
未曽有の物価高の中で迎える今年の春闘。連合はベースアップ相当分として3%程度、定期昇給分を合わせて5%の賃上げを要求している。連合幹部から「これまではぬるま湯だった」との反省が聞かれる中、2014年以降で最大となった要求をどう実現していくのか。連合の芳野友子会長に尋ねた。
――物価高が続く状況下で今回の春闘を迎えました。
◆例年にない物価高での春闘の交渉になるが、5%の賃上げという我々の要求が実現できるかは、中小企業の賃上げにかかっている。特に、価格転嫁や公正な取引が非常に重要になる。物価上昇分をしっかりと(取引上の)価格に転嫁し、賃上げを実現して消費に回していくことが、この春闘に求められることだ。
デフレマインドの払拭(ふっしょく)も重要だ。これだけ物価が上がれば、消費者の誰もが「いいものを安く買いたい」と思うだろうが、それにしても限度がある。労働者も適正価格を認めないと労働者自身の賃金が上がらない。物価が上昇し続けている状況を理解した上で、労働者の賃上げに向けて一致団結して取り組んでいきたい。
――中小企業や非正規で働く人を春闘にどう巻き込みますか。
◆中小企業や非正規で働く人の共通点は、労働組合の組織率が低いため、集団的な労使関係で守られていないことだ。自らの労働条件を交渉して決定するという営みが重要で、かつ実効性がある。労組が組織化されていなかったり、非正規で働く人が労組に加入していなかったりしても、そのような人たちの労働条件が向上するよう、各労組に働きかけていきたい。
――過去を振り返ると、実質賃金がここ30年間上がっていないのはなぜでしょうか。反省する点は。
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