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大樹のほとり

自作小説を掲載しているブログです。

※常識改変モノです。幼馴染・胸糞・NTR系・スカトロ要素があるため、ご注意ください。



 幼馴染の修司が、最近変や。ウチらの≪常識が改変された≫とか言い出しとる。 
 特に今月新しく制定された、この条例が気に食わんらしい。

 ──県内に居住する満15歳以上の女は、一切の金銭の支払い義務を免除する。代わりに、妊娠可能な状態を極力維持し、また時・場所を問わず、特定の男の性行為の求めに応じるべし。

 ≪何もおかしない≫やろ?
 まあ、いつでもどこでもってのは正直だるいけどな。けど、女が男を興奮させて子作りに励むのは、法律でも定められとる義務やし、≪アタリマエ≫のことや。
 何度そう説明しても、修司には響かへん。
 ウチらの言う≪アタリマエ≫は『非常識』で、法律だってある日突然変わったもの。自分達の母親は普通に一人の男と恋愛して子供を作ったのであって、その頃は子作りの義務なんて無かった。そんな≪世迷言≫を大真面目に訴えてくる。
 正直、呆れたわ。覇気はないけどその分現実的で、ウチより常識があるタイプやと思ってた。それがあんな事言い出すなんて。
「ええ加減にせぇ! そんな話ばっかりしとったら精神病院行きやで? 今なら聞かんかった事にしといたるから、そのクチ閉じい!!」
 あんまりにもしつこいからそう怒鳴ったら、修司は黙った。何か言いたそうにしてたけど、ウチの一睨みで肩を落として帰ってった。

 モヤモヤする。なんで修司はあんな風になってしまったんやろ。ウチらの親世代がどうとか、どーでもええやん。これが≪今のアタリマエ≫なんやから。


           ※           ※


 『特定の男の性行為の求めに応じるべし。』
 条例にあるこの“特定の”って箇所は、途中で追加された文言らしい。
 先行して試験的に実施された町では、ほんまに町中の誰からの要求にも応えなあかんって内容やった。その結果、女優とかアイドルやってる子が四六時中何十人もに襲われる状態になって、数日でヤバイ状態になったらしい。
 それは流石にやり過ぎやってことで、性行為を持ちかけられる人間はある程度限定された。例えばOLなら、同じ会社に勤めてる男性社員だけ。家にいる専業主婦なら、半径400メートル以内に住む男性だけ。そしてウチらみたいな高校生は、同じ高校にいる生徒と教員だけ。
 まあ“だけ”って言っても、数十人とか数百人は奉仕する対象がいるやろうけどな。

 条例の開始日は、バレンタインの朝みたいに男子がソワソワしてた。
 うちの高校は去年まで男子校で、今年から試験的に女子を受け入れはじめたばっかりやから、男子約450人に対して女子は10人だけ。その10人──正確には5クラスに分配された2人に視線が集中するんやから、まるっきりライオンの檻に放り込まれたウサギ状態や。
「が……頑張りましょう、玲ちゃん……」
 クラスのもう一人の女子、麻衣が囁いてくる。
 正直、この子の事は心配や。見るからに温室育ちのお嬢様って感じやし、身長も150ちょっとしかない華奢な体。とてもケダモノの餌食になって耐えられるとは思えへん。せめて男女の比率が同じ共学にでも通っとったらマシやったんやろうけど、運が悪かったな。
 せめてもの救いは、クラスの大半がウチに狙いを定めてるっぽいことか。

「まさか、あの武田とヤレる日が来るなんてな……」
「ああ。俺、毎日アイツのことオカズにしててん。昨日は楽しみすぎて寝れんかったわ」
「俺も。ちゅーか、この学校の男子全員オカズにしたことあるんちゃう? なんつっても、あの『空手撫子』やもん」

 男子の噂話がそこら中から聞こえてくる。
 まあ、注目されんのは慣れっこや。ウチは顔がええからな。別に自意識過剰ちゃうで? 周りがこぞって言ってることや。

 ウチの名前は武田 玲(たけだ れい)。ピシーッとしたカッコええ名前やろ?
 身長は175センチで、そこらの男子よりタッパがある。けどチビとか言った事は一度もないで。ウチかて『デカ女』なんて言われたら気分最悪や。自分が嫌がることは人にせん。売られた喧嘩は買うけどな。
 タッパ以外の特徴としたら、初対面の人に『怖い』言われるぐらいのツリ目。あと、腰まであるポニーテールやな。たまたまこの髪型にした時に、あの唐変木の修司が珍しく「似合ってる」とか言ってきて……あ、いや、関係ないわ。束ねてると動きやすいっちゅう、そんだけや。

 特技は、空手。家の斜向かいに道場があって、修司と4歳の頃から通っとる。事なかれ主義の無気力修司と違って、ウチには殴り合いが性に合ってるから、ジュニア選手権の頃から結構な好成績を残せてる。
 ただ、その関係で雑誌やら報道番組に取り上げられてから、おかしな事になった。『美少女すぎる天才空手家』だの『けしからん身体』だの、気色悪いワードでネットが盛り上がりだしたんや。まだ小学生やのにファンサイトとか出来てて、ほんまに気色悪かった。いっそ女っ気を無くしたろうと、ばっさりショートにしたこともあったけど、なんも変わらんかった。望んでもないツラの良さと、8.5等身の無駄に良いスタイル……それが騒がれる元凶らしい。
 中学の3年間もファンは増える一方で、スポーツ系のメディアも面白半分にヒロイン扱いしてくれたおかげで、『空手撫子』なんて御大層な二つ名が付いた。どこのオヤジが考えた駄洒落か知らんけど、いよいよもってええ迷惑や。

 ちょい長なったけど、これがウチの注目される理由。
 学校中の男子がオカズにしてるって話も大袈裟やないかも。例のめんどくさい条例ができる前から、廊下の窓越しにこっちを見てくる男子は山ほどいた。階段を上がれば必ず何人かがスカートの中を覗こうとしてくるし、体操着着て校庭にいる時にふと校舎を見たら、動物園のサルかってぐらい窓際にへばりついてる連中がおる。
 そこにあの条例ときたら、男子には夢みたいな話やろ。ウチらにとっては地獄の始まりやけど、子作りに励むんは≪アタリマエ≫なんやから、しゃあないよな。


           ※           ※


 ウチかて年頃や。初体験のシチュは色々考えた。
 場所はラブホかもしれんし、案外自分の部屋かも、とか。
 相手はなんとなくやけど、修司やろうなーと思っとった。長い付き合いやし、ヘタレやけど悪いヤツちゃうし、抱かれても殴りたくならん相手っていうたらアイツしか浮かばんかったから。
 でも、現実って悲しいな。場所は机や椅子を片した放課後の教室。相手は有象無象のクラスメイトA。確か石川とかいう、毎度スカート覗きを狙ってくる猿や。くじ引きでウチの処女を奪う権利を引き当てたんも、その執念やろか。
「あんさぁ。別に暴れたりせぇへんから、手ェどけえや」
 手を掴み上げてる奴にそう言うても、なんでか拘束が解かれへん。ウチが本気で抵抗する気なら、この体勢からでも余裕でド頭蹴り飛ばせるのに、アホな奴や。それとも、ウチ相手にレイプごっこでもしたいんやろうか。
「へへへ……これ、夢ちゃうよな? オレ、ホンマに武田とヤレるんよな!?」
 石川猿はヘラヘラ笑いながらベルトを外して、トランクスごとズボンを脱ぎ捨てる。まあ、見事に勃起しとった。高校一年って言ってもアレは立派な大人や。こっちとしたら幼児サイズの方が有難かったけどな。

 サルはサルゆえに、ロクな前戯が出来ん。
 パンツを脱がして、ウチの未使用のあそこを晒して、ちょっと舐めて、雑に指を突っ込んでくる。
「ぎっ!? い……ったいわ、ボケッ!!!」
 プツンと来て腹に蹴りを入れたら、石川は吹っ飛んでゲロを吐いた。
「お、おいイッシー、大丈夫け!?」
「お前、暴れんてウソやんけ! 誰か縛れるモン持ってこい! このメスゴリラ、人殺すぞマジで!!」
 クラスはもう大騒ぎで、流石にウチも反省した。先生からもよう言われるけど、空手やり込んでる人間の手足って凶器なんや。
「わーったわーった、今度こそもう暴れへん! ほら石川、好きにしぃ!」
 そう言って脱力した脚を大きく広げる。ほぼ自棄だし、お世辞にも品があるとは言えん行動。向こうで机に腰掛けたまま、花の鑑賞会みたいにあそこを見せてる麻衣とはえらい違いや。けど、これはこれでエロく見えるんか、男子が揃って生唾を呑んだ。

