あと数ヶ月で大学を修了する。単位もとれたし論文もきっと書けるだろう。バイトもサークルも勉学も一通り手をつけた。でも一年くらい前から何か違和感を抱いていた。大学を出る頃にはいろんなことを知っていてその知識を有機的に結びつけられる力や文章力がついているものだと思っていた。でも実際はうすっぺらい人間が一人出来上がっただけだった。理想との現実に大きなギャップがあったのだ。
これではいけないと半年ほど前から本腰を入れて書評ブログを書き始めた。本から得た知識を自分の中で咀嚼して落とし込むには書評を書くのがいいからだ。いろんな書評を書いてきたがひとつの目標が教養がざっくり学べる本のまとめを作ることだった。すなわちこの記事を書くことだ。
さっそく紹介していこう。

哲学とは考えること、哲学者とは知を愛するひとのこと。すなわちオタクだ。人類が今までなにをどう考えてきたかを知れば自分の悩みがいかに古びたものか分かるはず。哲学の流れを口語体でわかりやすく説明している。

若い読者のための世界史(上) - 原始から現代まで (中公文庫)
世界史は広くて深い。一度に全部を知るのは無理だからちょっとずつ角度を変えて覚えていくのがいい。著者はヨーロッパ圏の人なので内容も欧州に偏りがち。アジアや南米の歴史は別の本で知ろう。
書評記事↓
【書評】歴史から人を理解する/「若い読者のための世界史-原始から現代まで-」 - マトリョーシカ的日常
【書評】新しい価値観が新しい発明を生んだ/「若い読者のための世界史~原始から現代まで~下」 - マトリョーシカ的日常

日本人は宗教と聞くと敬遠していまう人が多い。しかし世界ではそんな国は珍しい。宗教は異文化を理解する上でとても重要な要素であるから、とりあえず宗派とそれぞれの考え方の違いを頭に入れておこう。

画家とタイトルの組み合わせをただ覚えるのが美術史ではない。それが何を描いているのか、なぜ描かれたのかを知ることが大切。ピカソやゴッホくらいしか知らない人でも十分に楽しめる本。後半の「美術の歩み」は時代区分ごとに美術の流れが分かりやすくまとまっていておすすめ。

クラシックの本はよくあるが、全ての時代を網羅した本というのはなかなか珍しいと思う。
聴かずにわかるクラシックと銘打たれた本書だが、僕はやっぱり聴きながら理解したかったので書評記事では音源もあわせて紹介した。つたない記事にも関わらず多くの反響があって驚いた。もっとよく書いておけばよかった。

SF作家のアイザック・アシモフによる化学の歴史本。物体は何でできているのかという人間が抱いた単純な疑問から化学はスタートする。火の発見や合金の利用からはじまって核反応まで。文庫とは思えない圧倒的ボリュームにひれ伏しましょう。
書評記事↓
【書評】四元素説から核反応まで。SF作家アシモフによる初心者向けざっくり化学史/「化学の歴史」 - マトリョーシカ的日常

数学というより幾何学のお話。ナイル川流域の氾濫の影響で生まれた幾何学の流れはターレス、ピタゴラス、そしてユーグリッドへとうつっていく。数式なんか分からなくても幾何学的な図形を見るだけで心が落ち着く。

この世を支配する力はなにか。ニュートンの古典力学から光の波動説、マクスウェル方程式、相対性理論、量子論へと展開されるステージは目を見張る。読み終わると自分が不思議な力によって状態を保っていることを自覚するはず。マトリックス観た後みたいになる。
書評記事↓
【書評/感想】つぎつぎと次のご都合主義を/「物理学はいかに創られたか(上)」 - マトリョーシカ的日常
【書評/感想】みんな生まれながらのタイムトラベラーです。/「物理学はいかに創られたか(下)」 - マトリョーシカ的日常

生物は物理や化学のように歴史物として表現するのが難しい。人間がいたときには生物はわんさかいたからね。ダーウィンの「種の起源」やデカルトの「人間論」、ワトソン、クックの「デオキシリボ核酸の構造」など生物学を語るにははずせない十の原典を挙げ、分かりやすい解説と原典の抜粋が書かれている。とりあえず目を通すには最適な一冊。
書評記事↓
【書評/感想】研究の価値や効果は選択する材料如何である/「原典による生命科学入門 」 - マトリョーシカ的日常

蜻蛉日記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典<ビギナーズ・クラシックス 日本の古典> (角川ソフィア文庫)

もっといいのあるだろ、という批判があると思う。ごもっとも。申し訳ありません。海外文学をざっくり説明している本が見つからなかったのでやむなくこの一冊を紹介する。新潮文庫の海外文学ははずれが少ない印象を受ける。古本屋にもよく売られているので見つけたらぜひ手に取ってほしい。

本当は岩波文庫の資本論を読もうと思ったけどあまりにも量が多すぎるので断念して漫画にした。資本論を解説している本は他にもたくさんあるらしいのでそっちも読んでみようと思う。理系の僕にとって経済学=資本論というイメージしかないのだけど本当のところはどうなんだろう。
書評記事↓
【書評/感想】資本論に適用されない社会が生まれてきた/「まんがで読破!資本論」 - マトリョーシカ的日常
2chの読書スレで「これは読んでおかなくちゃやばい」という旨のテンプレがある。有名どころの書名がずらーっと並んでいるのだがあれを全部読むのは苦しいし沢山読んだところで頭に残るのはほんのわずかだ。それならまずは教養の下地をつくっておいてそこから詳しい分野の本を読み進めていくのがいいのでは。そう思ってざっくり教養本まとめを書いた次第だ。
この記事を読んでいろんな分野の知識に興味を持つ人が増えたらいいなと思う。
あと、「この分野がない!」と思ったらコメントかブコメで教えてください。そのうち続編を書きます。
お金に関する教養はこの本を読んでみてください。
お金の教養 お金の悩みは「仕組み」を作れば解決できる!
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