
8月23日夜。外国人が多く住んでいることで知られる群馬県大泉町で国際交流イベントが開かれていた。会場となった同町坂田の「花の広場」にはブラジルやタイ、ネパールなど8カ国の屋台が並び、日本人や外国人が本場の料理を楽しんでいる。
この日集まったのは約6000人。人口4万人ほどの町でこれだけ集まるのは、多文化共生で知られる大泉町ならではだ。
外国人政策の見直しを訴える高市早苗氏が首相になった。外国人への視線が厳しくなるなか、住民の2割を外国人が占める群馬県大泉町を歩いた。(全3回の第1回)<外国人の「勢い」に戸惑い>につづく
しかし、実情は少し違う。
「正直なところ、地元の人はほとんどいない。東京やその近郊からが大半です」。主催した町観光協会の男性がそう明かす。交流サイト(SNS)では「またイベントをやっていたので、会場のそばを通るのをやめました」など住民とみられる批判的な書き込みも少なくないという。
「共生の町」として全国から視察が相次ぐ大泉町だが、外国人と身近に暮らす住民の思いは複雑で、交錯している。
2024年の統計によれば、大泉町に住む外国人は8306人で、町全体の人口の2割を占める。
実際、町を歩くと外国人の姿は目立つ。東武小泉線・西小泉駅からほど近いグリーンロードに出ると、その印象はさらに強くなる。
ポルトガル語やスペイン語、ベトナム語などで書かれた看板が並び、ブラジルやフィリピン、ネパールなどの飲食店や雑貨店が軒を連ねる。そこでは「2割」よりもはるかに多くの外国人が行き来する。
「AMG GROCERY MART」と看板に書かれた食材店に入ると、若い男性店員が「ナマステ」とのあいさつで、迎えてくれた。
独特のスパイスの香りがする店内には、南アジア料…
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