 ローションが塗りたくられて、いざ挿入されるとなったら、空手の大会に出る時と同じぐらい緊張した。相手が慣れてる大人なら安心して任せようとも思えるけど、お互い未経験とか最悪や。石川のアホは最初尿道の方に挿れようとしとったし、膣に挿入した後もぎこちない。
「うあっ、チョー締まる……さすが空手家やなぁ!!」
 変に嬉しそうな声も逆に神経を逆撫でする。こっちは聞いてた通り、身が裂けるような思いやのに。
 でも、その感情を顔には出さない。
「どや武田、痛いか? さっき指だけでもあんな騒いどったもんな。『痛いから優しくして』言うたら優しくしたんで?」
 石川のニヤケ面と、周りの男子のクスクス笑いが癇に障る。笑われるんも弱音吐くんも大嫌いや。
「アホか! こんな粗チンなら指と変わらん。さっきので慣れたわ!」
 考えるより前に身体が動いた。手の拘束をぶっちぎって、ヒョロい石川を押し倒してから、馬乗りで腰を振る。
「うああっ!! な、何するんや!?」
「何って、セックスやろ! アンタが目ぇ血走らせてやりたがってたウチのおまんこや、堪能しい!」
「やめっ……おま、加減しろや、チンポ千切れる!! おい誰か、コイツどけてくれ! こいつ膣圧もゴリラや!!」
 石川はあっさり音を上げた。ちょっと痛いぐらいで。修司やったらもうちょっと痩せ我慢するやろうに、呆れたヘタレや。慌てたお仲間がウチを抱え上げたその瞬間に、追いすがるようにびゅーっと射精したのも情けない。
「……いや、初手で逆レイプかい」
「さすが武田、って感じやけどな……」
 周りの男子も引いとるけど、悪いことはしとらん。『男のセックスの求めに応じた』結果や。
「さあっ、次は誰や!?」
 ぐるりと周りを見回すと、男どもが一歩ずつ後ずさる。道場の乱取り稽古でもよくある光景や。意地でも退がらんのは、今では修司ぐらい──やけど、あのアホはどこにもおらん。他の男子が鼻息荒くしてる中で、ウチの初めてを奪える権利すら放棄して、一人そそくさと帰ったんやろか。淡白なヤツや。


「おーい、はよ代わってくれや! 今日の為にオナ禁しとんねん、もうチンポ爆発しそうやわ!」
「うるさい、オナ禁しとんのはこっちも同じじゃ! “あの”武田のS級マンコやぞ、もうちっと味わわせぇ! それになぁ、どうせもう1分ももたんわ。このマンコ、締めつけるしうねるし、気ィ狂うぐらい気持ちええねん! 絶対名器ってやつやぞ、コレ!!」
 男子は喧嘩しながら夢中で腰を振る。スポーツ一筋のヤツ、すでに受験を見据えてガリ勉しとるヤツ、SNSでバズることばっか考えとるヤツ……いろんなタイプの男子がいるはずやけど、今この瞬間だけはどいつも同じ。性欲に脳を支配されたサルや。ウチを犯しとる奴の後ろにズラーッと並んどる待機組は、全員鼻の穴膨らませたおんなじ顔しとる。

「おお、このクラスは列が長いのぉ。8割が武田狙いか。けど未経験の女子相手には、1人1回ずつにしとけよ。初日から無理させると続かんぞ!」
 見回りの先生がそうルールを定めたおかげで、同じ奴に何回もヤラれるのは防げた。ウチのクラスの男子は29人。修司を引いて28人。さらに6人が麻衣を抱いてるから、ウチの担当は22人で済む。
 ただ、それが思った以上にキツかった。空手の稽古より運動強度は低いはずやのに、やたらと汗を掻くし、体力も奪われる。おまけにあそこもヒリヒリしてきて、拷問されてるみたいやった。
 麻衣なんか泣いとったで。お嬢様っぽく手で顔を覆って。
「はーっ、はーっ……おい、もっと優しゅうしたれや!」
 見かねてそう呼びかけたら、男子と麻衣が同時にこっちを見た。男子はなんとも微妙な顔。そして麻衣本人の表情は、拍子抜けするぐらい明るい。
「あっ、大丈夫。痛いとかではなくて……感極まってしまって。オトナになれたのが嬉しいんです。セックスってこんなに気持ちいいものなんですね! 私、ハマってしまいそうです!!」
 麻衣はそう言ってくすくす笑う。なるほど、あれが俗にいうビッチか。心配してたのがアホらしくなってくる。


           ※           ※


 支払い義務免除の特典はでかい。ファーストフードのモーニングもタダ。雨が降った時にコンビニで買う傘もタダ。駅のホームに至っては、女子専用で常に開いてる改札があって、ちょっとしたVIP気分を味わえる。
 ただ、そんな浮かれ気分も、登校して校舎に入るまでや。
「よう武田、待ってたぜ」
 校門を入ってすぐ、同じクラスの吉木に呼び止められる。クラスの発言力の高い人間には媚びへつらい、自分より下と見た相手にはとことん強気に出る、ダニみたいな男。
「……なんの用や」
「用なんか一つに決まってるやんけ。……パンツ脱げや。授業始まる前にスッキリしときたいんや。お前のせいでムラムラしとるんやから、お前の責任やぞ?」
 無茶な理屈にもほどがある。呆れて物も言えん。
 反論するのもアホらしくて、言われたとおりにパンツを脱いだら……それをパッと奪われた。しかも吉木のアホは、それを思いっきり嗅ぐ。ウチの前で。ぞろぞろ登校してくる生徒の前で。
「んー、エッロい匂いやわぁ! これが武田 玲のおまんこの匂いか!!」
 吉木はさらに大声でとんでもないことを叫ぶ。何十って視線がウチに集まるのが分かる。
「…………ッ!! こ、このアホンダラ!!」
「ぐっ!?」
 思わず胸倉を掴み上げたら、吉木はビビりまくっとった。身長差が10センチあるから、こうなると吉木は爪先立ちしかできん。振りほどこうにも、細腕のコイツよりウチのが腕力は上やろうし、気合でも負けてへん。吉木がウチに上等コケる理由なんぞ一個もない。
 …………一昨日までなら。
「お、おい、自分が何しとるんか分かっとんけ? これ、≪条例違反≫やぞ?」
「!!」
 ギクッ、とする。
 確かにそうや。男からの性的な求めに応じないのは≪条例違反≫。もし警察でもチクられたら、ウチは豚箱行きや。
「な? 分かったら壁に手ェついて、そのデカ尻突き出せや。≪女の義務≫を果たさせたるわ」
 もう、何も言えん。ウチはせめて吉木のクズを睨みながら手を放して、言われた通りに壁に手をつく。横からの視線が痛い。尊厳をヤスリで削られとるようや。

「おい、腰下げろや。挿れられへんやんけ!」
 吉木がキレ気味に叫ぶ。脚の長さがちゃうから、ウチが普通に立つと、皮かむりのアレが割れ目まで届かんらしい。
「もっと下げろて! バカにしとんのか!?」
 ちょっと膝を曲げてぐらいじゃまだ足りんくて、最終的にはほぼ中腰の姿勢を強いられる。壁に手ぇついたままでの中腰は、ミジメこの上ない。
「はははっ、ええカッコやな。お前がそんなダサいポーズしとんの初めて見るわ!」
「うっさい! 誰のせいやと思とんねん、この短足!」
「うーわ、それめっちゃ傷ついたわデカ女。お仕置きや!!」
 吉木はそう言って、いきなりアレを突っ込んでくる。前戯もローションも何もなし。ビラビラが擦れてクソほど痛い。
「うおお、すげぇ!! 昨日クラスの奴らにあんだけやられたのに、まだこんな締まるんけ? やっぱ『空手撫子』は違うのぉ!!」
 吉木はウチの神経を逆撫でしながら、気持ちよさそうに腰を振る。パンパンパンパンって音が煩いぐらいに響いとる。

「うーわ、あいつらもうヤッとる。朝イチからよーやるわ」
「あー、でも相手武田か。なら気持ちわかるな。俺もやりたいもん」
「あ、ならヤッたら? 三木センに聞いてんけど、今日からクラス跨いでのセックス解禁らしいで」
「マジで!? じゃ放課後ダッシュでいくわ。武田ー、放課後ヤろな!」

 雑音が多い。耳には入れるけど脳では処理してやらん。後ろのクズのピストンもや。こんなんちょっと痛いだけ。ささくれぐらいのノリでやり過ごし…………たいのに。
「おー、濡れてきた濡れてきた。やっぱ噂通り、『あの薬』の効き目すごいな」
 吉木の言う通り、膣の分泌液がどんどん溢れて止まらへん。
 『あの薬』こと、政府指定の妊娠誘発剤のせいや。
 条例にある≪妊娠可能な状態を極力維持≫するために、一日一錠、極力24時間おきに摂取することを義務付けられとる。抜き打ちの血液検査もあって、もし血中にこの薬の反応がなかった場合は、二度と日の目を見られんなんて噂されとる。
 この薬を飲み続けとる限り、≪子供を孕みづらい“危険日”≫はなくなって、ほぼ毎日が≪妊娠しやすい“安全日”≫になるそうや。
 孕みやすくなるのは嬉しいけど、流石に相手による。吉木みたいな小物相手にまんまと感じさせられて、勝ち誇った顔をされんのは屈辱や。
 けど、本能には抗えへん。
 身体がどんどん女に──いや、“メス”になっていく。愛液はもう膣になんて収まりきらずに、ポタポタポタポタ垂れていく。大きくもないけどしっかり硬い吉木のアレが膣襞を擦るたびに、甘い痺れと多幸感が全身を包む。
 多幸感……どこかで聞いたフレーズだ。

 ────オトナになれたのが嬉しいんです。セックスってこんなに気持ちいいものなんですね!

