2024年11月1日(金)
東京国際映画祭2024のオープニングイベントとして10月28日(月)に行われたレッドカーペットの様子が生配信されましたが、その中で当映画に関するコメントに事実誤認がありました。
映画祭主催者に訂正・修正を求め、該当するコメントを除いた映像に切り替わりましたので、合わせてご報告させていただきます。
映画『港に灯がともる』は、阪神・淡路大震災の翌月に神戸市長田で生まれた在日コリアン三世の女性・灯(あかり)の葛藤や成長を描いた作品です。
在日の自覚は薄く、被災の記憶もない灯が、震災や家族、国籍に悩み苦しみ、時には壊れそうになりながらもそれでも一歩ずつ前を向き自分の「居場所」を見つける――。
一人の女性の感情を丁寧に紡いだ完全オリジナルストーリーです。
そして、主人公・灯を演じるのは、今作が初の映画主演作となる富田望生さん、監督はNHKで「カムカムエヴリバディ」(21)など数々のドラマを演出してきた安達もじりさんです。
安達もじり監督、脚本家の川島天見さん、主演の富田望生さんをはじめ、本作に携わった出演者、関係者、すべてのみなさまの想いの為に、こちらにて改めてお知らせいたします。
本作は2021年に公開した『心の傷を癒すということ 劇場版』を契機に、表情豊かな港町・神戸から世界へ響く映像作品を届けようと立ち上げられた「ミナトスタジオ」の船出作品。主人公・灯の苦しみや葛藤、成長を見事に演じ切ったのは今作が初の映画主演作となる富田望生。監督は、20年以上にわたり、NHKの演出家として「カムカムエヴリバディ」など数々のドラマを手掛けてきた安達もじり。神戸で暮らす人びとへの膨大かつ綿密な取材を基に、震災後をリアルに描くオリジナルストーリー。
1995年の震災で多くの家屋が焼失し、一面焼け野原となった神戸・長田。かつてそこに暮らしていた在日コリアン家族の下に生まれた灯(富田望生)。在日の自覚は薄く、被災の記憶もない灯は、父(甲本雅裕)や母(麻生祐未)からこぼれる家族の歴史や震災当時の話が遠いものに感じられ、どこか孤独と苛立ちを募らせている。一方、父は家族との衝突が絶えず、家にはいつも冷たい空気が流れていた。ある日、親戚の集まりで起きた口論によって、気持ちが昂り「全部しんどい」と吐き出す灯。そして、姉・美悠(伊藤万理華)が持ち出した日本への帰化をめぐり、家族はさらに傾いていく――。なぜこの家族のもとに生まれてきたのか。家族とわたし、国籍とわたし。わたしはいったいどうしたいのだろう――。
岡山県出身。1989年東京サンシャインボーイズに入団。’95年1月劇団活動休止後、活躍の場をTV、映画、舞台と広げていく。近年の主な出演作に、TV、連続ドラマ小説「カムカムエヴリバディ」(21)、大河ドラマ「どうする家康」(23)、映画「高津川」「22」等多数ある。
灯の父。長田で働いていたが、震災で仕事を無くしたことをきっかけに、家族と度々衝突するように。家族が進めようとする帰化に猛然と反対する。
大阪府生まれ、長崎県出身。TBSテレビ小説のヒロインを始めとして、テレビ•映画を中心に活動。ドラマ「カーネーション」 (NHK)、「J I N-仁」、「私を離さないで」 「義母と娘のブルース」シリーズ(TBS) 、「闇バイト家族」(TX)、「絶叫」、「華麗なる一族」(wowow)、「エンジェルフライト」-国際霊柩送還士-(Amazon Prime Video)映画 「キセキ-あの日のソビト」、「PERFECT DAYS」 などに出演。
灯の母 。震災で仕事を無くした夫と家族を支えてきたが、夫婦の溝は徐々に深まっていき…。
東京都出身。学生時代より演劇活動を始め、「オイル」「透明人間の蒸気」(共に 演出・野田秀樹)や「やわらかい服を着て」(演出・永井愛)など多くの舞台に出演。以降、映画、テレビドラマ、CMなど、幅広く活躍中。最近の出演作は映画「The Flowers Of War」(チャン・イーモウ監督)、「最後まで行く」(藤井道人監督)、「あの頃。」(今泉力哉監督)、「燕」(今村圭佑監督)、「閉鎖病棟」(平山秀幸監督)ドラマでは、関西テレビ「アバランチ」、TBS「VIVANT」、YTV「ブラックファミリア」。舞台では、「掃除機」(演出:本谷有希子)、「歌わせたい男たち」(演出:永井愛)、「目頭を押さえた」(演出:寺十吾)
