人生は一度きり。でも今までの人生は後悔ばかり。あの時もし違う決断をしていたら、どんな人生が待っていたのだろう?
そんなことを考えてみたことありませんか?

『The Midnight Library』は、全英1位!世界55カ国で刊行され、各国で記録的ベストセラーとなっている
マット・ヘイグの『ミッドナイト・ライブラリー』という本がある。
主人公はノーラ・シード、35歳。ブリストル大学で哲学を学び主席で卒業したが、故郷のベッドフォードの町に戻り、楽器店「弦理論」で働いている。一人暮らしである。
ある日の夜、ノーラは最愛の猫を亡くし、悲しみのどん底の中、翌日勤め先をクビになる。たった1人だけのピアノの生徒さえやめてしまう。
いくら悲しくても話を聞いてくれる家族も友人もいない。「私がもっといい飼い主だったら」「両親が亡くなる前にもっと親孝行ができていたら」「恋人と別れなければよかった」「親友と一緒にオーストラリアに行けばよかった」「故郷に戻らなければよかった」
頭をめぐるのは後悔ばかり。自分は誰からも必要とされていない、生きている意味などもうないと、日が変わる直前にノーラは衝動的に自らの命を絶とうとして大量の薬を飲んだ。
ふと気づくと、そこには不思議な図書館が佇んでいた。中に入るとそこにいたのは、高校生の時に、昼休みには必ず一緒にチェスを囲んだ図書館司書のエルム夫人(らしい人)。時計は0時00分00秒を指したまま動かない「真夜中の図書館(ミッドナイト・ライブラリー)」だった。
生と死の狭間に存在するこの図書館にあるどの本にも、もしもあの時違う決断をしていたら、ノーラが生きていたかもしれない今とは異なる人生、秘めていた可能性と同じ数だけの無数の異なる人生が詰まっている。そしてそのどれか1冊の本を選べば、あったかもしれない自分の人生をひとつ、自分の目で、自分の身体で確かめてみることができるのだ。
ノーラはエルム夫人に導かれながら、幾つもの人生を経験することになる。違う決断をした先にある別の自分の人生は、果たして満足のゆくものだったのか、幸せだったのか? 今すぐにも死にたいと思っていたノーラの考えは、あったかもしれない人生を経験することでどう変わるのだろうか?
エルム夫人の言葉には、普遍的な真理や心に響くフレーズが数多くちりばめられている。その幾つかを紹介しておこう。
「私たちは自分が好きな知覚したものしか理解できません。そういうふうになっているの。つまり私たちが経験するすべては、結局、私たちの知覚に帰されるのです。”大事なのはあなたが何を見ているのかではない。何が見えているのかだ”ということです。」
「小さな物事の持つ大きな意味を、決して過小評価してはいけませんよ。それは肝に銘じておくべきです。」
「 人生というものはみな、数百万という単位の決断でできています。極めて重大なものもあれば、逆に、まるっきり些細なものもある。けれど、たとえどんな決断でも違う形でやりなおせば、結果も自ずと変わってきます。後戻りはできない変化が起き、それがまた、さらなる分岐へとつながっていく。」
私も今までの人生の中で、あの時違う決断をしていたらどうなっていたのだろう、どういう人生を歩んだのだろうと、「後悔」もしくは「想像(夢想?)」したことは何度もある。
「あの冬の夜、鳥籠を家の中に入れておけば(ジュウシマツは襲われなかったのに)」「あの時本当に入りたかった学部・学科を選んでいたら(どんな人生が待っていたのだろう)」「もっと目を大事にしていたら(今苦しまずにすむのに)」・・挙げたらキリがない。でも、ノーラのように、あったかもしれない人生を経験することはできない。
しかし、「決断」は過去だけの話ではない。私のように70歳に手の届きそうな高齢者でも、今後も大小織り交ぜて「決断」の連続の人生であることに違いはない。そして、今からの決断の積み重ねによって生じる「未来」は、それこそ無限の可能性を秘めているのだと思う。この本は、読む人によって心に響くことはみな異なるだろうが、私がこの本で学んだことのひとつは、「今」を見つめ直すこと、そしてもうひとつは、「未来には無限の可能性があること」である。そう考えると、これからの人生、わくわくしてくる。
真夜中の図書館で、ノーラがどのような人生を経験し、何を学び、どのような考えに至ったのか、果たして、今の人生の中に真実や幸せを見つけられたのか。是非この本を読んで、自分の目で感じて欲しい。自分の人生というものを見つめ直すきっかけになるかもしれない。
「あの時『ミッドナイト・ライブラリー』を読んでおけばよかった〜」と後悔しないためにも(笑)。それだけ読む価値がある本だと思う
(付記)時々、量子物理学の最新理論の話や並行宇宙(パラレルワールド)の話が出てくる。この小説の根幹に流れている考え方のようで、なかなか興味深い。楽器店の名前「弦理論」と関連付けて味わってみるのも面白いかもしれない。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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🙋♂️懐かしの英語の歌を読む(33)Simon & Garfunkel「明日に架ける橋」
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