
東京オリンピックは7月23日の開幕まで2カ月を切っても、新型コロナウイルスの感染拡大で開催への理解を得られていない。大会出場を目指す選手たちには、戸惑いが広がっている。1980年のモスクワ五輪のボイコットを経験した日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は「コロナ禍によって分断された世界が一つになれる機会」と、東京大会の意義を訴える。【聞き手・浅妻博之】
東京オリンピック・パラリンピック開催に対する支持率が上がっていないのは、安全面に多くの日本国民が不安を持っているからだと感じている。国民の安全を守ることを大前提に、大会の準備を進めているものの、そのことを伝えきれていないのが一番の理由だと思う。
新型コロナの世界的な感染拡大で東京大会の延期は2020年3月に決まった。追加経費がかかるため、削るところは削って簡素な大会計画を作り上げた。9月以降は国民の安心安全を守りながらどう開催できるかを国際オリンピック委員会(IOC)と真剣に議論してきた。残念なのは、「国民の安心安全を守るのか」「強引に大会を開催するのか」という二者択一に受け取られてしまったことだ。
20年11月にIOCのバッハ会長が来日した際、…
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