累計出荷1000万台突破…「エコキュート」浸透着々、これからの期待
電気事業連合会、ヒートポンプ・蓄熱センターと日本冷凍空調工業会(日冷工)の取り組みが成果を上げ、ヒートポンプ給湯機「エコキュート」の累計出荷台数(日冷工の統計値)が3月末に1000万台を突破した。「顧客の理解と(積極的な)導入、そしてメーカー・サブユーザーなど関係者の努力が実を結んだ」(関係者)としている。近年の政策支援による後押しも有効だった。
エコキュートは再生可能エネルギーである大気中の熱を利用する「ヒートポンプ技術」によりお湯を沸かす電気式給湯機。省エネルギー性・省二酸化炭素(CO2)性が高く、例えば、家庭用ガス燃焼式給湯器と比較するとエコキュートのCO2排出量は6割程度となる。
一定の前提を置いた試算だが、1000万台が全て従来型の家庭用ガス燃焼式給湯器からエコキュートに置き換わったと仮定して単純計算すると、年間約379万トンのCO2が削減されると言える。
ヒートポンプは熱需要の脱炭素化に向けた現実的な技術であり、2050年カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の達成には、約3650万台までエコキュートの普及拡大を進めていくことが必要とされる。

また、太陽光発電設備などの再生エネ電源で発電した電力によりエコキュートでお湯を沸かすことで、「ヒートポンプによる再生エネ熱利用」×「カーボンフリー電力の活用」=「給湯需要の脱炭素化」が実現する。
近年、太陽光発電設備等の再生エネ電源の大幅な増加により、電力需要が少ない春、秋などの端境期を中心に再生エネ電源の出力制御が行われている。エコキュートでお湯を沸かす時間を、従来の夜間から昼間にシフトし、再生エネ電源で発電した電力を有効活用することで、出力制御を抑制する「デマンド・レスポンス(DR)」としての活用も期待されている。
日刊工業新聞 2025年04月16日