 ああ、そうや。昨日麻衣が言うてたことや。麻衣はウチみたいに捻くれてへんから、素直にこの気持ちよさを口にできたんやな。
 ビッチなんて思て悪かった。麻衣はウチなんかより、ずーっと≪まともな女≫や。ほんまは相手なんか選ばずに、誰であろうとご主人様や思て、誠実に奉仕せなあかんねん。選り好みするんは≪非常識≫。修司やあるまいし、もうちょっとこの性格をなんとかせな。

「んはっ、あっ! あっ!!」
 意識をちょっと変えると、感じ方まで変わってくる。ゾクゾクする快感が背中を這い上って、思わず背中が反ってまう。
「おい立つなや! 脚開いて腰落としとけ、そろそろ中に出したるから!」
 吉木は無理矢理ウチの腰を押し下げてくる。脚にうまく力が入らんせいで、中腰よりもっと膝が曲がる。
「すげー、武田 玲のガニ股や! 衝撃映像やぞこれ!」
「な。スマホで撮っとこ」
「あんだけスタイルよくても、無様なもんは無様なんやな!」
「ちゅうかさー。なまじスタイルがいい分、余計ミジメに見えるんちゃう?」
 雑音が耳を通って脳に届く。意味もしっかり理解してしまう。最悪な罵りを受けてるのに……なぜかそんな状況で、余計に感じてしまう。
「フウッ、フウッ、フウッ……あああ出る、中に出すぞっ!!!」
 吉木が腰を掴んだままピストンを速めて、7回目で射精した。びゅーっ、びゅーっと精液が出てるのを感じる。その射精の量からも、背後の息からも、相当気持ちよかったんだと分かる。

 ウチにも快感はあった。イッたんかはよう分からへんけど、痺れるような感覚が背中を何度も通ってったし、脚もまだちょっと震えてる。
 けど、やっぱり嬉しいとは思えへん。女としての≪義務≫は果たすけど、やっぱりウチは、自分の認めとらん相手に孕まされるんは嫌や。


           ※           ※


 半分予想はしとったけど、吉木は一回出したぐらいじゃウチを解放せんかった。とはいえ先生に見つかるんは怖いみたいで、体育倉庫に入って2回戦を始めよった。
「なんや、もっと喘いでええんやぞ。運動部の朝練ももう終わっとるはずやし、そろそろ始業ベルもなる頃や。誰も来ぉへんって」
 アホは気楽でええ。吉木はウチが喘がんのを、聞かれるのが恥ずかしいからやと思っとる。
 吉木ごときにあんな反応したんは一生の不覚や。もう二度とは喜ばしたらん。ウチはその想いでマグロを決め込んで、倉庫の入口をぼーっと見とった。
 せやから、その扉が開いていく瞬間も、道具を片付けに来た運動部員の驚いた顔も、全部見えとった。

 そこからは4対1や。そんなに広くもない倉庫の中、体育座りの状態で突っ込まれながら、左右に仁王立ちしたヤツのをしゃぶらされる。
 朝練終わりの運動部は汗が凄いから、匂いも凄い。倉庫に充満する匂いだけで鼻が曲がりそうになるし、アレを咥えるとなったらその度に本気でえずいた。
 でも、始業ベルすら無視するような性欲の塊が、半端な奉仕なんかで許してくれるはずがない。 頭を抱え込まれて、根元までガッツリ咥え込まされた。
「おおお、これが武田の喉まんこか! あったかくてヌルヌルで、喉チンコがグリグリ当たって、なんかもう凄いわ!!」
「うお゛え゛っおえ゛っ! ふむぉえおえ゛っ、か、んがあッ……!!」
 相手は楽しそうやけど、こっちは苦しさと臭さでもう地獄や。でもそうやってウチが苦しむほど向こうは興奮するみたいで、えずき方が酷くなった数秒後にドクドクと膣に中出しされることが何回もあった。

「ふーっ、出した出した。あの武田とヤッてる思たら、スゲー濃いの出たわ」
「俺も。つか、もう二限目の授業始まってるよな」
「ホンマや。武田ー、俺らもう行くわ。諸々片しといて!」
 一人3発ずつ、合計12発の精液をウチの口とあそこに注ぎ込んだサル共は、意気揚々とズボンを穿いて行ってしまう。
「…………ざ、けんなや…………」
 すぐに叫びたかったけど、喉を酷使されて声が出えへん。ひっくり返ったまま動けもせん。蒸し暑い倉庫の中で、自分の身体はもっと熱い。


「すんませーん、遅れましたァ!!」
 教室の扉を開け放って、ヤケクソ気味に叫ぶ。半分ぐらいのサルが耳を押さえとる。ええ気味や。
 数学の白木先生は、ウチの頭から足先までをねっとりと見はる。あんまり数学教師っぽくない、チョイ悪オヤジって感じの先生で、いつもは飄々としてはるんやけど……今日は雰囲気が違った。
「武田、なんやその態度は。5分黒板の前に立っとれ!」
「……はい」
 命じられた通り、手を後ろに組んで両脚を踏みしめる。別に後ろめたいことはない。ちゃんと≪義務≫を果たしたまでや。

 授業が再開されてからも、男子の視線はウチに集中してた。白木先生もチラチラこっちを見てはる。
 脚の震えは止まっとる。教室に入る前に、まだヘタレとった脛を上履きでガシガシ蹴ったから。けど、スカートの下からポタポタ垂れる精液はどうしようもない。朝一のを足して、合計13発も中出しされたんやから、薄いパンツのクロッチなんかでは防ぎきれん。
「……垂れすぎやろ。誰やねん、朝っぱらからあんな出したヤツ」
「くっそー。昼休みに一番乗りで、サラピンの武マンコ堪能しよ思っとったのに!」
 あっちこっちで囁き声がする。そんな中で、一番腹立ったんがこれや。
「チクビ勃ってるぜー、武田ァ!」
 そう叫んで笑いを取ったんは、朝の4人の中の1人、鈴木や。こいつはあの狭い倉庫の中で、しつこいぐらいウチの胸を弄りまわしとった。乳首が勃っとるんはそのせいや。
「すんません! でも、鈴木がママのオッパイみたいにずーっとしゃぶってたんで勃起したんですー。マザコンも大概にしてほしいわ!!」
 当然、黙っとれずに言い返す。どっと笑いが起きる。今度笑われとるんはウチやのうて鈴木や。
「………………!!」
 鈴木がめっちゃ睨んどる。こら、後でまた無茶苦茶しよるな。

 5分経って席に戻れることになっても、クラスの奴らはクスクス笑っとった。一人一人睨みつけて黙らせながら席に着けば、ようやく笑いの意味がわかる。
 ウチの椅子に、バイブが固定されとった。ガムテでびっちり座席に固定してあって、簡単には取れそうにない。おまけに椅子の前側には画鋲が貼りつけられてて、普通には座れんようにされとる。この席に着くには、四股を踏む感じで大股を開いたまま、バイブの上に座るしかない。
 さすがに凍りついたウチに、またクスクス笑いが浴びせられる。
「どうした武田、遅刻した上にチンタラすなや。さっさと座れ」
 白木先生もニヤけたはる。まさか先生までグルとはな。これはちょっとしたイタズラでは済まんで。
「……やってくれるやんけ。次いらんことしてるん見つけたら、シバキ倒すぞ!」
 空手で鍛えた声量で教室中を竦み上がらせてから、腕を組んで腰を下ろす。
「んっ……!!」
 そこまで大きいバイブやない。けど生身とは全然違う、初めて経験する無機質な感触に、どうしても身体が強張ってまう。
 しかも、バイブは電動のオモチャや。ようやっと膣に収めたと思ったら、どこぞのアホがスイッチを入れ始めよる。ブーンと羽音みたいな音が響いて、あそこが内側から揺れる。当然、笑われもする。屈辱やしちょっと感じるしで、もう最悪や。

