七月隆文『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』を読み終わった。
今回の日記ではその感想をつらつら書いていく。
切ねぇ~~~~~~~~ッッッッッッ!でも好き~~~~~ッッッッッッ!!
読後の第一声がコレ。
いや~めっちゃ読みやすくてすぐ読み終わっちゃった。
「恋愛小説なんて読むガラじゃねぇや」っつってあんま読んでこなかったんだけど。
こういうのならもっと読みたいですね。
ちょっとSFミステリーっぽくもあり、恋愛模様も凄い心地よい内容で、本当に良かった。
何より、滅茶苦茶内容が甘酸っぱいのね。
しかも俺が今めっちゃ求めてた甘酸っぱさだったね。
サーティワンのオレンジソルベ的な。俺が大好きな甘さと酸味のハーモニー。分かるか。
物語の構成もしっかりウケるところ抑えて来てて心地よかったね。
序盤から中盤にかけては恋愛小説にありがちな甘い日常生活を描いて読み手をほっこりさせる。
で、ヒロインが抱えてる秘密が中盤で明らかになって、そこから怒涛の後半が始まるっていう。
後半の2人の向き合い方が本当に真摯で、男女が好き合うってこういうことだよなって猛烈に心打たれましたね。
あと、ちょっとハナシがそれちゃうんだけど、興味深かったのが「恋愛が成就するところから物語が始まる」という展開ね。
恋愛小説って、恋人同士になるまでの駆け引きだったり、紆余曲折あってお付き合いしますっていう流れを本筋で語るのが主流だと勝手に思ってたんだけど。
この作品はそれを全部外して最初っからカップルになってる。
それが何か新鮮味あったというか、俺の知ってる恋愛小説な感じではないんだなって。
まあ恋愛小説あんま読んでないから完全に素人意見で恐縮なんですけども。
俺の好きな森見登美彦の『四畳半神話大系』に「成就した恋ほど語るに値しないものはない」っていうセリフがあるんだけどね。
まあ成就した恋って野暮ったいじゃないですか。どこか。
悪く言えば、他人の惚気話聞かされるようなもんだからな。
ただただ甘々な生活見せられ続けても、そりゃ甘いもんばっかずっと摂ってたら食傷気味にもなりますよと。
それでも、この作品は舞台設定を逆手にとって、成就した恋から物語をスタートさせるんだよね。
そこがおもしろいなって。
で、並の作品だったらただのベタベタした野暮ったい内容に終始しちゃうんだろうけど。
そのベタベタした展開を中盤で切り上げて、後半で秘密を明かして、お互いが本当の意味で心から仲睦まじく真摯に向き合ってお付き合いするっていう展開が本当に良かった。
ナニコレ、全然野暮ったくないじゃんって。
この成就した恋愛話を切り上げるタイミングと、そこから2人の心が更に深いレベルで通じ合っていく様が本当に良いなって。
しかも通じ合っていくほど物語に酸味が出てくるのが良かったね。これは舞台設定が本当に活きている。
成就した恋から物語を始めるっていう冒頭で、ここまで野暮ったくならないのはひとえに作者の腕だと思う。
こういう展開の仕方もあるのか~って勉強になったし、読んでて本当に心が打たれた。
すばらですね。
他には、カップルなりたての雰囲気がスゲェリアリティアあるよね(笑)
あの付き合いたて特有の、俺の周りが全て上手く回っている感。
何かも何もかもが思い通りになってて、世界がバラ色になるってこんな感じなんだっていうあの潤いに満ちた浮かれポンチ感。
そういう雰囲気がすごいよく出てて、何か懐かしくなっちゃった。
不肖、わたくしちくぜんめも、一応は学生時代に恋愛の1つでもキメておりましてですね。ええ。
その学生時代に初めて付き合った女性が、今の伴侶なわけですよ。ええ。
そんな10代の大学生時代、今の妻と恋人同士になりたての頃を思い出しましたね。
そうそう、俺もこんな感じで浮かれてたよな~って。
なんか読んでてしみじみしちゃった。
そんな感じで凄い面白い作品でしたよと。
とにかく読みやすかったですね。
物語の構成も起承転結凄いしっかりしてて入り込みやすくできてた。
こういう恋愛小説をもっと読んでみたいなって思わせる良い作品でございました。
次は辻村深月作品に戻って、デビュー作の『冷たい校舎の時は止まる』を読んでいこうと思う。
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