
「同性愛は心理的障害」「同性カップルの子育ては問題あり」――。富山市議会の自民党会派が1月に開いた勉強会で、講師として招かれた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関連団体の関係者がそんな考えを示し、同性パートナーシップ制度への反対を訴えた。市や富山県は制度導入を検討しているが、市長や県知事も就任前、教団側の選挙支援を受けた。教団側が国政だけでなく、地方政治にも接近を図るのはなぜなのか。背景を探った。
複数の市議によると、勉強会は1月27日、富山市議会が入る庁舎の会議室で開かれた。教団を母体とする政治団体「国際勝共連合」で婦人問題を担当していた女性(現在は退職)が「危機に立つ結婚と家庭のあり方―同性パートナーシップ制度問題を考える―」と題し、約1時間講演した。
資料によると、講演では同性愛や性同一性障害を「心理的障害」とし、「家庭崩壊や性道徳の退廃が原因となって、性自認が混乱したり、同性愛に依存するケースも少なくない」などとする学説を紹介。「同性カップルの子育ては悪影響がある」「制度のニーズは高くない」などと主張し、「同性パートナーシップ制度の拡大に歯止めをかけましょう!」と呼び掛ける内容だ。
同制度は、LGBTなど性的少数者のカップルを自治体が婚姻相当と認めるもので、内閣府によると1月時点で147自治体が導入。富山県では2021年12月、副知事が導入を検討すると表明し、富山市でも同調する動きがあったため、自民党会派が勉強会を開いたという。
この女性を講師として招いた市議は「制度に詳しい人ということで、知人から紹介してもらった。反対派だとは聞いていたが、教団との関係は知らなかった」と釈明する。
一方、参加した別の市議は「同僚と『ちょっと内容に問題があるよね』という話をした。幅広い意見を聞くために勉強会をやったが、制度導入への危機感があったのでは。教団との関係を隠して近づいたのだとすれば許せない」と話した。
市議会では19年6月にも、当時の自民党会派がこの女性を招き、伝統的な家族観に基づく家庭教育について勉強会を開催。同年10月には、女性が「先進的な取り組みをしている」と話した熊本・鹿児島両県に市議6人が視察に訪れた。
教団側と接点があったのは市議会だけではない。藤井裕久・富山市長は、初当…
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