坂本慎太郎がソロライブを日本お披露目、リキッド公演で16曲

2018年2月5日 11:4220音楽ナタリー編集部

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1月17日と29日に東京・LIQUIDROOMで坂本慎太郎がワンマンライブを実施した。ここでは、17日公演の追加公演である29日公演の様子をレポートしていく。

坂本慎太郎とは?

1989年に結成したゆらゆら帝国でボーカルとギターを担当。バンドは10枚のスタジオアルバムや2枚組ベストアルバムなどを発売後2010年に解散した。翌2011年に自主レーベル・zelone recordsを設立しソロ名義での1stアルバム「幻とのつきあい方」をリリース。2013年にシングル「まともがわからない」、2014年に2ndアルバム「ナマで踊ろう」、2016年に3rdアルバム「できれば愛を」を発表した。2017年にドイツ・ケルンで開催されたイベント「Week-End Festival #7」で初のソロライブを実施し、2018年1月には東京・LIQUIDROOMで国内初となるソロでのワンマンライブを開催した。2022年6月に約6年ぶりとなる最新アルバム「物語のように(Like A Fable)」を発表。また自身の制作のほかにも、さまざまなアーティストへの楽曲提供やアートワークの提供など、その活動は多岐に渡る。

2010年のゆらゆら帝国の解散後、2011年に自身のレーベルzelone recordsを立ち上げてソロ活動をスタートさせた坂本。それからは同年に「幻とのつきあい方」、2014年に「ナマで踊ろう」、2016年に「できれば愛を」と3枚のソロアルバムをリリースしてきた。ほかにも他アーティストに歌詞や曲を提供するなど、精力的に音楽制作を続けている。しかしその間、ソロ名義ではライブを一切行うことがなかったため、再び彼がステージに立つ姿を多くのファンが熱望していた。

そんな坂本は、2017年6月に、同年10月のドイツ・ケルンのイベント「Week-End Festival #7」に出演することを発表。いよいよライブを行うことや、初めてのソロライブが海外となることなどが音楽好きを驚かせた。さらに翌11月には今回のLIQIDROOM公演の開催をアナウンス。ついに坂本が日本でソロ名義のライブをお披露目するとあり、ファンはチケットの争奪戦を余儀なくされていた。なおこの2公演はいずれも坂本(Vo, G)、AYA(B, Cho / OOIOO)、菅沼雄太(Dr, Cho)にサポートメンバーとして西内徹(Sax, Flute /Reggae Disco Rockers川上つよしと彼のムードメイカーズ)を加えた編成でパフォーマンスが行われた。また開場してから開演するまでの時間は二見裕志がフロアDJを担当。29日は二見のプレイ中もLIQIDROOMのエントランスからフロア入り口に続く列が途切れることなく、この列がようやく収まったところで開演の時間が訪れた。

トレードマークであるGIBSON SGを手にステージに姿を現した坂本は、オープニングナンバーに「超人大会」をセレクト。菅沼によるゆったりとしたドラムのビートの上にギター、フルートと音が重ねられるにつれて、ぎゅうぎゅうのフロアの熱気とは対比を成すようなひやりとした楽曲の世界観が場内に立ち上がっていく。観客は声を発することも体を揺らすこともなく、静かにバンドのアンサンブルと坂本の歌に耳と目を集中させているようだった。それから坂本とAYA、菅沼によるボーカルの掛け合いがダークな雰囲気を作る「スーパーカルト誕生」が続けられるなど、ライブは静かな幕開けとなった。

この日演奏されたのはソロアルバム3作品の収録曲の数々が中心。全体を通して派手な照明や演出は排除され、坂本も曲間にMCを挟むことも、ギターを交換することもなく淡々と演奏を続けていく。バンドの編成のシンプルさはメンバーそれぞれの演奏の巧さやアレンジの妙を生々しく際立たせ、オーディエンスはサウンドに身を委ねるように揺れながら、坂本の描く独特の世界観を存分に味わっていた。

