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『フランダースの犬』に対する最も参考になる米Amazonレビュー

読売新聞が伝えたところによれば、フランダースの犬に共感するのは日本人だけに見られる特性であり、欧州では「負け犬の死」としか映らないという。それを検証する映画『パトラッシュ』では、3年を掛け資料発掘や世界6カ国での100人を超えるインタビューを通して、日本人の心に潜む「滅びの美学」がその原因であることを突き詰めたという。

プロデューサーのアン・バンディーンデレンさん(36)は「日本人は、信義や友情のために敗北や挫折を受け入れることに、ある種の崇高さを見いだす。ネロの死に方は、まさに日本人の価値観を体現するもの」と結論づけた。

http://www.yomiuri.co.jp/entertainment/news/20071225i302.htm

しかし、2007年8月7日付エントリー『『火垂るの墓』に対する最も参考になる米Amazonレビュー』で示したように、同じく救いのない悲劇を描いた『火垂るの墓』が米国でも高い評価を受けていることを考えても、日本人だけが共感するというのは腑に落ちない。gooニュース畑でも『名作「フランダースの犬」、共感するのは日本人だけ? 一方で「火垂るの墓」は…』として取り上げられている。

そこで前回と同様に米Amazonで調べてみることにした。米国では全編は入手できず、日本でも販売されている1975年放送のTVシリーズを90分にまとめたフランダースの犬 完結版 [DVD]のDVDが販売されている。全52話を90分にまとめたことから、時間の都合で悲しい場面ばかりが多いということを念頭においてほしい。ただし下記のレビューは一部1999年公開の劇場版 フランダースの犬 [DVD]のものと混在しているようだ。これは米Amazonのレビューシステムが1975年TVシリーズの総集編と1999年劇場版を区別していないことによる(どちらの商品にも同じレビューが表示される)。劇場版は全面的に作り直された新作であり、アニメーションの演出レベルが向上していると見られるが、ストーリーとしては両方とも悲劇で終わる。

The Dog of Flanders (1975)には、現時点で17のレビューが掲載されており、評価平均は★★★★となっている(1つの☆☆☆☆評価が全体を押し下げているが、ストーリーとは関係のない別原因によるもの。後掲)。"Most Helpful First"でソートした上位のレビューを以下に紹介する。


http://www.amazon.com/Dog-Flanders-Michie-Kita/dp/6305731934/ref=pd_bbs_sr_4?ie=UTF8&s=dvd&qid=1199191244&sr=8-4

これらのレビューを見るとフランダースの犬のオリジナルの悲劇的結末は決して日本人にしか共感されないわけではなく、少なからぬ人によって受け入れられていることが分かる。ここにあげたレビューには、宮崎アニメなどを引き合いに出す人が多いことから、それなりに日本アニメに慣れ親しんだ人であると考えられるため、日本的な考え方に影響されている、あるいは、もともとそうした資質があった人であるという可能性もある。

ただ、ハッピーエンドの方が受け入れられやすいことは確かであり、ハッピーエンドに変えられたDog of Flanders (1999)も高い評価を得ている。こちらのレビューも訳出しようとしたが、最初のレビューが日本人による長文で、日本ではエンディングが異なることに言及し、日本とアメリカの文化的な違いについて考察する力作だったので、訳出はあきらめた。興味がある人はチェック願いたい。2つ目の5つ星のレビューはタイトルが"Really sweet and winsome"という時点で、我々の知る『フランダースの犬』とは別物だと言うことを否応なく理解させられる。

ハッピーエンド版に比べて、評価されにくいと考えられる日本オリジナル版が、ハッピーエンド版と変わらない高評価を得ていると言うことは、日本人の感性が決して特殊な訳ではないことを示していると思う。悲しい話が美しいこともあることを知っているのは日本人だけではないのだ。

フランダースの犬 完結版 [DVD]

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劇場版 フランダースの犬 [DVD]

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*1:この部分は直訳すると意味不明なためかなり意訳している。原文は次の通り。I guess the overall message of the movie is that, God is beauty and art and love and the three of these things are all one giant amorphous blob of , well, blob of goodness . . .and that human lives are fragile and finite.

*2:日本で1999年に劇場公開された『劇場版 フランダースの犬 [DVD]』"The Dog of Flanders - Subtitled in English"を指すと思われる

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