 さらにタチが悪いんは、先生までグルなことや。
「武田、遅れてきた罰や。問4の答え言ってみぃ」
 いつも出席番号順に当てていく白木先生が、今日に限ってはウチばっかり名指ししはる。
「……はい。問4は、えーっと……」
「武田、オマエ偉なったもんやのう。座ったまま答える気か? 当てられたら立たんかい!」
 ……ごもっともや。反論の余地もない。こんな狂った状況やなかったら。
「んっ、ふんんんっ……!!」
 バイブは迎え入れる時より、抜くときの方が刺激が強かった。ちょっと漏れそうな感覚を堪えてなんとか立ち上がって、脚がプルプルする中で数学の問題を解く。
「おう、正解や。座ってええぞ」
 白木先生はまたニヤッと笑う。
 いつもならほっとする瞬間やけど、今は苦行でしかない。
 太腿を真横に開いたまま、ウィンウィン動くバイブの上に腰を下ろす。ぐちゅっと音がして、違和感が丹田の真下を割りひらく。
「くはっ……!!」
 知らん間にあそこが開発されたんか、今度の刺激は一度目より強い。声は堪えきれんし、周りからは笑われる。しかも少ししたら、また白木先生がウチを当ててくる。授業中はずっとそんな調子やった。
「んぐっ、ふ……ふうっ! んはっ……はっ、あ!!」
「うははっ、武田イキまくりやん。椅子ビッチョビチョ」
「なー、今スイッチ持っとんの誰? タイミング神やろ。プロゲーマーなれんぞ!」
 聞こえよがしにそんな声がして、クラス中に笑いが起きる。恥ずかしゅうて悔しゅうてしゃあないけど、そうやって感情をブレさせると余計に我慢が利かん。
 しかも、今バイブを動かしとる奴はほんまに上手い。空手でいう先の先……ウチの『イキそう』って気配を見逃さずに、ここぞってタイミングで振動を強めよる。
「ふっ、ふぅうっ!! んぐっ、はううっ!! フッ、フゥッ、ぅぐぐっ……んぶふぉっ!! はっ、んはあっ、あ、あ……あ゛ぁイグっっっ!!!」
 最悪も最悪。ガマンしすぎた挙句に噎せて気が抜けて、思いっきり絶頂を知らせてしもた。しかも不運は連鎖するもんで、椅子の背もたれを掴んだままビックンビックン仰け反る姿まで晒すハメになる。クラスの笑い声はもう煩いぐらいや。 
「武田、ええ加減にせえ! 何ふざけとんねん、学校っちゅう場所をバカにしとるんか!? この授業終わったら職員室来い。反省するまで、みっちり“指導”したる!!」
 一見説教したはる感じけど、白木先生のウチを見る眼はネバついとった。まず間違いなく職員室でヤる気や。条例なんやから逆らえへんけど、さすがに先生らに見られながらは恥ずかしいわ。


           ※           ※


 案の定白木先生は、職員室の椅子に腰かけたまま、膝に乗せる形でウチを抱かはった。他の先生が仕事の手止めて見たはる中で。

 白木先生はさすがに大人や。クラスの連中よりずっと身体が出来てはって、跨った時の安定感がちゃう。サッカーで鍛えた太腿なんか鋼みたいやった。
 アソコの大きさも今までで一番や。これまで誰も届かんかった深さまでグングン突き上げられる。自重がかかる体位やから、余計に。
「んっ……ふ、んっ……れあ、あえれあ……あえっ、えあっ……」
 最初はキスから始まったけど、舌と唾液をねっとり絡める大人のキスで、心臓がバクバクする。唾液交換の時間はほんの一分ぐらいやったけど、とろーっと糸を引きながら口を離した時には、目が潤んでんのが自分でも分かった。
 白木先生の喉がゴクッと鳴る。この大人っぽい先生もあくまでオスなんや。そんで、ウチみたいな小娘に興奮したはるんや。それが嬉しくもあり、哀しくもある。

「武田。オマエは高1っちゅうんが信じられんほど色気があるのぉ。やから余計に、このけしからん格好は見過ごせんぞ」
 白木先生はそう言いながら、いきなりウチの尻を撫でた。
「ひゃうっ!!」
 吉木やらの鷲掴みとは全然ちゃう、触れるか触れんかのフェザータッチ。それが逆にゾクーッときて、思わず尻が動いてまう。
「ほら、簡単に肌に触れるやろ。そもそもスカートが短すぎなんや。こんなもんパンツ見せてくれ言うてるようなもんやろうが」
 白木先生はそんな難癖をつけて、次は右の乳首を口に含む。唇の圧とか舌使いの上手さが半端やない。確実に舐め慣れたはる。
「んんん……~~……っ!!」
 とても我慢なんてしきれへん。ビリビリ痺れるみたいな乳首の刺激が気持ちよくて気持ちよくて、先生の肩を掴んだまま仰け反ってまう。
 周り中の先生がこっちを見たはる。その羞恥と快感が脳の中で繋がって、あそこが勝手にキュウキュウ締まる。白木先生の脚もピクッと動いた。
「ぉーら。ちょっとしゃぶったっただけで、もう乳首がピンピンやないか。乳房もゆっさゆっさ揺れるしのぉ。こんなチチは目の毒やと思わんか? 仮にもうちは元男子校やぞ。風紀を乱すこと甚だしい、っちゅうやつや」
「ッふはっ、はっ、はっ、はっ! め、メチャクチャせんといて……あ、違っ、無茶言わんでくださいよ! スカートは、他の娘と同じぐらいにしか詰めてません。脚が長いから短か見えるだけです。それに……んんっ、お、おっぱいはどうしようもないやないですか!」
「どうしようもないってなんや。ここがエロいんは事実やろうが!」
「んがっ!? ちょっ、か、噛むのはやめてください!」
「なんでや。気持ちよすぎるからか?」
「っ、ちゃうわアホ!! ……あッすんません、でもちゃうんです!! その、あの……あっ、歯形! 歯形でも残ったら、クラスの子にここで何してたかバレますよね!?ええんですか!?」
「……プッ、アハハハハッ! オマエ誤魔化すん下手過ぎか!! 見た目によらず可愛いやっちゃのー。それに、俺がやったとは限らんやろ。オマエはスポーツ新聞にも載るような有名人やし、顔もスタイルも芸能人級や。隙あらば誰かにハメられて、マンコが渇く暇もないんとちゃうけ? 今朝かってそれで遅れたんやろ?」
「……それは……そうですけど。ってか、そこまで分かってるんなら、せめて朝一の待ち伏せは校則で禁止してくださいよ!!」
「はははっ、ええな。そのノリで、『武田 玲はオレが抱き終わった後のお下がりを使うこと』なんてやりたいもんや。けど、そら無理やで。≪いつでも性交渉をしていい≫っちゅうんは、この町の男全員に保証されとる権利や。いくら校則いうても、個々人の人権は侵害できん」
「っ! せやったら、ウチの人権はどうなるんですか!? ────あ、でもそっか。≪いつでも子種を注いでもらえる≫んが、ウチらの権利……か」
「ははっ! 今日のオマエなんかおかしいぞ。マンコが気持ち良うて頭フワフワしとるんか? んな≪アタリマエ≫の事、なに今さら気付いたみたいに言うとんねん。あんまりボケたこと言うとったら、一ノ瀬みたいなイカレや思われるぞ?」
 一ノ瀬……修司のことや。あいつ先生にまで目ぇ付けられとるやんか。事なかれ主義のくせに。

 でも、あいつみたいな考えが時々頭を過ぎるんは事実や。
 もしかしてウチ、あいつに洗脳されかかっとるんやろか? いつも素っ気ないあのスカシが、珍しく必死な表情で訴えてきたから?


 ──────アホくさい。このウチが、そう簡単に騙されるか。


           ※           ※


 男子高校生っちゅうんは性欲のお化けやな。いつも欲求が爆発するギリギリみたいで、授業の合間の10分休憩ですら、口と手でええから処理してくれ、ってヤツが殺到しよる。
「綺麗に並んでくださいねー。順番に気持ちよくして差し上げますからー!」
 背中合わせに座る麻衣は楽しそうやけど、ウチは性分でニコニコはできん。横の2人のを手で扱きつつ、正面の奴を睨みながらひたすらしゃぶる。たかが10分休憩で相手できるわけもないのに、その後ろにもズラーッと待機の列ができとる。
「へへへへ、夢みたいや。あの武井にしゃぶってもらえてるなんて……」
「あっそ。なら感謝しながら早よイケや。もう時間ないで!」
「んー、そやけどちょっと刺激足りんねん。もっと吸いついてや。口窄めて、ジュボジュボ音立ててフェラしてくれ」
 そういう注文をされて渋々従うと、いちいち歓声が上がるのが鬱陶しい。
「うおおお、武井のひょっとこフェラや!!」
「エロすぎでたまらん、俺もやってほしいわ! 休憩あと何分!?」
 そういう声も上がるし、スマホでパシャパシャ撮ってくる奴もいる。いちいちウチの〇〇、とか騒がんと死ぬ病気なんやろか。たかがクラスの一女子をどんだけ特別視しとんねん。

 昼休みも勿論ヤられる。
 パンが無料で貰えるからって購買に行ったらエライ目にあったから、2人目からは男子をパシらせて、パンを貪りながら教室でさせる。流石に物食いながらフェラなんてしたないから、床に寝っ転がって脚開いて、したかったら勝手にせぇスタイルや。
 ウチならそんな冷めてる相手を抱きたいと思わんけど、男子にはムードなんか関係ないらしい。まるで小便を出す便器みたいに、代わる代わる突っ込んではザーメンを流し込んできよる。

 その路線は放課後、本格的に乱交が始まってからも同じや。
「んふっ、気持ちいいですか? 私もです。貴方のこの、ちょっと反ったおチンポが大好き。うんんっ……そう、そこですっ! 昨日みたいに、そこをもっとイジめてください!!」
 麻衣は相手に抱きついたまま脚を絡めて、キスまでしとるけど、ウチはそんな恋人みたいな真似は断固せぇへん。これはあくまで≪義務≫、サルの性欲処理に付き合ってやっとるだけや。

