われているが、Qoo10は2021年に約30%の成長を遂げており、まさに注目のECサイトと言ってよいだろう。そんなQoo10で最も売れるカテゴリは「ビューティー・コスメ」。その次に「レディースファッション」「食品」が続いている。なかでも価格が安いものや、日本では販売していない韓国コスメなどが人気となっている。ナイル株式会社の調査によると、コスメやレディースファッションが主に売れていることから、女性から多くの支持を得ていることがわかる(※1)。
ユーザー層の女性比率はなんと71%で、そのうち10代から30代までのユーザーが約8割も占めている(※2)。課題はあるが、勢いもある
もちろん勢いづいているQoo10にも課題はある。若者への年齢層の偏りはもちろん、コスメとファッションだけが目立って伸びており、ほかの分野については、まだまだ楽天やAmazonに比べてシェアが取れていない点だ。また、割引クーポンが発行されすぎて、「カートに入れた商品をまとめて確認しないと、いくら割引になるかわかりにくい」という声もある。その点ではユーザーの視認性に力を入れたAmazonに軍配があがるだろう。しかし、まだいくつか課題があるとはいえ、成長率で見ればQoo10がいまもっとも勢いのあるECサイトということに異論のある人はいないだろう。