就職活動を始めた灯を受け入れる設計士。丸五市場の再興を目指す
東京都出身。86年からモデルとして活動を始め、88年に映画デビュー。以後、映画やドラマで様々な役を演じる。99年「M/OTHER」で第14回高崎映画祭主演女優賞、13年には「チチを撮りに」で第7回アジアン・フィルム・アワードで日本映画界初の最優秀助演女優賞、20年には「浅田家!」で第33回 日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞 助演女優賞を受賞。
精神科医。治療にやってきた灯を受け入れ、回復へと導いていく。
岩手県出身。2016年にNHK連続テレビ小説「べっぴんさん」に出演、その後もドラマでは「この世界の片隅に」(18/TBS)、「3年A組 ―今から皆さんは、人質です―」(19/NTV)、「ライオンのおやつ」(21/NHKBS)、「二十四の瞳」(22/NHK)、「インターホンが鳴るとき」(23/テレビ大阪)に出演。映画では「去年の冬、きみと別れ」(18/瀧本智行監督)、「MOTHER マザー」(20/大森立嗣監督)、「本気のしるし TVドラマ再編集劇場版」(20/深田晃司監督)、「劇場版 おいしい給食 卒業」(22/綾部真弥監督)など多数出演。
長田・丸五市場にあるそば焼き屋の主。市場の再興計画を通して灯と知り合う。
東京都出身。大学時代に俳優を目指し、2007年、ブルースカイ作・ 演出「レミゼラブ・ル」で本格的に演劇活動を開始。飄々としたキャラクターを得意とし、作品に豊かな彩りを与える存在として、舞台、映画、ドラマと縦横無尽に活躍中。近年の主な出演作は、映画『すばらしき世界』(西川美和監督)、『ほつれる』(加藤拓也監督)、『ぼくのお日さま』(奥山大史監督)、NHK連続テレビ小説「なつぞら」、舞台「綿子はもつれる」(た組/作・演出 加藤拓也)「暮らしなずむばかりで」(月影番外地/作 福原充則 演出 木野花)、「て」(ハイバイ/作・演出 岩井秀人)など。
灯と同じクリニックに通う青年。たびたび周りと衝突するが…。
1987年生まれ、神戸市出身。故郷・長田を拠点にラッパーとしてライブ活動を行っている。両親はベトナム戦争の時に戦禍を避けて日本にきたボートピープル。10代の頃からヒップホップを始め、両親の経験、そして国籍や名前で悩んだ自分の思いを歌にした「オレの歌」をリリース。在日外国人を中心に、アイデンティティに悩む多くの人々の心をつかんだ。今回、役者として映画に臨むのは初めての挑戦となる。
長田を愛する在日ベトナム人。丸五市場の再興を目指す灯を優しく受け入れる。
東京都出身。学生時代、友人につられて演劇部に入部したことをきっかけに演劇に興味を持ち東京セレソンDXなどの公演に出演。その後、映像作品への出演を目指し活動し、映画「いぬやしき」や土曜ドラマ「パーセント」などに出演。
灯が働く設計事務所の先輩。仕事に慣れない灯を優しく見守る。
兵庫県神戸市出身。2019年AbemaTVの恋愛リアリティーショー「白雪とオオカミくんには騙されない♡」の出演をきっかけに芸能界デビュー。SNS総フォロワー数は110万人を超え、現在ではTVCM、地上波テレビ番組、更に女優として映像作品にも活動の幅を広げている。
灯の唯一無二の親友。母が震災による心の傷を抱えていて…。
神奈川県出身。2020年公開のW主演映画『うみべの女の子』(ウエダアツシ監督)での演技が評価され、毎日映画コンクールスポニチグランプリ新人賞にノミネート。翌年公開の米映画『MINAMATA 』(アンドリュー・レヴィタス監督)では、ジョニー・デップと共演。主な出演作に、映画『はだかのゆめ』(甫木元空監督)、『なぎさ』(古川原壮志監督)、『神回』(中村貴一朗監督)、『まなみ 100%』(川北ゆめき監督)、ドラマ「きれいのくに」(NHK)、連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(NHK)、Amazon Original 「モアザンワーズ/More Than Words」、「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」(NTV)、など。