 そもそも男子かて、ウチら女子に配慮なんぞしてくれん。
 あんなに尽くしとる麻衣でさえ、相手は目ェ血走らせて鼻息荒げて、獣みたいに腰振るだけや。
 ウチの方もそれは同じ。女の気持ちなんてお構いなしの、ただただ欲求を満たすためだけのピストン──それを口とあそこの両側で、ワンコロみたいに這ったまま受け止めなあかん。
 言うまでもなく、前にも後ろにもズラーッと長い行列ができとる。今日からは他のクラスの奴も参加できるらしいから、待機列は教室のドアを越えて、窓際にまで続いとる。まるで話題のラーメン屋の開店日みたいや……って、それやとウチがラーメン屋か。

「玲ちゃん、大丈夫……? あのぉ皆さん、よければ私もお相手しますから……」
 傍目にもヤバイ状況なんか、麻衣が心配してくれる。
「……ぶはっ。はぁっ、はぁっ、はぁっ……あはは、平気やで麻衣! ガキの頃から空手一筋で鍛え上げてきたんや。こんなんウォームアップにもならんで!」
 この言葉は、麻衣を安心させるためのハッタリって訳でもない。ウチの道場は結構練習がキツイ方で、ウォームアップだけでも一時間以上みっちりやる。
 股関節を柔らかくするために、腰を深く落としたまま走る『アヒル運動』。
 股関節と肩関節を連動させるために、四足歩行での反復ダッシュを繰り返す『イノシシ運動』。
 足腰を鍛える『スクワットジャンプ』と、そこに腕立ての要素を加えた『バービージャンプ』。
 ウチにとってはもう日課で、人の目がない時やったら道路とかでも自発的にやるぐらいなんやけど、慣れてへん人間にはまあキツい。体験に来た元陸上部とバレー部の子も、1人は途中でゲーゲー吐いて、1人は2日目から来んようなった。
 こっちはそれを10年続けとるんやから、男子とセックスしたところでそうそうバテん。
 …………はずなんや。
 けど。心臓は変にドクドクするし、全身から汗が噴き出して止まらんし、体力維持のための呼吸も思うようにできん。例の妊娠誘発剤のせいか、それともサル共の熱意にあてられとるんか、完璧に把握してるはずの身体の調子が全部おかしい。

 おまけに男子は、1発抜いてちょっと余裕のできた2巡目になると、なんや変わったプレイをさせようとしてきよる。
「パイズリしてくれ!」
 一番多いんはやっぱりこれや。
 空手する上では邪魔でしかないけど、ウチの脂肪の塊のサイズは92。ブレザーとセーターでぎゅうぎゅうに押さえつけとる制服ですら、登下校中に胸をガン見される。体操着なんか着た日には、ちょっとは隠せやってぐらい露骨に視線が集中する。男にとったら、乳房も立派な“性器”ってわけや。

「ううわ、すげぇ……チンポ完全に隠れとんぞ」
「おい筒井、どうなんや。デカチチでパイズリされる気分て?」
「へへへ、いや凄いわ! 柔らかいしあったかいし、でもしっかり弾力もあんねん。時々乳首も当たるんがええアクセントやし」
「あはははっ! よう見たら武田乳首勃っとるやん!」
「ホンマや! なんやねん。ぶすーっとしとるからマグロか思たら、ガッツリ感じとるんやんけ!!」
「ほら、先っちょもしゃぶったれ。ソープ嬢みたいに奉仕せぇ!!」

 男子は図に乗って言いたい放題言いおる。なんぼなんでもそこまで言われる義理はない。もし条例無視していい時間が一分でもあったら、ド頭に一発ずつゲンコかましてくとこや。

 ただ、このパイズリなんかはまだマシな方やった。一度そういう流れになったら、じゃあ自分もって感じでドン引き性癖の展覧会になる。
 『腋の匂い嗅がせて』とか。
 『オシッコ飲ませて』とか。
 『髪で扱かせて』とか。
 『出したザーメン口に溜めて、グチュグチュしてから飲んで』とか。
 一応、全部に応えはした。でもほんまに嫌やったから、プレイ中はずっとゴミ見る眼ぇで睨みつけたった。けど分からんもんで、そういうのを逆に嬉しがるヤツもおるんやな。面白がるんやのうて、嬉しがるヤツが。

 各々がやりたいだけ変態プレイをやりきったら、ラストの3巡目はまた性欲全開で犯してくる。これがとにかく激しい。腰やら尻をガッチリ掴んだまま、ビンビンに勃起した物を全力で叩き込んできよる。
「今日の〆やで! 金玉の中身カラにする勢いでハードファックかましたれや!!」
「へへへ、言われるまでもないわい!」
 男子は楽しそうやけど、ウチはそろそろ限界が近い。
 足腰の粘りには自信があるんや。電車が急ブレーキかけて乗客全員が倒れるような状況でも、ウチだけはよろけもせん。よそ見運転のチャリが横からぶつかってきた時も、チャリの方が吹っ飛んだ。
 けど今は、その鋼みたいな支えが機能しよらん。暑さで溶けた飴みたいにグニャグニャんなってて、発情した男子の馬力に敵わへん。身体は前後に揺れまくって、乳もぶるんぶるん揺れる。
「すげー、まるで乳牛やな!」
「ホンマや。ミルク出せやメス牛! 弟のクラスの給食で配ったるわ!!」
 こういう野次が一番嫌いや。好き好んで育てた訳やない。男のアレはデカいと尊敬されんのに、女の胸がデカいと茶化されるんはなんでなんやろ。

「つか汁エグいな、俺の脚にまで垂れてきよるで。感じすぎやろ武田、なあ? オチンチン好きって言えやホラ。志倉くんのデカいオチンチンが好きですぅーってよ!!」
 アホの志倉が調子づく。どっと笑いが起きる。先生ならともかく、同年(タメ)のサルにからかわれるんは御免や。
「え、今入っとんの? てっきり挿入寸前で焦らされとるんやと思ってたわ。志倉のチンポって小さいんやね!!」
「ッな、なんやとこの……っ!! おい、お前らも笑うなや! クソッ。ええわ、見とれや!! このアマ足腰立たんようにしたるわッッ!!!」
 ついつい、どーしても、売られた喧嘩を買ってしまう。そうしたらもっと必死に責められて、しんどくなるのは分かってるのに。


           ※           ※


 18時に夕焼け小焼けの下校チャイムが鳴れば、その時点で校内でのセックスは切り上げになる。けど勿論、下校中も男から女への性交渉は自由や。
 ウチが下校する時には、後ろに志倉をはじめ、十人以上のオス共がゾロゾロついてきとった。

「うおっ。あの娘ぉ、えらい数の男引き連れとんのぉ!」
「あの器量とスタイルや、高校生には目の毒やろ。学校中の男からヤラれまくっとるんちゃうか?」
「ええなぁあの子ら。俺もあんな女子と孕ませセックスできる青春送りたかったわ!」
「同じく。うちの現場なんて、一回り上の事務のババアしかおらんで?」

 諸々のヒソヒソ話は全部聴こえんフリをして、帰り道をずんずん歩く。

「ええやろーおっちゃんら!」
「この女ツラもエエけどなぁ、空手やってるさかい、マンコめちゃめちゃ締まんねんで!!」
「おれ等この後もなぁ、この女とグチョグチョにヤリまくんねん!」

 後ろの連中は野次にいちいち反応して、鼻高々に叫び返す。
 鬱陶しい。いっそダッシュで置き去りにしたいけど、普段ならともかく、何時間もヤラれた後やと流石に脚がガクガクや。
「武田さぁーん、そこで止まってくださーい」
「ああ゛!?」
 ナメた口調に思わずキレ返すと、例のサル共はウチの少し後ろで足を止めとる。その横にあるんは、この町最大のアダルトショップ。エロ本・AV・コスチュームに加えて、アダルトグッズの品揃えも豊富っていう、エロ猿にとっての聖地みたいな場所や。
「さあ武田、“入ろうや”」
 大通りで人の目もある。念押しするように言われると、とても逆らえん。

 店内は大盛況やった。OLっぽい格好の人とか、女子大生っぽい私服のお姉さん、ここらの高校の制服を着た娘……色んな年齢層の女が男同伴でひしめいてる。ウチらほどのクソ迷惑な大所帯はおらんようやけど。
「お、おいアレ……!」
「ん? うっっわ、武田玲やんけ! あーそっか。宮高の生徒なら今、武田玲抱き放題か。くうーっ、恵まれとんなぁあの子ら」
 品出し中の店員2人がこっちを見て目を丸くする。当てつけなんか、声を潜める気すらないらしい。
「お邪魔してまーす!」
 また自慢したいんか、サルの一匹が馴れ馴れしく肩に手を置いてくる。速攻で払いのけると、猿はよろめいて尻餅つきよった。
「おー、ウワサ通り気ぃ強いねぇ。で、ボクら、何が欲しいん? “その娘に使うんなら”全品タダやで」
 店員2人はニヤケながら近づいてくる。ウチは意識して脱力した。こういう軟派な手合いは死ぬほど嫌いや。制空圏を侵され次第、黄色いエプロンに覆われた無防備な水月に拳足をブチ込んでやりたなる。

