大気圏再突入負荷を軽減する…豊田織機、「宇宙産業向け耐熱材」開発で生かす技術
東北大新興と共同
炭素繊維などベース
豊田自動織機と東北大学発スタートアップのエレベーションスペース(仙台市青葉区、小林稜平社長)は16日、宇宙産業向け耐熱材料の共同開発を開始すると発表した。宇宙空間で実験などを行う機体の表面を新開発の耐熱材料で構成し、同機が大気圏に再突入する際に生じる熱負荷を軽減する。早ければ、2026年以降にもエレベーションスペースの大気圏再突入用カプセルに同耐熱材料を採用する。
両社が共同開発する耐熱材料は、炭素繊維や合成樹脂がベースとなる。これを豊田自動織機が持つ「3次元織物技術」を活用して成形する。同技術は縦・横・厚みの3方向に糸を配置する立体構造が特徴。織り方を制御することで密度なども調節可能になる。
大気圏に再突入する際の機体の表面温度は最高で約3000度Cに達する。従来は最大加熱に耐える素材を一律に装着していたが、過剰設計となり重量増にもつながる課題があった。新耐熱材料で軽量化を実現しつつ、コスト軽減や飛行性能の維持を目指す。
エレベーションスペースの小林社長は「非常に重要な技術。26年以降の打ち上げに向け、技術の活用・商用化に取り組みたい」と意気込みを示した。
日刊工業新聞 2025年04月17日