EVに空飛ぶクルマ格納・AIコンパニオン・電動サーフィン…「CES」で探求、未知の世界
【米ラスベガス=川口拓洋、森下晃行】未知の世界を探求する―。そんな言葉がふさわしい展示会が「CES」だ。これまでなかったような製品・サービスが至るところで列ぶ。出展企業も音、光、パフォーマンスを駆使して来場者の関心を引こうとする。各製品に共通するのは「コアなファン」の獲得だ。必ずしも万人にささる必要はない。ニッチな領域だが、熱中してくれる顧客を開拓する。
EVに空飛ぶクルマ格納、陸・空駆ける


中国の新興EVメーカー小鵬汽車傘下で電動垂直離着陸機(eVTOL、通称・空飛ぶクルマ)を開発する「小鵬匯天(Xpeng Aeroht)」が展示するのは電気自動車(EV)に格納されるeVTOLだ。EVは「陸上航空母艦」と位置付け、1000キロを超える走行距離を実現する全輪駆動、後輪操作の大型車だ。後方には巨大な“トランク”を整備しており、ここからeVTOL飛び立つ。陸と空のモビリティーをシームレスにつなぎ合わせる。
同じく中国のTCL(広東省)は自宅向けの人工知能(AI)コンパニオン「Ai Me」を展示する。表情豊かなロボットがフレンドリーな会話やモーターによるかわいい動きを実現する。AIにより、周囲を知覚し、時間が経過するごとにパーソナライズされてくる。電動サーフィン提案
「モーターサーフィン」という新価値を提案するのは、米MOTOSURF(モトサーフ、テキサス州)だ。海のスポーツであるサーフィンとモビリティーを組み合わせた新たな移動体「電動サーフボード」を提供する。風や波がなくてもいつでも水の上を走行できるのが魅力。ボードの重さはバッテリーを含み80ポンド(約35キログラム)を実現するなどして持ち運びを可能にする。


伊ITALDESIGN(イタルデザイン、トリノ)は自動車や輸送機器、製品開発などに特化した設計やエンジニアリングを専門にする企業。55年の歴史がある。今回同社が展示するのはインホイールモーターが特徴のスポーツカータイプのEVだ。担当者は「コンセプトカーだが、我々の技術を示したかった。日本のトヨタ自動車などにも提案したい。連携できるところがあるはずだ」と胸を張る。
パナソニックHD、「ウェルネス」発信
パナソニックホールディングス(HD)はCES会場に約1412平方メートルの展示ブースを設置した。社史を簡単に紹介しつつ、来場者にAIや環境問題への取り組みをアピールした。
このたび発表した米国での家庭向けサービス「Umi(ウミ)」のコンセプトを説明したコーナーで、ウェルネス(心身の健康)への関わりを印象づけた。家電の展示ではAIカメラ搭載の冷凍冷蔵庫や動画配信サービス機能が組み込まれた新型テレビ、美容家電などを紹介。製品を手に取ったりスタッフに質問したりする来場者の姿がみられた。高級オーディオ機器「テクニクス」のコーナーでは時間限定でDJイベントが開かれ、会場が沸いた。


パナソニックHDの楠見雄規社長は同社として12年ぶりにCESの基調講演に登壇。環境問題への取り組みやAIを活用したビジネスについて熱弁を振るった。
「持続可能な地球への取り組みは揺るがない」―。楠見社長は決意を語った。再生可能エネルギーを活用した排出削減のソリューションやEVに必要な車載電池事業などを強調した。
「Panasonic Go(パナソニックゴー)」と名付けたAI重視の事業構想を表明した際は「ビジネスの変革を進め、世界中のお客さまやパートナーに新しい体験を提供する成長イニシアチブだ」と意義を強調した。聴衆からは時折、歓声が上がった。
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