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小林賢太郎とパルコによる新たなコント公演、ル・コント『この世界に19文字の文章など存在しない』。
その公式noteの特別企画として、独自のムーブでお笑い・演劇シーンを超えた注目を集めているダウ90000主宰・蓮見翔との対談を敢行!
第2回となる今回は創作の原点からスタートし、演出に対する考え方を語り合った。

第1回はこちら


独自のスタイルをつかんだ瞬間


――蓮見さんが小林さんの影響を受けていて、その後、ダウ90000として活動するようになってから一旦、小林さんの作品に似ないよう、観るのをやめたという話でしたが。
蓮見 コントをやり出してからはずっとダウ90000なので、大学在学中はまだ影響が作品に出ていたと思います。そして今のダウ90000は8人ですけど、最初は10人メンバーがいたんです。その頃にコロナ禍が始まって、舞台上には5人しか立てないという規制ができて……。
小林 ええっ、そうなの?

蓮見 狭い劇場だったんです。それで全員が出るコントが作れなくて。まあ10人が出演するコントを作ろうとも思っていなかったので、誰かがライブに出られるようになったらいいなと思いながら、ふたりとか3人のコントをいっぱい作りました。そこから規制が解除されたときに、一度ダウ90000の全員が出演するコント作ってみようと思ったんです。もう半分「ネタが足りないから」くらいの感じでやったんですけど、それだけ変な受け方をしたんですよね。そこで「もしかしたら、これは新しいのかもしれないな」と思って。
小林 なるほど。そういう発生の仕方ですか。
蓮見 だから、新しい型を意識して作ったというより、生まれたものを見て「新しいのかも」と気づいた感じです。当時の僕たちは20歳から22歳くらいで、周りのお笑いライブにちょっとずつ呼んでもらえるようになっていたんですけど、ほかの芸人さんたちは身体に芯が通っていて、舞台上にドシッと立っている印象がありました。それに比べると、僕もそうですけどダウ90000は全員ひょろひょろしていて、キャラクターを押し出したコントをやっても勝てない。けど、なんかドカンと受けるところがほしいなと思ったときに、「全員がテンポでバーッとしゃべって、一つツッコむ、みたいのならいけるかも」というのが見えたんですよね。それでちょっとやってみようと作ってみたのが最初でした。そうしたら「これならほかの芸人さんと同じくらいウケているな」という手応えがあって。あと、僕はお笑いライブが好きでよく行っていたんですが、「あ、この人たち、売れるだろうな」みたいなウケ方をしているときって、あるじゃないですか。
小林 うんうん。
蓮見 ほかとは一段、二段違うみたいな。それを自分たちで出せた日があったので「あ、これはもしかしていけるのかも」と思いました。

完成予想図を超えていく面白さ

小林 僕は中学3年生のときに、初めてクラスでやる演劇の作・演出をやったんですよ。最初から自分が出演するつもりはなくて、クラスメイトに配役して、音楽好きのやつに音響、おしゃれなやつに衣裳と仕事を割り振って。脚本は担任の先生が中学3年生だった頃の話にしたんですけど、そういうのを自分たち中学3年生がやったら、観に来る父兄から好感を持たれるんじゃないかと思ったんですよね(笑)。
蓮見 打算的な(笑)。

小林 そう(笑)。担任が少し変わった名物先生だったんです。で、ちょっとだけ担任に顔が似てるやつがクラスにいたので、担任の中学時代の役にして。この演劇で自分のクラスが校内コンクールに優勝したものだから、調子に乗って「なんか自分は作る人なんだな」と思いました。だから「人前に出る人になろう、芸能人になろう」みたいなことは、今の仕事の入口にはまったくなかったです。ただ、作りたいと思っても、最初はとりあえず自分でやるしかない。それで舞台に立っていた感じですかね。

――自分がやりたいことをいちばんやれるのが自分、ということも、以前に書かれていますね。
小林 結局、作・演出家の小林にとって、一番理解し合えている俳優は自分の身体なので。コミュニケーションがいちばん楽じゃないですか。だから、自ら演じていたんですけど、今となっては「自分以外の俳優さんが演じるからいい」と思うようになりました。僕が俳優に「こういう種類の面白さを考えましたが、どうでしょう?」と渡して、その人のフィルターを通ったときに、僕が想像してた完成予想図と違う出方をすることがあるんですけど、そうやって予想を超えることの快感が、やっていくうちにだんだん理解できるようになったんですね。ただ、そもそも僕は「もう自分では演技はしない」と決めているわけでもないんです。でも今は、僕以外の俳優さんが僕の脚本を演じてくれて、僕の頭の中にある完成予想図を超えていくことが面白いので。

俳優の内から立ち上がる演出を

蓮見 演出はギリまでつけないでおくんですか? まずは好きにやってもらいますか?
小林 そういう場合もあります。あと、「明らかに解釈が違う。ここの笑いの種類はそうではなくて、こういう種類です」という場合でも絶対に避けたいのが、僕がお手本を演じちゃうこと。

