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JR東海の生成AI活用が花開こうとしている

2025年04月20日ビジネス・経済
JR東海の生成AI活用が花開こうとしている

初開催した社内の「生成AI活用コンペ」ICTの活用で業務の効率化や収益力の向上を目指している

JR東海で社員による生成AI(人工知能)の活用事例が広がっている。2023年10月の活用開始以降、情報システム部による社内セミナーや相談会などで技術の理解促進や活用の機運を高め、25年1月には同社初となる生成AIの社内コンペも開いた。同社は情報通信技術(ICT)の活用で業務の効率化や収益力の向上を目指している。生成AIを用いた各現場の取り組みが、今まさに花開こうとしている。(名古屋・狐塚真子)

生成AI関連の主な取り組み

「ICTを用いた業務改革と収益の拡大で経営体力の再強化を図る中、生成AIは実現に大きな役割を果たす可能性を秘めている」と話すのは、情報システム部の石川剛志担当課長。JR東海はガイドラインの策定やセキュアな利用環境を構築した上で、23年からチャット形式の生成AIを、情報調査や企画の壁打ちなどの用途で使い始めた。ユーザーがAIに対して最適な指示を出す「プロンプトエンジニアリング」や、業務効率化事例を紹介する社内勉強会を定期的に実施することで、社内普及を図った。

24年6月からは、生成AIの回答精度を高める検索拡張生成(RAG)を活用。顧客からの相談を受け付けるサービス相談室では、生成AIが旅客制度や運賃制度、顧客対応のQ&Aなどを参考に回答を生成し、スタッフの対応を支援する。

活用開始から1年が経過した25年1月には、新規施策の創出や活用アイデアの集約につなげようと「生成AI活用コンペ」の開催にもこぎつけた。最優秀賞を獲得したリニア開発本部のチームでは、インターネット接続不要の環境下でRAGを実装できる「ローカルRAG実装キット」などのアプリケーションを提案。

このアプリでは、マニュアルなどの参考資料を専用のフォルダーに格納するだけで、異常発生時の対応方法の自動回答生成や、必要な情報の取得を迅速化できる。

「高性能な端末や、インターネットに接続できない端末でも実装できるため、全社的な業務効率化につながる」と開発者の山崎裕太主席は話す。今後は、社員がタスクを伝えるだけで、AIが適切なアプリを選択、実行する「AIエージェント」の開発も見据える。

社内では若手社員を中心にした生成AIの活用検討会も立ち上がっており、各アイデアの具現化や普及が期待される。石川担当課長は、生成AIのエバンジェリストとして活躍する人材の拡大を期待し、25年度以降もコンペや活用検討会などの継続実施を目指す。

日刊工業新聞 2025年04月15日

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