謎の新習慣「クリスマスにはシャケを食え!」とは 影響は特撮界から「農水省」にも…?
- 2021.12.23
- 加々美利治
クリスマスには「シャケを食べる」のが定番に? ある特撮番組からネットを通じて大きく広がった、謎の「新習慣」について解説します。特撮界のみならず、思わぬところにも影響が見られて……?
3年前に放送された「スーパー戦隊」作品が発端に

数年前からクリスマスが近くなると、「クリスマスにはシャケを食え!」というコメントをネットなどで見かけることがあります。知らない人は「ポカン」とするコメントですが、それは今からちょうど3年前の2018年12月23日に放送された作品に理由がありました。
その作品こそ、スーパー戦隊シリーズ第42作『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』第45話「クリスマスを楽しみに」というエピソードになります。脚本は独特のギャグセンスに定評のある大和屋暁さんでした。
内容はクリスマスが迫ったある日、チキンを強奪して代わりにサケの切り身を置いていくサモーン・シャケキスタンチン(一部にはサーモン・シャケキスタンチンという表記もあります)という怪人の登場から始まります。このサモーンは、サケが三枚におろされたようなデザインで、真ん中のサケの骨部分の左右についたサケの身が三つ首にも見えました。さらに大量のイクラがあふれ出ているという、秀逸なデザインの怪人です。
このサモーン、戦闘員たちを引き連れて街中のチキンをすべてサケと交換しました。しかも、立ち去った後に店員がふたたびチキンを並べると、またしても現れてサケと交換という堂々巡り。こうしてクリスマスなのに街中のチキンは消えて、みんなが迷惑するというカオス回だったわけです。
とにかくスラップスティックコメディとして秀逸だったのですが、作品ジャックとも言うべきサモーンのキャラクターのインパクトが絶大でした。その名セリフを一部抜粋すると……
「今年のクリスマスはシャケ一色に染めてやる! ノーモアチキン!! チキンの代わりにシャケを食べろ~!!」
「殴り込みだ! 突然押し入っておいて何だが、クリスマスにローストチキンを売るな~ッ!! ノーチキン!ノーチキン! 代わりにシャケを置いてくぜ! はい、逃げろ!」
「日本人ならシャケを食え!」
「チキンを食べようとする奴には……全力で嫌がらせをするからなぁ!!」
……といった感じで、終始ハイテンションなキャラでした。
担当声優の津久井教生さんは戦隊シリーズの怪人役では常連のひとりで、『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003年)のヤツデンワニの演技も素晴らしく、知る人ぞ知る怪人声優です。その演技力こそが、このエピソードを魅力的に仕上げた最大のスパイスかもしれません。