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話題のニュースを取り上げた寄稿やインタビュー記事、社説をもとに、読者のみなさんの意見・考えをお寄せください。(2022年3月で更新を終了しました)

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開かれた新聞委員会

離任に当たり、今月末交代 報道の魂、忘れず変革を

毎日新聞2020/12/29 東京朝刊3124文字

 「開かれた新聞委員会」の委員4人が12月末で交代します。委員会は、毎日新聞と読者の間に立つ第三者の目で、人権侵害の監視や記事への意見、報道への提言を行うため2000年に発足しました。吉永みち子委員(ノンフィクション作家)は13年半、池上彰委員(ジャーナリスト)と鈴木秀美委員(慶応大教授)は9年半、荻上チキ委員(評論家)は6年にわたり委員を務めました。離任に当たり、今後の毎日新聞を含めたメディアへの提言をいただきました。なお、21年1月から、弁護士の小町谷育子さん(57)、ジャーナリストの治部れんげさん(46)、専修大教授の武田徹さん(62)、東京工業大准教授の西田亮介さん(37)が委員を務めます。

ジャーナリストの池上彰さん拡大
ジャーナリストの池上彰さん

文春を超す特ダネ、期待 池上彰委員 ジャーナリスト

 新聞大好き人間として「開かれた新聞委員会」で新聞のあり方について議論し、毎日新聞社の方針を聞くことができたのは、貴重な経験だった。いまは新聞社として懸命の努力を重ねていても、購読者数の減少に歯止めがかからない。ネットニュースをはじめ多彩な媒体が存在している以上、新聞は以前のような「ニュースの王様」の地位を維持することはできない。

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 それにしても、もう少し何とかならないのか、という思いを禁じ得ない。「特ダネ」といえば新聞社の独壇場だった時代もあるが、いまや「週刊文春」の後塵(こうじん)を拝する事態がしばしば起きている。「週刊文春」には、実にたくさんの「タレコミ」、つまり情報提供があるという。相手が政治家であろうと忖度(そんたく)なしに切り込む様子を見れば、新聞社より「週刊文春」に知らせた方が効果的だと考える人が出てくるのは当然のことだろう。

 実は毎日新聞だって忖度なしに報道してきたのだが、「大手メディア」と一くくりにされることで、軟弱な姿勢に見えてしまうのは残念だ。このところ新聞各紙もテレビ各局も「週刊文春によると」という表現が目立つ。今度は「週刊文春」に「毎日新聞によると」という記事が出るようになってほしい。今朝はどんな特ダネが出ているのか、とワクワクしながら朝刊を手に取る日々が続くことを期待している。

評論家の荻上チキさん拡大
評論家の荻上チキさん

発信形態の見直し、必要 荻上チキ委員 評論家

 着任時、毎日新聞は、技術的対応だけでなく、内容面・企画面でも、ウェブ発信において大きな課題を指摘されてきた媒体だった。在任中は、サイトの機能や特集記事について意見を述べるほか、海外メディアの取り組みや、ウェブ上で注目されているアクティビズム(社会運動)などを紹介しながら提言してきた。また、アカデミズムとの連携や資料調査を強化した、調査報道の発展についても私見を伝えてきた。

 SNS上でのシェアが、記事への入り口の役割を果たしている今、ウェブマガジン・メガサイト型のメディアは、発信モデルの見直しを迫られている。もちろんそれは、「あおり見出し」で閲覧数を獲得すればいいというものではない。動画(ユーチューブなど)、画像(インスタグラムなど)、テキスト(ツイッターなど)といったさまざまな表現媒体を用い、分散的に自立するメディアをどう育てるか。メディア形態の見直しは、不断の実践だろう。

 社内リソースも、さらなる活用ができる。災害報道の際などには、直感的に視認できる記事デザインも求められる。永田町の政局を取り上げる時は、社会部とも連携しながら、当事者、市民団体、社会運動の要望と政治の動きとの比較も可能だろう。「公文書クライシス」のように、資料収集に基づくチーム報道は、デジタル向けにさらに強化可能だ。新聞社には変わらず、大きな社会的機能が担わされている。