蓮見 それ、僕は時間がないときにはやってしまうんですけど……。
小林 やっちゃうんだよね。それがいちばん伝わると思うんだけど、僕が師匠で相手が弟子ではないし、ダンスの振付を教えているわけじゃないから。あと、お手本を見せちゃうと、俳優さんはみんないい人だから、一生懸命トレースしようとするんですよ。でも、僕はその俳優のフローで目的を果たしたいわけなので。だから、笑いの種類をできるだけ言葉で伝えるようにしています。あとは、たとえば最初の本読みで、当初の僕の狙いとは明らかに違う種類の笑いを演じてくれたとしても、「それもいいね」となれば、わざわざ修正はしません。
蓮見 そっちのままでいくんですね。
小林 まあ、場合によりますかね。蓮見さんはどうですか?
蓮見 まだがっつり演出するのは、ほぼメンバーとしかやってないので。メンバーによって、最初に読んだときにいきなりイメージと近いものが出せる人と、全然違う読み方をしちゃう人がいるんです。でも「この台詞は、このイントネーションで言ってくれ」と、自分ではやってみせないようにしようと思って、お手本以外のやり方でイメージを伝えながら稽古をしていたんですよ。ただ2週間くらい経っても直らなかったので、「さすがにこれは……」と、ちょっとお手本を見せたんですけど、2週間稽古をしたものだからもう直らなくて。それで取り返しがつかなくなったことがありました。
小林 わかります。でもね、そこから直せる俳優もいるんですよ。稽古をたっぷりやって、本番をたっぷりやった段階で、「すみません、このシーンなんですけど、お客さんにわかりやすくするために、ちょっと解釈を変えたいです」と理由とともに修正点を伝えると、「わかりました」と言って、その日から直してくれる。
蓮見 すげえ!!
小林 すげえですよ。ちなみに竹井亮介さんです。本当に柔軟でクレバーで。これって器用ともちょっと違うことだと思うんです。表現者としての体力があって懐が深いんですよね。

蓄積と整理が表現を深化させる

蓮見 今回の『ロマンス』という公演は、公演の途中で2ヵ月空く時期があったんです。それで、「2ヵ月ぶりだからさすがに稽古しよう」となって稽古をしたら、それまでの公演では「もうちょっと、やってほしいけどな」と思っていたところが、とびきりよくなってたんですよ。それで「2ヵ月、毎日練習してたのかい?」と聞いたら、そういうことでもなくて。単純に前回にどうやっていたかが抜けて、もう1回読み直してやってみたらよかったという。だから本当にまだランダムというか、ガチャみたいなところがありますね。
小林 それはすごくわかりますよ。たぶん、本当に忘れちゃったわけではなく、脳の中で整理されたというか。僕は美大に行っていたんですけど、受験でデッサン……、白い石膏でできた彫刻を鉛筆で描くという課題があって。美大の同期生と久しぶりに会って飲んだときに、「久しぶりに(デッサンを)やってみないか」となって、そこで飲んでいた同期が講師をしている美大受験の予備校に、休みの日にみんなで行って描いてみたんですよ、そうしたら……みんな、うまくなっていたんです。
蓮見 ええっ!
小林 衰えるんじゃなくてね。長く生きて、いろんなものを目にしてきたことで、AIのように「こういう頭は、後頭部がこうなっているはずだ」といった情報が、知識として蓄積されていたからだと思うんですけど。あとは受験当時の「合格しなきゃ」という硬さも抜けていますしね。だから今の蓮見さんの話は、2ヵ月空いて俳優の緊張が抜けたことが、いいほうに出たんじゃないでしょうかね。蓮見さんは、再演はされますか?
蓮見 まだ1回しかやったことがないですね。
小林 そうか。再演の力って、そこだと思うんですよね。初演に比べて、作・演出家も俳優たちも、客観力が上がるというかね。

(つづく)

編集、文:小杉厚
写真:永田崚
ヘッダーデザイン:渋木耀太


【お知らせ】公演詳細情報を公開いたしました

ル・コント
『この世界に19文字の文章など存在しない』
公演詳細情報を公開いたしました。

※各地未就学児の入場不可となります。
※その他の詳細、注意事項などは各公演ページよりご確認ください。
東京
仙台
愛知
富山
大阪
岡山
福岡

作品詳細はコチラ
各種先行情報などPARCO STAGE 公式Xで随時お知らせいたします。


脚本・演出:小林賢太郎による
シアター・コントロニカ コント公演『イミノウム』
PIA LIVE STREAM(本編のみの配信)での配信チケットが販売中
販売期間:~ 2026年2月8日(金)20:00
配信期間:2026年1月16日(金)12:00 ~ 2月8日(日)23:59
料金:4,000円(税込)
販売・詳細:チケットぴあ


小林賢太郎とパルコが新たに立ち上げるコント公演シリーズ「ル・コント」公式noteです。2026年5月『この世界に19文字の文章など存在しない』上演決定!脚本・総合演出:小林賢太郎出演:野間口徹 なだぎ武 竹井亮介 うらじぬの 平原慎太郎企画・製作:株式会社パルコ

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