住戸専有面積30-50㎡未満、コンパクトマンションの人気が高まるワケ
不動産経済研究所がまとめた首都圏1都3県(東京、神奈川、埼玉、千葉)のコンパクトマンション供給動向によると、2024年の発売戸数は2642戸だった。首都圏マンション全発売戸数2万3003戸の11・5%を占め、5年連続でシェアが1割を上回った。同研究所は、エンドユーザーのニーズの多様化などから引き続き10%台の高いシェアを維持すると見る。

エリア別では東京23区、神奈川県、埼玉県で全発売戸数に占める割合が1割を超えた。市区別の供給上位は東京都台東区(185戸)、同品川区(134戸)、同新宿区(112戸)、埼玉県川越市(96戸)、千葉県船橋市(89戸)となった。
1戸当たりの平均価格は5248万円だった。前年に比べて2・7%上昇し、2年連続で5000万円を超えた。エリア別では東京23区6406万円(前年比3・8%上昇)、東京都下5032万円(同23・8%上昇)、神奈川県4401万円(同7・3%上昇)などとなっている。
戸当たり平均価格を価格帯別(500万円刻み)で見ると24年に最多供給となったのは4001万―4500万円。21―23年は3501万―4000万円が最多でレンジが1段階上昇した。高額住戸の供給も多く、22年以降は3年連続で7000万円以上の住戸のシェアが10%を上回っている。
コンパクトマンションは住戸専有面積が30平方メートル以上50平方メートル未満の物件。ワンルームとファミリータイプの中間に位置し、単身者やDINKS(子どもがいない共働き世帯)、シニア世帯などを主なターゲットにしている。
近年、地価や建築資材価格の高騰、人件費上昇などを背景にマンション価格は上昇が続く。このため戸当たり単価が抑えられるコンパクトマンションに対するニーズは供給側・需要側双方から高まっていると見られる。同研究所によると21年度に住宅ローン控除が床面積40平方メートル以上にまで緩和された影響も依然として大きいという。さらに供給を伸ばしてシェアがアップすることも起こり得るとしている。