「やー、何っていうか……逆に、コイツに似合うオモチャって何になりますかね?」
 サルがそう言ってウチのスカートを捲り上げる。客も店員も、ほとんど視界にいる全員がウチの下半身を凝視して──目を丸くした。
 それはそうや。帰り際に穿かされた妙にやらしい黒いレースショーツから、中出しされた何十人かの精液が染み出して、太腿まで垂れてるんだから。
 後ろでも横でも、ゴクッと生唾を呑む音がした。若い店員2人も食い入るように凝視しとる。
「おおー、こりゃ凄い! ザーメン溢れまくりやん! どんだけヤッたん君ら?」
「へへへ。今の今までガッコで輪姦してたんです。最後の方は教室のキャパギリギリやったから、50人ぐらいいたかなぁ。顔にかけたりクチで飲ませたりもしたから、全部中出ししたわけちゃうけど、100発分ぐらい入ってるかもしれません。触ったら分かるけど、コイツの腹タポタポですよ?」
 そう言ってお腹を揺らされると、本当にチャポチャポ音がした……気がする。
 店員2人はまたゴクリと喉を鳴らしてから、またヘラヘラ笑いはじめた。こっちをとことん舐めとるんか、年上の余裕でも見せとるつもりか。
「そら凄いわ。けど、お嬢ちゃんは流石に苦しいやろ。いっぺん“全部掻き出し”たり!」
「……! はは、それがええわ。君らみたいに若い子は精子も元気やから、孕ませる機会なんて今後いくらでもあるしな」
 薄っぺらい言葉を吐きながら、店員2人は何やアイコンタクトを交わして、鼻唄交じりに奥の棚を漁りだした。
 店中がソワソワしとる。客の男も女も、後ろのサル共も。


           ※           ※


「おい、油性で書くなや!!」
 人前やのに、思わず語気が荒くなる。
 でも怒りもするよ。ウチのご主人様気取りのサル共が、腋見せガニ股の最悪なポーズで拘束しよったんは、まだプレイとして許容できるよ。でもその後の、油性マジックで身体に落書きしよったんは許せへん。
「まあまあ、後で落とすやつも貰うって!」
「だいたい水性やとすぐ落ちるやん。お前汁っ気多いもん。汗もマン汁も!」
 アホ猿共はそう言いながらラクガキを続けよる。
 ラクガキいうても、幼稚園の子らがクレヨンで描くような花とかちゃうよ。
 『宮高専用ザーメン便器』
 『激臭汁マンコ』
 『淫乱デカ女でごめんなさい』
 『オマンコ締めるために空手やってます(笑)』
 そういう、最悪に下品で頭が悪くて、ウチの尊厳を踏みにじるような内容や。
 何か文章やらマークやらが書き足されるたびに店内で爆笑が起きるもんやから、サル共はますます図に乗って酷い内容を書く。そのループや。
 まあ、全員が楽しんどるわけでもないけどな。こういうのって男は好きやけど、女からすればひたすらにドン引きや。向こうの首輪つけられた子を見てみい。自分の事でもないのに、ウチを見て涙目んなっとるわ。
 と、その子が胸の前で小さく手を握ってる。負けるな、ファイトって応援してくれてんのかな。ふふ、可愛い子や。あの応援であと100年は頑張れそうや。
 …………たかだかラクガキされるぐらいなら。

 本番は、体中にびっしり書かれたラクガキを散々嗤われた後に始まった。
 “精液を掻き出す”って名目で店員が用意したのは、かなり特殊なバイブやった。
 野菜のアスパラガスってあるやんか。表面の感じはアレに似とる。雁首にあたる部分はがっつりエラが張っとって、全体にもびっしりと『かえし』がついとる。なるほど、精液を掻き出すにはお誂えや。けどそんなもん、中出しされまくって敏感になっとる膣には拷問器具も同然や。
 しかも、そのバイブにはあと2つ、余計な機能がついとった。
 一つはライトアップ機能。バイブ自体が皮膚を貫通するぐらい強い光を発して、今どこまで入り込んどんのかを傍目にも解らせる。
 もう一つは膣内カメラ機能。発光機能で照らされた膣内をカメラで撮影して、店内のモニターに映し出す機能や。
 その2つの機能に辱めを受けながら、かえし付きのバイブで膣内の精液を掻き出される…………これはもう女の地獄や。

「ッ……ん、ふんんん…………ッ!! ッふ、ふぅウウ…………ッん…………!!」
 唇を噛み締めて声を殺す。でも、それが出来たのも最初の数分だけや。
「んあ゛あ゛あ゛ッ、あ゛ッ!! んはあ゛ッ、あ゛ッ……あ、ん゛ん゛ん゛あ゛あ゛あ゛ッッ!!!」
 ふとした瞬間から漏れた喘ぎが、店内に響き渡るような絶叫になるんに、そう時間は掛からんかった。
 不甲斐ないと思うか? でも断言したる。ウチなんてよく耐えてる方や。そこでゲラゲラ笑い転げとるサル、ハゲ、デブがもしも女で、ウチと立場が入れ替わったら、こんなもんや済まへん。すぐ泣いて鼻水垂らしてションベン垂らして、やめてやめてーって叫びながらジタバタするに決まっとる。
 何の刺激がなくてもヒクヒクしとる敏感な膣ヒダを、かえしのたっぷり付いたバイブでゾリゾリ擦り回されるんやで? それこそヤスリ掛けするみたいに。
 耐えられる訳ないやん。
 何回も、何回も、何回も、何回も何回も何回も。とても数えきれんほどイカされまくる。
「ヘンな声出すなや武田! ザーメン掻き出したっとるだけやんけ!!」
「ホンマに。イク意味が分からん。うーわ、また手首までマン汁垂れてきたし。いい加減にしろや、この淫乱女!!」
 サル共は白々しい言葉で野次馬の笑いを取りながら、マジックで正の字を書き足しよる。ウチの絶頂回数をカウントするその正の字は、とうとう7個目に入った。ウチの腰がブルルッと震えるのを絶頂と思っとるらしい。けど、実際にはその3倍はイっとる。腰が震えんのは、波状で来る甘イキがいくつも重なって、どうにも堪えきれん時だけや。

「しっかし、発光バイブっちゅうんは良う出来とんなぁ! どこまで入り込んどんのかが一目で解るわ!」
「あんなモデルみたいな女子高生が、臍の下までバイブ突っ込まれとるなんてなあ。もう勃起しすぎて痛いわ!」
「ああ、こんな興奮しとるんは初めてや! どんなAVも、この生のエロドラマには敵わへんわ!!」
「しっかし、掻き出しても掻き出してもマンコん中にザーメンが残っとるのぉ」
「ザーメンで池ができるぐらい出てんのにな」
「もしかしてあれ、ザーメンやのうて、掻き回されて白なった愛液とちゃうか?」
「んー、どうとも言えんなあ。そもそもマン汁が多すぎて、ホンマもんのザーメンと混じってるさかい。でももしそうなら、あの責めはいつまでも終わらんっちゅうこっちゃ。ワシらとしちゃ願ったりやな!」
「ふふ、でもあの子にとったら地獄やね。もう200回とか300回とか、それぐらいの数絶頂してるはずやよ?」
「え? でも、正の字はまだ……」
「ちゃうちゃうちゃう。あんな坊やのカウント信じてどうすんの。よう見て。ああして顎が浮いたり、お腹がヒクヒクしたり、爪先立ちになったり……アレぜーんぶ絶頂のサインやで」
「……ほんまに?」
「ほんまに。それも、クリにローター当てられてイキますーなんて軽さやないよ。あの一回一回が、ビラビラに電マ押し付けられて潮噴くぐらいの深さやと思うわ。よう我慢してるよ、あの子。同じ女として拍手したげたいわ。…………ま、もう流石に限界っぽいけどね」

 さすがに女の人はよう分かってくれはる。今の言葉はまるっと正解や。もう限界っていうんも。
 いつか限界は来る。涙が出て、鼻水が垂れて、おしっこが漏れて、ガニ股の脚は宴会で裸踊りを晒す道化役とまったく同じ動きをする。
「あイグッ、いぐっ、ひぐううっ!! ほーっ、ほぉーっ……ふぁおっ、お、お゛っ!! おーっ、お゛っ、お゛ほっ、ほぉおおお゛ッッ!! んおおッ、ふぐッ!!! ひぃいぃいぐイグイグっっ!!!!」
 まともな声に調整する余裕すらない。空手で最高に上手く気が練れた時よりもっと重い、丹田からズーンと押しあがってくる快感をただ喉から吐き出す。
「はははは、ヒドイ声や!」
「流石にオンナ捨てすぎやろ。けど、ツラとスタイルが一級品やから抜けるは抜けるな」
「それも計算なんちゃう? ギリギリエロぅ見えるスケベ晒して嗤われて、気持ちようなろーっちゅう魂胆やろ。真面目そうに見えて、とんでもないドマゾやで」
 わざとなんかやない。大袈裟にしとるわけでもない。見目を気にしとる余裕すらないだけや。