またシンプルなバンドの中において、楽曲によってさまざまな楽器を使い分けた西内のパフォーマンスも出色のものとなった。「君はそう決めた」「幻とのつきあい方」ではソプラノサックスのソロで観客を圧倒し、「べつの星」「ディスコって」では豊かなフルートの音色を響かせる。また、ときにはギロやマラカスを操るなど、多彩な音色を操り各曲に彩りをもたらしていた。

本編ラストの「動物らしく」のイントロ時には、この日初めて坂本からフロアに言葉が送られる。「今日最後の曲です。今日はどうもありがとうございます」のひと言に、この日一番の歓声が起こっていた。なお「動物らしく」の終盤では坂本がループサンプラーやディレイを用いてカオティックな空間を作り出すなど、この日のハイライトと言える熱演でオーディエンスを魅了。演奏終了後の余韻の中で、「ゆらゆら帝国みたい」と口にする観客も見られた。

本編の14曲を演奏し終えると、坂本は改めてフロアに挨拶。二見や照明スタッフ、PAエンジニアを含めたメンバー紹介を挟み、そのまま「ここからアンコールをやります」と話して観客を笑わせる。それから「好きではないけど懐かしい」「悲しみのない世界」を届けて、しっとりとした雰囲気の中で全演目を終えた。観客は再びDJブースに現れた二見がセレクトするBGMの中、思い思いにライブの感想を語りながら会場をあとにしていた。

この記事の画像(全5件)

  • 1月29日に行われた坂本慎太郎「坂本慎太郎LIVE 追加公演」の様子。 (撮影:三田村亮)
  • 坂本慎太郎(Vo, G) (撮影:三田村亮)
  • AYA(B, Cho / OOIOO) (撮影:三田村亮)
  • 左から菅沼雄太(Dr, Cho)、西内徹(Sax, Flute / Reggae Disco Rockers、川上つよしと彼のムードメイカーズ)。 (撮影:三田村亮)
  • 西内徹(Sax, Flute / Reggae Disco Rockers、川上つよしと彼のムードメイカーズ)。 (撮影:三田村亮)

坂本慎太郎「坂本慎太郎LIVE 追加公演」2018年1月29日 LIQUIDROOM セットリスト

01. 超人大会
02. スーパーカルト誕生
03. めちゃくちゃ悪い男
04. べつの星
05. 義務のように
06. ずぼんとぼう
07. できれば愛を
08. 幽霊の気分で
09. 君はそう決めた
10. 鬼退治
11. ディスコって
12. ナマで踊ろう
13. 幻とのつきあい方
14. 動物らしく
<アンコール>
15. 好きではないけど懐かしい
16. 悲しみのない世界

坂本慎太郎の画像

  • 「坂本慎太郎LIVE2024」フライヤー
  • 坂本慎太郎「幽霊の気分で」7inchアナログジャケット
  • 坂本慎太郎
  • ゆらゆら帝国(提供:ミディ)
  • ゆらゆら帝国「3×3×3」ジャケット(提供:ミディ)
  • 坂本慎太郎
  • 「LIQUIDROOM 20th ANNIVERSARY 坂本慎太郎」告知ビジュアル
  • 「坂本慎太郎LIVE2022@キャバレーニュー白馬 フィルム上映会」フライヤー
  • 坂本慎太郎BANDライブ告知フライヤー
  • 「坂本慎太郎LIVE2023ツアー」追加公演告知ビジュアル
  • 「FRUE & BIG ROMANTIC RECORDS presents 坂本慎太郎 / Tim Bernardes」フライヤー
  • 「坂本慎太郎LIVE2023ツアー」フライヤー
  • 「LIQUIDROOM 19th ANNIVERSARY Cornelius 坂本慎太郎」ビジュアル
  • 坂本慎太郎「それは違法でした」ライブ映像より。
  • 「坂本慎太郎LIVE2022@キャバレーニュー白馬 フィルム上映会」告知ビジュアル
  • 「坂本慎太郎 LIVE2023 in HIBIYA」告知ビジュアル
  • 「坂本慎太郎 LIVE 2022 "Like A Fable"ツアー」告知ビジュアル
  • 坂本慎太郎「ある日のこと(One Day)」MVのイラスト原画。

リンク

  • zelone records
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