
特集
「面白い!読ませる!」と好評の読書欄。魅力ある評者が次々と登場し、独自に選んだ本をたっぷりの分量で紹介。

今週の本棚・次回の予定
11月1日の毎日新聞朝刊「今週の本棚」で掲載予定の本の主なラインアップを紹介します。 ①東直子さん評『これからの友情』(丸田洋渡著・ナナロク社) ②川本三郎さん評『海風クラブ』(呉明益著、三浦裕子訳・KADOKAWA) ③張競さん評『詳伝 小杉放菴』(川村伸秀著・筑摩選書) ④沼野充義さん評『エリ

今週の本棚
左のページで紹介した『六四五七五(むしごしちご) 虫の絵と俳句』より「三十四蜻蛉(とんぼ)オニヤンマ」。

今週の本棚
(幻冬舎新書・1034円) ◇「先帝に対し誠に申訳なき不本意」 新聞を電子版で読む人の数は増えていることだろう。紙版と電子版の違いの一つに、紙版の記事の下に載る週刊誌等の広告の有無がある。これら雑誌類が好んで採り上げる話題に皇族の動静があり、見出しのなかには、公益性を考慮しても、時に論評の域を超え

今週の本棚
(岩波書店・2640円) ◇平和で、豊かで、美しく、可愛いもの すてきな題名だ。そう、人はだれでも――男も女も――装いという夢の翼をもつ。その翼をひろげて人生を意志的に飛行する。 レースが好き、可愛くなりたい。ううん私はカッコイイ騎士のように街を闊歩(かっぽ)したい……夢は人それぞれ。夢を戦争に奪

今週の本棚
(中日新聞社・1650円) 夫婦、そして家族のあり方はさまざまだ。「『典型的な家族』とは違うかもしれない。でも私たちは楽しく生きている」。本書を読めば、そんな著者の言葉に励まされる人もきっと多いだろう。 本書は、子供を授からなかった夫婦が、親元で育てられない赤ちゃんをわが子として迎えた実体験に基づ

今週の本棚
(新潮新書・1056円) 論文は難しいと思われがち。だが、年間5万本もの科学論文に接する著者が厳選したのは、驚きに満ちたものばかりで引き込まれる。 「(専門家にも)麻酔薬がなぜ効くのかがわからない」「44歳と60歳頃が一気に老け込む時期」「名前をつけられたウシは牛乳の出がよい」「記憶力は悪いほうが

今週の本棚・CoverDesign
グレイッシュな背景にUV加工による光沢の蛍光黄色文字が目に飛び込む。とはいえ本当は書名に食いついた。この迫力、裏方ゆえに対峙(たいじ)する多様なリアルを想像する。 ◆ 印刷会社「藤原印刷」の兄弟が本作りへの思いを語る『本が生まれるいちばん側(そば)で』(ライツ社・2310円)より。

今週の本棚
(岩波書店・3630円) 2020年に新型コロナウイルスのパンデミックが起きた時、人類はいかに脆弱(ぜいじゃく)な生き物かを痛感した。ウイルスとどう向きあうか。著者は当時、感染症研究の世界的拠点である長崎大の教授。アフリカや中南米など世界の医療現場を歩いた経験から、ウイルスの根絶は不可能であり「共

今週の本棚
◆『チョルノービリ・マニュアル 原発事故を生きる』=ケイト・ブラウン著、阿部純子、後藤倫代、繁沢敦子、藤田怜史、本行忠志・訳、日野川静枝、ノーマ・フィールド監訳 (緑風出版・4620円) ◇生きるため…放射能とカネの交換進む この本は、一九八六年四月二十六日のチョルノービリ(チェルノブイリ)原発事

今週の本棚・なつかしい一冊
(日之出出版・1760円) 一昨年の冬、ひょんなことから一冊のエッセーのゲラ読みを依頼された。韓国人作家がリスボンの街について描いたエッセーの邦訳と聞いて興味を持ち、引き受けた。 それが本書『リスボン日和 十歳の娘と十歳だった私が歩くやさしいまち』である。作家のイム・キョンソンさんが、10歳のとき

