
「かぶってるやん。最悪だ」――。
2026年春、国民的アイドルグループ「嵐」のラストツアーが札幌市を皮切りに全国で始まる。
嵐の札幌公演は3月13~15日。ほぼ同時期に国立大学入試の後期日程の試験が予定されている。
札幌の国立大学のうち、最も規模が大きい北海道大の入試には、全国から受験生が集まる。
多くの受験生は遅くとも入試前日に札幌入りし、宿泊して試験に挑む。
ところが、早くも札幌市内のホテル・航空券代は高騰。嵐ファンの数は多く、受験生は限られた宿泊先を確保できるか不透明となった。
11月23日には受験生の負担を憂えるつぶやきがX(ツイッター)に投稿されると、「気の毒すぎる」「周りの大人が支えてあげないと」といった書き込みが相次いだ。
この事態はインターネット上で大きな話題を呼び、受験生に安心して試験に臨んでもらおうと、地元では少しずつ学生支援の動きが広がっている。
26年5月の活動終了を発表している嵐は、同年3~5月、ラストツアーとして全国5大ドームで計15公演を行う。
その幕開けとなる札幌公演の開催日には、貴重な雄姿を見届けたいファンが全国から集結する見込みだ。
一方、北大入試後期日程は26年3月12日。嵐の公演初日の13日とは1日ずれているものの、雪などの天候で北海道に来られなくなることを考慮し、前々日から札幌に入る嵐ファンもいると考えられる。
両者が「バッティング」する可能性は高い。
コンサート会場の大和ハウスプレミストドーム(札幌ドーム)は、最大収容人数が5万3820人。3日間で延べ15万人前後が訪れる計算となる。
札幌市によると、市内の宿泊施設数は418施設、定員は計7万8000人だ。
十分な受け入れ能力があるとは言いがたい中、11月22日のコンサート日程発表直後から公演日のホテルの宿泊価格は高騰し、通常1泊1万円以下から5万円台に跳ね上がった。
一部の格安航空会社も東京(成田)―札幌(新千歳)間の価格を、公演前の週は4000~6000円台としていたが、公演前後は約8倍の3万9000円に設定する動きもあった。
JR札幌駅近くのあるホテルは、日程発表からわずか12時間で公演3日間の予約が満室になったという。
このホテルの支配人によると、人気アーティストの札幌公演が決まると、予約が殺到し、チケット抽選の当落発表後にキャンセルが発生、再び新たな予約が舞い込む――という「かなり複雑で激しい動き」が生じる。
ホテルや航空券の確保が難しくなっていく一方で、受験生側には入試の状況によって身動きがとれない事情…
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