 でも、一人ぐらいは気付いてくれるやろか。ウチはたったの一言も、泣き言は吐いてへん。『やめて』とか、『何でもするから許して』とか、そういう言葉は全部ギリギリで飲み込んどる。
 元々負けず嫌いではあるけど、それにしても我ながら強情や。
 もしかしたら、アレやろか。ずーっと意識の片隅におる、“どこかの誰か”に笑われたない──その想いで頑張れとるんかもしれへんな。


           ※           ※


「ああああ激しいっ!! すごいいぃぃっっ!!!」

 ヘトヘトで辿り着いた家に入る前から、そんな声が聴こえてた。
 ドアを開けようとするけど、なかなか開かん。イライラして蹴り開けたら、つっかえてた原因が分かった。
 土間に収まりきらんぐらいに、男物の靴が散乱しとる。おまけに家の中からは、猛烈な男の加齢臭。もはや動物園の匂いや。
「うわっ、何やこれ!?」
「うっ、臭ぇ!!」
 家にまでついてきた志倉達は目を丸くしてたけど、ウチは半分予想しとった。
 ちょっと不遜な言い方になるけど、このウチを産んだ母親や。美人なんて形容詞じゃ足りん。ガキの頃から手ぇ繋いで歩いとると、女優かアイドルかって周りがざわついたもんや。
 空手で男とバチバチやってるウチより、もうちょっと柔らかい雰囲気やから、男ウケは更にいい。この町内でおかんより美人がいるとは思えん。そこそこ張れるとしたら、隣の一ノ瀬のおばちゃん……つまり修司のおかんぐらいか。

 獣じみた匂いの元を辿っていくと、やっぱり獣が暴れた後みたいなリビングに辿り着く。
 空の缶ビールやら酒瓶が転がってて、服も脱ぎ散らかされとる。一番最悪なんは、床にも壁にも、果ては天井にまで、“体液”が撒き散らされとることや。ちゅうか天井にぶっかかるって、どういう状況やねん。
「あイっでるっ!! イグッ、イグっ、いッぐううッッ!!」
 おかんは床に転がされて、尻が天井を向くポーズを取らされたまま、前と後ろの穴を塞がれとった。噂に聞くアナルセックス──尻に入れるプレイや。クソする穴に突っ込むなんてゾォーッとする。ウチが男でも絶対やらん。
 けど今、それ以上に衝撃なんは、前の穴に出入りしとる物や。強烈なピストンの中でチラチラ見える竿はボコボコやった。見間違いかと思て目を凝らしても、やっぱり見えるもんは変わらん。まるで歯抜けのトウモロコシみたいな、ボコボコの巨根や。
 その巨根の持ち主も普通やない。肩から胸にかけてガッツリ和彫りが入ってる。
「うわ、エグ……バチクソ真珠入っとる……」
「つかあれ、ヤーさんちゃうん……?」
 人の家まで上がり込むようなお調子者の男子4人も、流石に顔が強張っとる。
「……真珠ってなに? あのボコボコしたやつの事?」
 横の志倉に耳打ちすると、志倉はごくっと息を呑んだ。
「そや。あのおっちゃんみたいに、竿と皮の間に真珠を埋め込むんや。最近はホンモノの真珠やのうて、シリコンとからしいけどな。その凸凹が女のアソコのスポット刺激して、メチャメチャ気持ちええらしいで」
 志倉の青い顔から目を離して、おかんのアソコに視線を戻す。
 見れば見るほどに凸凹な、膣に優しない凶器や。でも、その気持ちよさは生々しく想像できる。ウチ自身もついさっきまで、かえしの付いたバイブにイカされまくってたんやから。
 あかん、なんか下半身がムズムズする。サル共と暇そうなおっちゃんらの視線がなかったら、筋を擦るぐらいはしてしまいそうや。

 狂ったようにおかんを嬲る刺青の男は、ようやっとウチらに気が付いたらしい。汗まみれの顔がこっちを向く。あれは……町内会長の佐川さんや。いつもとは随分人相が違うけど、どうもこっちが本性らしい。
「清楚可憐な主婦に見えても、一皮剥けばケダモノやのぉ。なあ佐和子」
 佐川さんは横目でこっちを見たまま、おかんに呼び掛ける。おかんの方は目隠しをされとって、まだウチらには気付いてへんようや。
「は、はいっ! わたしは淫らなケダモノですっ!! 佐川様の逞しいオチンポが気持ちよくて、浅ましいヨダレが止まりません!!」
 おかんはそう言った。間違いなくおかんの声や。今朝、ウチに朝ご飯をはよ食べえって急かして、気つけて行ってくるんよって送り出してくれた、あの声や。
 その声が、佐川さんに媚びてる。おとんやなくて、ただの知り合いに過ぎん佐川さんに。

 …………いや、理解はできる。相手が誰とか関係ない。セックスを求められれば、それが自分の服従すべき相手や。おとんに求められればおとんに服従して、佐川さんに求められれば佐川さんに服従する。何も難しい話やない。
 けど、なんでなんやろ。おかんがおとん以外の相手に甘い声を使ってると、胸がモヤモヤしてしょうがない。

「そうか佐和子。ほなその大好きな精子を、最後にもういっぺん注いだるわ! キッチリ孕めるように子宮開いとけや、マゾ豚ァッ!!!」
「は、はいっ!! 子宮が開いてます、佐川様の子種を頂く準備は整ってます! はよ下さい……卑しい私に、佐川さんのお仔を宿す権利をお恵みくださいっ!!!」
 湯気も立つような熱意の中、佐川さんは猛烈にピストンを繰り返して、奥の奥でピタッと腰を止めた。造り物としか思えへん凸凹の巨根がピクピク動いて、膣に収まりきらん白濁があふれ出す。
「ああああ来てますっ!! 濃いのを沢山頂いてますっ!!」
「フフ、そうやろ。老体に鞭打って、こんだけ情けをくれてやったんや。必ず孕めや!!」
「は、はいっ!! 命に賭しても、佐川様のお仔を為して見せますっ!!!」
 おかんと声のよく似た、ウチの知らん女性が、ぶるるっと身震いする。女が深く絶頂した時の反応や。
「へへ、お熱いねぇ。じゃあついでにこっちも、ザーメン浣腸といきますか!!」
 後ろの男も笑いながら腰を打ちつけて、ドクドクと射精する。こっちも腸に入りきらんかったんか、おかんの背中の出っ張りに沿って流れていく。

 ふーっと煙草でもふかすような息を吐きながら、佐川さんはおかんから身を離した。
 ズルッと抜け出たアレは、想像してた以上のおぞましさやった。射精直後でぶらんとぶら下がっとるんやから、フル勃起ってわけやない。そやのに赤黒いそれは、佐川さんの膝ぐらいまである。
 佐川さんは絶句してるウチをチラッと見て、おかんの向きを少し変えた。恥ずかしい場所がウチに見えるように。
「………………っ!!!」
 ウチを含む、15歳組全員が息を呑む。
 おかんのあそこには、ぽっかりと穴が開いとった。アレが抜けても割れ目が閉じる気配がない。ちょっと力を入れたらウチの手首ぐらいは普通に入りそうなぐらいの穴。それが佐川さんのアレの直径なんや。
「…………あ、あら玲。帰ってたん? 今日はえらい遅かったんやねぇ」
 男の1人に目隠しを取られて、おかんは目をぱちくりさせながら恥ずかしそうに笑う。
 いつものおかんや。ということは自動的に、さっきまでそこにいた“雌”もおかん本人ってことになる。
「義務教育終えたばっかりの雛鳥には、オトナのセックスは刺激的すぎたかもしれんなぁ!」
 佐川さんもいつもの人の好さそうな顔になって、床からガラスのプラグを拾い上げて、それを精液の溢れてるおかんの割れ目にねじ込んでいく。
「んぎゅううううッ!!!!」
「おかんっ!?」
 悲痛な声に思わず駆け寄ると、おかんは目を細めて頭を振った。
「ああ、心配いらんよ。年取ると妊娠力が落ちるから、頂いた子種をしばらく子宮に溜めとかなあかんの。佐川さんはその手伝いをしてくれたはるのよ」
 ウチにそう話す間にもおかんの身体は、自分で自分の膝裏を抱えた格好のまま、テープでぐるぐる巻きにされていく。まずは手首、次に足首。酷すぎるわ。ああなったら最後、やっぱり夫以外の子供を孕むのは嫌やって思い直したとしても、精子を掻き出すことはおろか、プラグを抜くことさえ────

 …………や、違う違う。また変な事考えてしもとる。
 ≪おかんの意思なんか関係ない≫やろ。佐川さんが孕ませるって言うてんのやから、おかんはしっかりとその子種を受け取って、受胎することに専念せなあかん。ウチら学生は孕みも孕ませもしやすいから、雑にヤリまくればそれでええけど、大人はああやって真剣に、粛々と≪雌の義務≫をこなさなあかんのや。

