生産性・加工精度を両立…京セラ、自動車向けアルミ用超多刃カッター
京セラは生産性と加工精度を両立したアルミニウム加工用の超多刃カッター「MD90」を開発し、21日に発売する。刃数を同社従来品比6―8枚増やし、切削加工の生産性を高めた。刃数と加工精度はトレードオフの関係にあるが、インサート(刃先交換チップ)を保持する拘束面を丸みのある形状にしてインサート間の厚みを確保することで、加工時にかかる力を分散。小型マシニングセンター(MC)でも安定した加工を可能にした。主に自動車向けに提案する。
車の燃費向上や電気自動車(EV)化の進展で、軽量で高強度なアルミ部品の需要が伸びているのに対応し、新製品の投入を決めた。消費税抜きの標準品価格はインサートが1万1430円から、鋼製ホルダーが13万4620円から、アルミ製ホルダーが28万6200円から。カスタム対応も可能。初年度に国内外で2億円の販売を目指す。
超多刃カッターは刃数が増えると加工効率が向上するが、精度の確保が課題となる。
そこで京セラは独自形状のホルダーを開発し、直径80ミリメートルの工具で刃数を同社従来品比6枚増の16枚、同100ミリメートルの工具で同8枚増の20枚とした。標準品最大サイズの同125ミリメートル工具では同8枚増の24枚で、「刃数は限界にかなり近いところまで増やした」(京セラ)という。
車の生産ラインでは機械の設置数を増やして生産性を高めたいニーズがあり、主軸テーパーサイズ「BT30」に対応した小型MCの採用が増えている。
京セラのMD90は直径125ミリメートル工具では、総重量が1・48キログラム。小型MCで安定加工できるよう、軽量なアルミ製ホルダーをそろえた。
またMD90向けに新形状のインサートも開発し、加工精度を向上。刃先2カ所からクーラント(切削液)を出すことにより、刃先と加工対象物(ワーク)を効率的に冷却し、安定加工につなげられる。