手間・時間を10分の1以下に…ダイダンが業務効率化、全社員向け「生成AI」の威力
ダイダンは業務効率化のツールとして全社員向けの生成AI(人工知能)を導入している。デジタル変革(DX)推進による働き方改革の一環。自社専用の生成AIチャットが業務上のアイデア出しや文書作成を担う。今後は施工業務・要領書など社内技術文書と生成AIを連携。情報検索や資料作成を効率化し負担軽減を図る。将来は専門性の高い分野に適用範囲を拡大し、技術・ノウハウの社内共有に活用する考えだ。(地主豊)
生成AI「ダイダンAIチャット」は社員専用のポータルサイト内に設置。2022年度に新設した経営企画本部DX推進部が管理する。セキュリティー対策などを経て24年3月に同チャットを導入し、オンライン説明会や研修を随時行う。社内DXを担う同部は、建設業界で残業時間の上限規制が適用される「2024年問題」への対応に力を入れる。
これまではポータルサイト内に格納された社内技術文書を閲覧する際、サイト内の階層をたどり必要な情報を探していたため「検索にかかる負荷が大きかった」(田島和一DX推進部長)。チャットを使って検索すれば、従来の方法に比べて手間や時間を1件当たり10分の1以下に削減できるという。
現行機能は業務の専門領域に適応しておらず、文章作成や誤字・脱字チェック、英文和訳など一般的なチャットの利用範囲にとどまる。DX推進部ではデータ連携による精度・正答率向上のために、24年度はシステム設定やデータ加工などチューニングに注力してきた。施工基準など技術系の資料は「テキスト主体の文書と違って図や表を読み込んでデータ連携するのが困難で、チューニングが必要」(同)という課題が立ちはだかる。
同チャットでは25年2月に新たな機能を追加し、ファイルを10点まで読み込めるようにする。文書チェックや要約、複数ファイルの比較が可能となる。3月までに社内規定・マニュアルと連携したシステムを公開する予定だ。チューニング対象は社員からの要望に基づき検討。ベンダーと連携しながら今後も継続し、適用範囲の拡大を図る。
同チャットの社内利用率は現状2―3割程度で、頻繁に活用する社員は約1割と少数派だ。
日々の業務に追われ、活用をためらうケースもあるが「躊躇(ちゅうちょ)せず魅力をアピールし、AIを使う企業文化を浸透させる」(同)考え。今後は社外データとの連携を視野にユースケースを拡張する。