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カシオが作ったモフモフAIロボット 生き物らしい「可愛さ」をどう設計したか小寺信良が見た革新製品の舞台裏(34)(1/4 ページ)

カシオ計算機が2024年11月、AIペットロボット「Moflin」を発売した。ペットロボット市場はベンチャーの製品が多い印象だが、なぜ大手メーカーであるカシオ計算機が参入したのか、同社が蓄積してきたメカトロニクス技術をMoflinにどう生かしたか、お話を伺った。

»2024年12月26日 06時00分 公開
[小寺信良MONOist]

 ペットロボット、と聞いて思い浮かべる製品は何だろうか。この市場を切り開いたのはソニーの「aibo」(アイボ)で間違いないと思われるが、それ以降も多くのペットロボットが登場している。ただ、大手メーカーによるものではシャープの「RoBoHoN」(ロボホン)の例もあるものの、この分野ではベンチャーの製品がかなり多く目立つ。

 しかし2024年11月7日、新しく大手メーカーがこのペットロボット市場に参入した。カシオ計算機がAI(人工知能)ペットロボット「Moflin」(モフリン)を発売したのである。価格はメーカー希望小売価格で5万9400円(税込み)となっている。

 実はこのMoflin、2020年に「Kickstarter」と「Indiegogo」にてクラウドファンディングを開始しており、目標金額の約30倍を達成した。2021年には「CES 2021」で「Best of Innovation Award」を受賞している。当時のMoflinは、カシオ計算機が企画、基礎開発を行い、ライセンス提供を受けたVanguard Industriesが開発、製造したものだ。今回、満を持してカシオ計算機から発売されることになったという流れだ。

2024年11月にカシオ計算機から発売されたAIペットロボット「Moflin」2024年11月にカシオ計算機から発売されたAIペットロボット「Moflin」[クリックして拡大]

 そもそも、ベンチャーが中心のこの市場に、なぜカシオ計算機が参入することになったのだろうか。今回はそんな疑問から、Moflinの企画、設計に関わった皆さんに取材させていたくことにした。

 お話を伺ったのは、カシオ計算機株式会社 NBセンター APグループ 開発マスターの二村渉氏、同 商品企画リーダーの市川英里奈氏、同 マーケティングの西澤晃弘氏である。

左から二村氏、市川氏、西澤氏左から二村渉氏、市川英里奈氏、西澤晃弘氏。それぞれが手に持っているのが「Moflin」だ

ペットロボット参入のきっかけ

――まず商品企画のところからお伺いします。貴社は技術力が高いので、作ろうと思えば何でも作れちゃう会社だとは思うんですけど、なぜペットロボットにフォーカスされたんでしょう。

市川英里奈氏(以下、市川氏) 私が商品企画を担当し始めたのが2011年ごろだったのですが、当時の当社は、女性向け商品の展開が少し弱いところがありました。それもあり、初めの仕事として「女性向け商品を企画してほしい」と伝えられました。

 企画に際しては「顧客ターゲットをあなた自身だと考えてください」と指示がありました。当時はちょうど30歳前後のころでした。自分はいまどういったものが欲しいのだろうかと考えて、仕事や日常生活の悩みを解決するものが欲しいななどいろいろ思いを巡らせました。ただ最終的に、1つ1つの悩みを個別に解決するよりも、自分自身を長期的にサポートして元気にしてくれる、そういった相棒のような存在が自分には必要なんじゃないか、と思い付きました。

 普段の日常生活や、ちょっと気持ちが落ち込んだ時に元気を与えてくれる。そういったものを作ろうと考えたのが、Moflinのスタートですね。

――いわゆる目先の問題を解決するっていうよりは、もうちょっと精神的な部分の商品っていうことですね。

市川氏 そうですね。結局悩みを解決するのは自分自身ですから、自分が元気でなければ悩みに対してうまく向き合えないなと。

 気分の落ち込みを解消するには買い物や旅行など、いろいろな解決策があると思います。一番大事なのは、まず自分自身が元気になること。それには自分が一番リラックスできる環境が必要だろうと考え、製品の想定利用シーンを自宅に設定しました。

――ペットロボットというと、もうある程度の歴史があるジャンルになっているわけですけれども、今はどちらかというとベンチャー向け市場といったイメージになっています。そこにメーカーとして大手の貴社が挑戦する背景には、どんなものがあったんでしょうか。

二村渉氏(以下、二村氏) 今のMoflinの原型になる製品の開発は、2016年ごろから始まりました。

 私が研究開発を担当していたころ、生まれたての小動物のような、小さくて可愛らしい「いとおしさ」をメカトロニクス技術で表現する、という課題が与えられたことがありました。最初はやはり動物の動きや形態の模倣から始めたのですが、これを突き詰めると、複数の関節を表現するなどどんどん複雑な形状になってしまいました。製品の価格としても、皆さんに買っていただくにはなかなか厳しいものがあります。

 そこでもっとシンプルに2軸の駆動だけで、生き物らしさとか可愛らしさのエッセンスだけを表現できるのではないか、と考えました。この挑戦がMoflinの原型となったわけです。

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