今週の本棚
(講談社・1980円) ◇視点違えば…悪者が美に変わる 電柱のある風景が好きだ。風に揺れる電線とそこに集まる鳥は、幼いころのふるさとの町の印象のひとつである。電柱は町の景観をそこなうものだとして撤去埋設をうながす動きがあるが、電柱や電線がそこまで悪者にならなくてすむ道もあるはずだ。 日ごろそんなこ

今週の本棚
◆『ビザンツ文人伝 言葉で戦った男たちの矜持(きょうじ)と憂愁』 (白水社・7920円) ◇古典古代の精神息づく人間模様の機微 どんなに正確にバットをふっても、球から大きく離れていたら様にならない。同様に、問いかけが適切でなければ、筋の通った応答でも味気ない。五世紀後半に解体した西ローマ帝国になら
今週の本棚・情報
<1>ハーバード、スタンフォード、オックスフォード…科学的に証明されたすごい習慣大百科(堀田秀吾著・SBクリエイティブ) <2>パンどろぼうとスイーツおうじ(柴田ケイコ著・KADOKAWA) <3>WORLD SEIKYO VOL.6(聖教新聞社) <4>M!LK 10th ANNIVERSARY

今週の本棚・著者に聞く
◆俵万智(たわら・まち)さん (新潮新書・1034円) ◇相棒、良い顔見せてくれる時 『サラダ記念日』をはじめ数々の歌集で知られる著者が、子育てやNHK大河ドラマ、人工知能(AI)など多様な世界の「言葉」について考え抜き、論じた本作。今春の刊行から発行部数は10万部を超えた。「言葉を使って生きてい
今週の本棚・編集後記
「話題の本」の新たな筆者に田淵俊彦さんを迎えました。テレビ東京で長年ドキュメンタリー番組などを手がけ、退社後は映像制作のほか、メディアのあり方を問う発言を続けています。本人は「エンターテインメントや芸術、メディアの表層に隠された『裏の顔』を見抜きたい」と一言。次なる分析の矛先は? 楽しみです。(代

今週の本棚・話題の本
今回から書評欄を担当することになった私は、37年間テレビ局で働いてきた。もちろん、芸能界の表や裏も見てきた。『ザ・芸能界 首領(ドン)たちの告白』(田崎健太著・講談社・1870円)は、誰もが知る歴代のスターを育てた「フィクサー」たちの当時の秘話を対面インタビューで明かしてゆく。芸能界が世代交代の真

今週の本棚
◆『六四五七五(むしごしちご) 虫の絵と俳句』 (毎日新聞出版・3300円) 本の題は虫と五七五すなわち俳句、という判じ物。古今の俳人の中から虫を詠んだ五十の佳句を堀本が選んで、これに桃山が絵を添える。いや、絵は添え物ではなくこちらが主役か。 精密なのだ。人が普段はざっとしか見ていない虫が細部まで

今週の本棚
(アルテスパブリッシング・3080円) 文化芸術プロデューサーによる音楽家のための読書案内。メールマガジン連載時のタイトルは「音楽家は本を読め!」だった。書店めぐりや、よい古書店の見つけかた、古書の買いかたに始まり、本を探して読んでいくさまざまな方法を指南する。紹介される本の幅の広さと奥行の深さに

今週の本棚・次回の予定
10月25日の毎日新聞朝刊「今週の本棚」で掲載予定の本の主なラインアップを紹介します。 ①本村凌二さん評『ビザンツ文人伝』(根津由喜夫著・白水社) ②加藤陽子さん評『側近が見た昭和天皇 天皇の言動でたどる昭和史』(北野隆一著・幻冬舎新書) ③川畑博昭さん評『チョルノービリ・マニュアル 原発事故を生

今週の本棚
(海と月社・1980円) ◇見ることすら耐えられない日々を… 自分の肉片を拾う悪夢を想像できるだろうか。夢の中で医師が言う。「この袋なら70キログラム分の肉がじゅうぶん入る。さあおとり、そして自分をそこに埋めなさい」。ガザには「肉片の重さを計る係の医師」がいるそうだ。今回の侵攻で、イスラエル軍は強