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海外オヤジの読書ノート

中年おじさんによる半歩遅れた読書感想文です。今年もセカンドライフ等について思索したく。

トップ>キャリアとか人生とか>自分自身の価値観あるのみ。それを作ろう。 | 『「やりがいのある仕事」という幻想』森博嗣

自分自身の価値観あるのみ。それを作ろう。 | 『「やりがいのある仕事」という幻想』森博嗣

皆さん、こんにちは。

 

仕事のヤリガイ、ありますか。

今更50の窓際のオッサンが言ったところでどうにもなりませんが、そんなにないですよ。

 

年々、若干のカバレッジの拡大は有りますが、基本的にはやることは同じ。原則的にルーティンです。それを毎月毎月、10年積み上げてきました。

それでも手元のプロセスを見直して手順にまとめたり、マクロを導入して手作業の削減をしてみたりしました。そうやって空いた時間は、レポーティングをもっとかっこよくしたいという思いからPower BIの勉強をしたりして。まあ、向上心は捨てきっていません。

 

ただ、定期的に「なんだか虚しい・・・」という気持ちに襲われます。

 

もっと昇進して、もっと部下をもって、もっと忙しい感漂わせながら仕事するミドルを想像していた、というのもありました。が現実には、スタンドアロンで細々とかつしっかりと守備範囲をきれいにしておくというお仕事です。

 

これもまた人生よ、と頭では納得していますが、心はまだ完全にコントロール出来ていません。で、セカンドライフを検討するにあたって一応買っておいたのが本作であります。

 

 

どんな本?

元大学教官・現作家の森氏による、仕事とは何か・仕事についての心構え、などを語る本。対象はおそらく学生~30代程度と思われます。

 

森氏、若者の思いを打ち砕く!?

ぼんやり感じたのは「私の(ようなミドル・シニアの)ための本ではない」ということ。

流石に世に出て30年近い歳月がたちましたので、うまい話はない・話がうまいとすれば仕事がキツイ・世の中トレードオフに満ちている、(それでも不公平だったり運不運に左右され例外もある)、ということは肌感覚として理解しています。

 

ただ、世の若者はそこまで割り切れない。

正直ものは報われるものと思いたいし、努力して探せば何かが見つかるものと思いたいし、要するに答えはあるものだと思いたい。

 

その想いを、いい意味でも悪い意味でも「打ち砕く」のが本作の真骨頂!?と言えるかもしれません。

 

透徹なるエッセンス

以下、幾つか響いたところを幾つか。

 

・人は働くために生きるのではない。金があれば働かなくてよいし(FIRE!!)、それで捕まるわけでもない。

・職業に貴賤もなく、精々収入の多寡がある程度では。貴賤はイメージで植え付けられているだけで、「おっきな仕事」「社会に役に立つ」という印象も、個人としては一つの歯車で、個人の力ではない。組織のゲームで事物を動かすだけ。

・仕事で人の評価が決まるのはない。では何で人の評価が決まるかといえば人それぞれ。仕事ができるというのは、ある一分野で詳しい人というそれだけのこと。

・未来を読んで自分に投資をしよう。

・うまい話はなく、給料が高ければそれだけ仕事量かプレッシャーが高いはず。逆に給料が低いとすれば、企業が持ち出して個々人へ投資(教育)していると見做せる。

 

バッサリ、バッサリ

なお、考えを述べるエッセイ的な部分のほかに、Q&Aもあるのですが、なんというか、非常に面白かった。

兎に角森氏の発言はストレートで取り付く島もないので、そこがよい笑

 

例えば、〇〇がやりたいのに時間が無くてできません。どうすればいいでしょうか、みたいな質問に対して、「本当にやりたいのならばもうやっています」という返し。

 

いやまあ、ホントその通りです。

 

森氏自身も「冷たい」「無関心だ」と言われる様子で、そのため付言しているのですが、そもそもアドバイスが欲しいのではなく、背中を押してほしい・慰めてほしいようにしか見えない相談も多い、と。ただそれでは正しく導くことはできないため、きちんと事実を伝えて返答すると。

 

いやあ、私も森氏に賛成です。

 

おわりに

ということで、森氏の仕事・生き方についてのエッセイでした。

若手が読むとガツンとやられます笑 まあ、結局自分で考えて、答えを出さないといけないんです。だってそれそれ自分の人生なんだから。

 

甘えた心がちょっと引き締まる本かと思います。自分を律せる強者の理論かもしれませんが、わたし的には仰ること、本当に正しいと思います。

 

評価 ☆☆☆

2025/08/23

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