
釈然としない思いは今も消えない。平均6・5%、最大10%。前例のない生活保護費の大規模な切り下げは、妥当だったのか。
2013~15年に実施された減額を巡り、受給者が自治体や国に取り消しと賠償を求めた集団訴訟が、大きな節目を迎える。先行する2件の上告審で、最高裁第3小法廷が弁論期日を27日に指定し、夏にも統一判断を示す見通しだ。厚生労働省が減額を決めた時に担当記者だった私は、なぜこのような大幅減額が行われたのか、不可解な点が残されていると思う。厚労省は裁判の行方に関係なく、減額に至った経緯を一から調査・検証し、公表すべきだ。
おさらいしたい。厚労省は13年1月、生活保護基準を見直し、日常生活費にあたる「生活扶助」を3年かけて大幅に減額する方針を示した。
残り1567文字(全文1898文字)