
トランプ米政権が5日までに公表した外交・安全保障政策の指針となる「国家安全保障戦略」(NSS)は、欧州が移民の流入などで文化的に「消滅」の危機に直面しているなどと批判した。排外主義的なトランプ政権が連携を呼びかけるドイツやフランスの極右政党では、NSSへの反応が分かれている。背景に何があるのか。
トランプ政権同様に厳格な移民政策を掲げるドイツの極右政党「ドイツのための選択肢」(AfD)は好意的に反応した。
同党のビストロン欧州議会議員は「我々の取り組みへの直接的な承認だ。AfDは常に国家主権と移民排斥、平和のために闘ってきた。これこそトランプ政権が今、優先的に実施している政策だ」と声明で述べた。同党で外交政策報道担当を務めるフローンマイアー氏は「保守の復興のために世界の友人たちと闘う」とトランプ政権への賛意を示した。
トランプ政権はAfDとの関係を強化してきている。バンス副大統領は2月のミュンヘン安全保障会議で欧州連合(EU)のヘイトスピーチ規制を「言論統制」と非難した。AfDへの事実上の支持も表明し、欧州に衝撃が広がった。
また、独情報機関が5月にAfDを「右翼過激派」に指定したことについて、ルビオ米国務長官はX(ツイッター)で「(ドイツは)民主主義ではなく、偽装された専制政治だ」と批判。独外務省は第二次世界大戦中のユダヤ人大虐殺を念頭に、「右翼過激主義を止める必要があることを、我々は歴史から学んだ」とXで反論する事態となった。
◇「トランプ氏のような兄貴分必要ない」
AfDとは対照的に、フランスの極右「国民連合」(RN)はトランプ政権と距離を置いている。
RNのバルデラ党首はトランプ政権の移民規制策に大枠で賛成する一方、「私はフランス人であ…
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