慶応大教授の鈴木秀美さん拡大
慶応大教授の鈴木秀美さん

心強かった、政権の追及 鈴木秀美委員 慶応大教授

 委員会の役割は、(1)第三者の目で記事による名誉毀損(きそん)などについての当事者からの苦情に対し見解を示すこと(2)紙面に問題があると考えたときに意見を表明すること(3)より良い報道のために提言すること――である。憲法やメディア法を研究している私にとって、(1)の役割はまさに専門といえる。これに対し、専門ではない経済や外交などについての報道をより良くするための提言には、少なからず抵抗を感じてきたというのが正直なところである。

 とはいえ、2011年5月からの私の在任期間は、7年8カ月に及んだ安倍長期政権との並走だった。憲法96条の改正提案(ただし実現せず)、憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認、特定秘密保護法の制定、さまざまなかたちでのメディアへの介入など、私が専門的見地から遠慮なくコメントできる多くの問題が発生し、忌憚(きたん)のない意見を述べてきた。この間、毎日新聞が、安倍政権の数々のスキャンダルを鋭く追及し、公文書管理のあり方や特定秘密保護法の運用などを批判的に報じていることは心強い限りであった。

 スマホとSNSの普及により、社会の情報の流れは大きく変化し、上から目線の報道は読者に響かなくなった。日本が自由で民主的な社会を維持していくために、毎日新聞が、コロナ禍で不安を抱える読者の声に耳を傾けながら、デジタルトランスフォーメーションを成し遂げることを期待している。

ノンフィクション作家の吉永みち子さん拡大
ノンフィクション作家の吉永みち子さん

情報届ける役割、続けて 吉永みち子委員 ノンフィクション作家

 10年後、20年後に新聞はどうなっているのだろう。読者との信頼は維持できているだろうか。昭和時代には想像すらしなかったことを考えながら、任にある間はかなり厳しいことを言ってしまったと思っている。任を離れるに当たり、学術会議問題やコロナ関連の記事を読みながら、新聞の報道が知るべき情報、考えなければならない事を伝えていると改めて確認している。

 忘れられない光景がある。東日本大震災で被災した人々が避難所に届けられた新聞を熱心に読んでいる姿だ。今、一体何が起きているのか、自分たちの状況を知りたいという強い思いに新聞が応えていると感じた。輪転機が水没して印刷不能になっても手書きで情報を発信し続けた石巻日日新聞を訪ねた時には、探求心と使命感に支えられた記者魂に触れた思いがした。

 しかし、ネットの台頭、マスメディアへの不信などで、新聞の未来は安泰ではない。アメリカでは、ニューヨーク・タイムズが20年後に印刷中止、地方紙の4分の1がすでに廃刊と伝えられている。まず地方紙が消えていき、必要な情報が届かない深刻な事態をNHKの番組では「ニュース砂漠」と表現していた。必要な情報は私たちにとって水に匹敵する大事なものだ。だからこそ新聞がこれまで果たしてきたジャーナリズムの役割をどう守っていくのか、今何ができるのか真剣に考えながら頑張ってほしいと願っている。


新委員の顔ぶれ

弁護士の小町谷育子さん拡大
弁護士の小町谷育子さん

 小町谷育子さん 弁護士

ジャーナリストの治部れんげさん拡大
ジャーナリストの治部れんげさん

 治部れんげさん ジャーナリスト

専修大教授の武田徹さん拡大
専修大教授の武田徹さん

 武田徹さん 専修大教授

東京工業大准教授の西田亮介さん拡大
東京工業大准教授の西田亮介さん

 西田亮介さん 東京工業大准教授


開かれた新聞委員会とは

 2000年に発足した毎日新聞の第三者機関です。

 (1)報道された当事者からの人権侵害などの苦情に基づき、取材や報道内容、その後の対応をチェックし、見解を示し、読者に開示する(2)委員が報道に問題があると考えた場合、読者や当事者からの苦情の有無にかかわらず、意見を表明する(3)これからのメディアのあり方を展望しながらより良い報道を目指して提言する――の三つの役割を担っています。

 毎日新聞の記事だけでなく、毎日新聞ニュースサイトなどデジタル報道も対象です。

 報道による人権侵害の苦情や意見などは、各部門のほか開かれた新聞委員会事務局(ファクス03・3212・0825、メールhirakare@mainichi.co.jp)でも受け付けます。

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