灯の弟。家族の中で器用に立ち振る舞いながら、自分の居場所を探している。
大阪府出身。主な出演作品にドラマTX「お耳に合いましたら。」、TX「日常の絶景」、KTV「時をかけるな、恋人たち」 など。初主演映画『サマーフィルムにのって』では TAMA 映画賞にて最優秀新進女優賞を受賞、第31 回日本映画批評家大賞にて新人女優賞を受賞。今後の待機作に2024 年4月放送のNHKドラマ10「燕は戻ってこない」、NHK土ドラ「パーセント」(主演)など。
灯の姉。家族で一番のしっかり者。結婚を見据え、率先して帰化手続きを進める。
福島県いわき市出身。映画「ソロモンの偽証」(15)の1万人が参加したオーディションでメインキャストに選ばれたことをきっかけに、俳優としての活動を開始。その後、話題作に次々と出演。主な出 演作品は映画「モヒカン故郷に帰る」(16)「チア女ダン女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話」(17)「SUNNY強い気持ち・強い愛」(18)。ドラマでは連続テレビ小説「なつぞら」「ブギウギ」「教場」「だが、情熱はある」 「富田望生の日日是芸術」などがある。
阪神・淡路大震災から1か月後に、被害の大きかった神戸市の長田区で生まれる。在日コリアン家族のもとに生まれたが、自分が韓国人だという意識は薄く、国籍や家族との関係に揺らぎを感じはじめる。
ドラマ番組ディレクター。主な演出作品は、連続テレビ小説「カーネーション」「花子とアン」「べっぴんさん」「まんぷく」「カムカムエヴリバディ」、大河ドラマ「花燃ゆ」、土曜ドラマ「夫婦善哉」「心の傷を癒すということ」(第46回 放送文化基金賞最優秀賞受賞)「探偵ロマンス」、ドラマスペシャル「大阪ラブ& ソウル この国で生きること」(第10回放送人グランプリ受賞)など。
20歳頃から独学で脚本を書き始め、ドラマの制作現場でディレクター業務の経験を積む。作品が映像化されるのは今作品が初となる。
広島・パリを拠点に活動する映画音楽作曲家、音楽家。現在上映中『ミッシング』『湖の女たち』の他、映画『カラオケ行こ!』TVアニメ「ミギとダリ」など話題作を多く手がける。安達もじり監督とはNHK朝の連続テレビ小説「べっぴんさん」TV・劇場版『心の傷を癒すということ』に続き、三作目。言葉を視覚的に立ち上がらせる類まれな色彩感覚を持ち、森山直太朗、いきものがかり、坂本美雨など様々なアーティストの編曲を行ったり、名曲を自身の演奏で再構築する「あなたの生きている世界」シリーズ(音源)を不定期に発表している。
関西に縁のある有志が集い、神戸を本拠地として2023年に立ち上げたスタジオ(映像制作会社)です。私たちは、2021年から映画「心の傷を癒すということ」の上映活動を日本各地で続けてきました。そして、阪神淡路大震災や東日本大震災をはじめとした災害で今もなお苦しんでいる人々が大勢いらっしゃるということ、そして映画がその方々の心に寄り添い、「癒し」になっていることを感じてきました。
戦争や災害、病気など、様々な苦しみが絶え間なく襲ってくる現代において、人の心に寄り添う映像作品を作ることで、その苦しみをやわらげ、生きづらさを減らすことができるのではないか。そういう作品を作り、日本中、そして世界中に届けていきたい、というのが私たちの願いです。
精神科医・安克昌さんはその著書「心の傷を癒すということ」の中で、「今後、日本の社会は、この人間の傷つきやすさをどう受け入れていくのだろうか。傷ついた人が心を癒すことのできる社会を選ぶのか、それとも傷ついた人を切り捨てていくきびしい社会を選ぶのか……」と問いかけました。
人々が寄り添い合いながら心を癒すことができるあたたかい社会の実現を目指し、それに貢献する映像作品を、日本、そして世界に向けて作り、届け続けていきます。