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中国軍機のレーダー照射1週間 日中米、駆け引き続く 中国、米の「レッドライン」模索 日本、米以外の同志国とも連携探る 米は対立から距離置く

高橋浩祐さんが推薦中

 中国軍機による自衛隊機へのレーダー照射から1週間たった。中国は対日威圧を強めつつ、日本の同盟国である米国のレッドライン(越えてはならない一線)を模索。対中貿易を重視するトランプ米大統領は日中対立から距離を置き、日本は米国の顔色をうかがいながら、米国以外の同志国との連携を探る。東アジア地域の秩序維持を巡り中国、米国、日本の駆け引きが続く。 小泉進次郎防衛相は12日の記者会見で、レーダー照射問題について「国際社会にわが国の立場や考えを適時適切に発信していく」と強調した。 レーダー照射は、沖縄本島南東の公海上空で6日に発生。中国海軍の空母「遼寧」から発艦した戦闘機が航空自衛隊のF15戦闘機に対し、2回にわたって行った。遼寧はその後戦闘機を載せて日本本土に向かう異例のルートで鹿児島県・喜界島の東方190キロまで接近したが、8日に南下して日本の排他的経済水域(EEZ)から離脱。12日に東シナ海に戻った。 9日には東シナ海から四国沖の太平洋にかけ、中ロ両軍が共同飛行を実施。両軍爆撃機が四国沖まで接近するのは初めてだが、領空侵犯はなかった。防衛省幹部は「中国の動きはエスカレートしているものの、よく見るとギリギリで『足踏み』して様子をみているようだ」と指摘。自衛隊幹部は「どこまで日本にちょっかいをかければ、トランプ氏が出てくるかを試している」と分析する。 12日の小泉氏とヘグセス米国防長官の電話会談で日本側はレーダー照射問題に言及した。ただ米側の発表はレーダー照射には触れず「中国の軍事活動について協議した」と述べるにとどめた。中国を過度に刺激するのを避けたとみられる。 トランプ氏自身は現時点でレーダー照射に関し「沈黙」を続けている。 10月には中国の習近平国家主席と会談し、中国への高関税や輸出規制の発動を1年延期することで合意。習氏もレアアース(希土類)の輸出規制を延期した。来年11月に中間選挙を控えたトランプ氏は中国との通商交渉を重視。米ホワイトハウスのレビット大統領報道官は11日の会見で日中対立について問われ「大統領は日本との同盟を維持しつつ、中国とも良好な協力関係を築くべきだと考えている」と強調した。 台湾有事を巡る11月の高市早苗首相の「(米軍などへの)武力行使があれば存立危機事態になり得る」という国会答弁も米国をいらだたせた。 「(米中が)うまくやろうとしているのに、邪魔しないでくれ」。政府関係者によると、トランプ氏は11月末の日米首脳電話会談で、首相に対し厳しい口調でくぎを刺したという。官邸筋は「首相は会談後、かなり落ち込んでいた」と明かす。 日本政府は米中の接近を警戒しつつ米国以外の同志国に理解を広げようと腐心する。小泉氏はヘグセス氏に加え、北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長、イタリアのクロセット国防相とも相次ぎ電話会談。レーダー照射や中ロ爆撃機の共同飛行について説明し「強い懸念」を共有した。防衛省幹部は「中国は今後も対日威圧で多くの変化球を投げてくるだろうが、各国と連携してうまくかわすしかない」と話す。

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