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創業100周年、シヤチハタが進めるデジタル時代の挑戦

2025年04月21日テクノロジー
創業100周年、シヤチハタが進めるデジタル時代の挑戦

定番の「ネーム9」(中央の黒色ほか)からBツーC商品まで幅広く手がける

朱肉が不要なネーム印の名称としても親しまれているシヤチハタ(名古屋市西区、舟橋正剛社長)は、1月に創業100周年の節目を迎えた。スタンプ台の製造・販売を開始して以来、文具・印章事業を中心に事業を拡大。デジタル化の進展など、市場環境が変化する中、舟橋社長は自社の事業を横断的に捉えたグループ経営の重要性を説く。「第二の創業期」として、成長に向けた挑戦を続ける。(名古屋・狐塚真子)

2024年6月期時点で、シヤチハタ単体の売上高は176億円。このうち約60%を国内文具・印章関連が占め、海外が約30%、デジタル・新規事業が約10%という事業構造をとる。デジタル化が加速する中、「企業向けの定番商品が減少することを想定し、どう成長するか考えてきた」と舟橋社長は同社の歴史を振り返る。

例えば国内文具・印章関連事業では、リーマン・ショック以降、BツーC(対消費者)向けの商材にも注力。デザインや機能、カラーを工夫した文具のほか、名前書き用のスタンプ、子どもの手形スタンプなどの商品も手がけてきた。

デジタル分野では、95年に電子印鑑ソフトの提供に踏み切った。テレワークが広がったコロナ禍では、電子印鑑のクラウドサービスを期間限定で無料開放したことで認知度が向上。現在は経費精算や勤怠管理、チャットなどの周辺機能も追加ができるサービスとして、その使い勝手や継続しやすい価格帯を武器に、中小企業を中心に活用が広がる。

中長期の成長を目指す中で、舟橋社長はグループ横断的な経営体制のあり方を模索する。「従来は国内向け、海外向けの製品と切り分けて考えることが多かった。(一方で)特に、産業・工業用製品は(各国)共通の課題も多い」(舟橋社長)。

舟橋社長

横展開が見込める製品の一つが、橋梁工事の際、ボルトにかぶせて線が描けるマーキングスタンプ「ボルトライン」だ。道路・建築現場など適用先の広がりや、海外への展開も見込める。今後は、国内外の関連会社との連携を深め、製品の開発・販売力の強化にもつなげる考えだ。

さらに舟橋社長が重視するのが、自社の強みと捉える素材の加工力だ。シヤチハタは、浸透印のゴムやインキ、金型製作などを自社で手がけてきた。これら技術を発展させることで、未開拓の市場に対しても商品・サービス展開の余地があるとみる。「印の付加価値向上」(舟橋社長)で高みを目指す。

【会社概要】▽創業=1925年(大14)1月▽資本金=1億円▽売上高=176億円(24年6月期)▽従業員=400人(単体、24年6月末時点)
日刊工業新聞 2025年04月15日

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