「これで良し、と。ずーっとこの姿勢やと腰いわしてまうさかい、2時間ぐらいしたらお母さんのテープ剥がしたげて」
 そう言う佐川さんの顔は布袋さんみたいに人懐こいけど、肩と胸の和彫りがその印象を反転させる。しかもさっきまでダランとぶら下がってたアレは、いつの間にか横向くぐらいまで復活しとった。
 制服姿のウチを見て発情しとるんや。見境の無い大猿め。やっぱりこんな奴がおかんを孕ませるんは納得できん。こんな奴の遺伝子持った兄弟が出来るのは嫌や。
 …………でも、納得せなしゃーない。それが≪この世の中のルール≫なんやから。


           ※           ※


 大あくびで佐川さんら町内会員が帰った後は、やたらに気まずかった。
 すごい格好で拘束されとる母親。
 スカートから覗く太腿に、女性器やら卑猥な言葉やら、12個の正の字をラクガキされとる娘。
 そして、居心地悪そうに立ち尽くす男子高校生4人。
 なんやこの状況は。

「……おとんは?」
「さあ……多分、お隣の修くんとこや思うよ。あの人、学生の頃から修くんのお母さんに片想いしてたから」
 修司のことを『修くん』って呼ぶのは変わらんな。あの唐変木のスカシに『くん』付けなんぞ、似合わんにも程があるわ。
 ……けど、やっぱりおとんはおかんの側にはおらんのやな。まあ白木先生の言葉を借りるんなら、誰を選ぶんもおとんの権利。なんぼ娘でも干渉はできんけど。
「……それにしてもアンタ、モテモテやないの。4人も家に連れてくるなんて」
 おかんはちょっと笑って、今もリビングの入口でそわそわしてる志倉達を見る。志倉達はやっと存在を許されたって感じで、ヘラッと笑ってリビングに踏み込んだ。
「いや、実はさっきまで10人以上で“遊んでた”んですよ。その前の学校やと50人ぐらい」
「あら、すごい!」
「いやいや、当然やと思いますよ! この顔にこのルックスですもん。ウチの高校どころか、この辺の共学やら全部含めても、武田よりムラムラくる女子なんかいませんよ!」
「むしろまだ少ない方っすよ。今はまだ同い歳だけで楽しむようにって先生らが歯止めかけてますけど、俺らの先輩らもはよ武田とヤリたい言うてウズウズしてるんです!」
「そうそう! オレなんか今日の昼、武田と同じクラスってだけで部活の先輩に八つ当たりされたんすよ。もう人気が異常っスよ!」
「あらー、そうなん? まあ短気でガサツな子やけど、発育はええもんねぇ」
 おかんもサル4匹も随分と和やかや。喋ってる内容は寒気がするけど。男子人気とかクソほどいらんし、そのうち上級生ともせなあかんとかダルすぎやろ。

「けどホンマ、武田と同じ学校で良かったっすわ。おかげでこうしていつでも……」
 志倉はヘラヘラ笑いながら、いきなりウチのスカートの中に手を突っ込んでくる。
「やめえ! おかんの前で!!」
 ウチは当然その手を振りほどいた。状況的に当然やと思うし、志倉もそうされることを承知で動いてる感じやった。
 けど。
「玲っ、アンタ何しとん!?」
 いきなりの大声に、学生組5人揃ってビクッとする。
「えっ!?」
「え、ちゃうやろ! せっかくクラスの子が誘ってくれてんのに、なんや今の反応は! まさかアンタ、いつもそうやって男の子の誘い断っとんちゃうやろな!?」
 物凄い剣幕。本気で怒ってる。おかんは典型的な大和撫子や。普段は清楚で控えめな印象やけど、怒るとメチャメチャ怖い。このウチが逆らおうって気さえ起こせへんぐらいに。
「え、あ…………えと…………」
 弁明の言葉が浮かばへん。というか弁明できるわけがない。現行犯なんやから。
「……あ、そや! いやーウッカリしてたわ、ごめん武田! 『反抗的プレイ』はもう終わりって言うてへんかったな! もうええよ、演技せんでも!!」
 予想外の助け舟をくれたんは、サル4人のうちの1人、黒田やった。体育会系やから目上のご機嫌取りには慣れてるんか、在りもせん設定をスラスラと捲し立てる。今はそれがホンマにありがたい。
「へっ!? あ、ああうん、そうか……」
 黒田に頷きながら、横目でチラッと盗み見ると、おかんは鬼の形相から冷めた眼に変わってた。
 『嘘なんは分かってるけど、その男の子に免じて今回は許したる。ただし次はないで』
 そう言うてる目や。
「……はぁーっ……ホンマに≪女の自覚≫が足りへん子ぉや。皆、不出来な子やけどくれぐれも宜しくね。あんまり生意気なようやったらお仕置きしたって。身体だけは丈夫な子やから、ちょっとぐらい無茶しても構へんよ」
「う、うっす!」
 冷めた眼のおかんを前に、全員背筋を伸ばしたまま戻れない。
「…………さすが、武田のオカンやわ…………」
 数秒経って、ちょっと空気が緩んでから、ようやく黒田がそう呟いた。

 とりあえず逆鱗に触れずに済んで、ウチもホッとする。
 けどやっぱり、おかんの考え方には納得しきれん。
 多分、おかんの言い分が≪正しい≫んや。けどウチは、なんでかそういう≪普通の考え方≫が出来へん。いつも心のどこかで、雑に抱かれるなんて嫌や、誰が父親かも分からん子を孕みたくない、と思うてしもうとる。
 こんな歪んだ考え方、はよ直したい。ウチもおかんや皆みたいに、≪普通に≫生きたいよ。

 でも……何かがそれを邪魔しよる。
 喉に刺さった小骨みたいな、チクチクする何かが。


           ※           ※


 制服と穿いてた下着はもうドロドロやから一旦洗濯に回して、ほとんど裸で部屋に向かう。もちろん他の4人もついてくる。自分の部屋に修司以外の男を上げるんは初めてや。部屋の中が一気に男臭なって憂鬱になる。
 ……そういえば、修司の匂いを嫌やって思ったことないな。あいつかて空手の稽古とかで汗掻いたら、無臭ってわけやないのに。この違いは何なんやろ?

 ピンクパーカーと黄色いショーパンって部屋着に着替えると、男子の視線が集中する。
「へー、武田もやっぱ女の子なんやな。私服普通に可愛いやん」
「意外そうにすな。毎日スカート覗こうとしてくる癖によう言うわ」
 そう言ってベッドに寝転ぶものの、褒められるとちょっと嬉しい。修司のアホはそんなん全然言わへんから新鮮や。こっちはあいつと出かける時、そこそこ見栄えのする格好しよ思て色々工夫しとんのに、いっつもなーんも言わへんねん。すれ違った男が鼻の下伸ばして振り返ってくようなカッコでもやで? ホンマ、朴念仁も大概にせぇって話やんな。

 うつ伏せに寝転んで枕を抱えて、スマホカバーを開く。
 昨日は疲れてすぐ寝てもうたし、今日は今日でオスとまぐわってばっかりやったから、ほとんど2日ぶりのメールチェックや。今時の女子高生が2日もスマホに触らんなんて異常やで。
 当然、メールは山のように来てた。美容とかファッション系の割引案内に、よく見てるネット動画の新着告知。LINEも数十件の未読がある。
 晴香、栄美、亜希菜……友達もみんな、新しいお勤めに励んでるようや。とはいえウチ以外はほぼ男女比1:1の共学やから、学校で相手するんは男子人気の高い晴香でも4、5人らしい。バイト先も入れたらプラス数人。
『5人相手とかキツすぎ! あそこジンジンする』
『ねー。お尻が痛くて椅子座れへん!』
 そんな感じで苦労話に花が咲いてるけど、その10倍の人数に輪姦されてるってウチがチャットしたら、どういう空気になるんやろ。

「へへへ。部屋着でヤるんって、なんか恋人同士っぽくて興奮すんな」
 黒田がウチの腰を抱え上げて、鼻息荒くパンツをずり下ろす。
「あヤベ、ローションないわ」
「…………はー。クレンジングオイルやったらあるよ。石浦、取ったげて」
「おう。って、化粧品の数ヤバイな! 武田でもこんな使うんや」
「“でも”ってなんやねん。JKなめんなや」
「悪い悪い。でも今日からは保湿気にせんでええで。俺らのザーメンでパックしたるから!」
 下らん会話の中で、オイルを塗りたくられたあそこにアレが入ってくる。
「っ!」
 今が9時をちょっと回ったとこやから、3時間ぶりぐらいの男性器。やっぱりバイブとは全然違う。摩擦感も、熱さも、ドクドク脈打つ感じも。
「うっは、また締まり強なってんねんけど!? あんだけ玩具で拡げまくったのに、どうなってんねんこのマンコ!」
 黒田は声を上ずらせながらアレを奥まで押し込んで、ゆっくりと腰を遣いはじめる。パン、パン、パン、って音が呼吸よりゆっくり始まる。
「…………っ!」
 スマホを持つ手にちょっと力が入った。バイブ責めの余韻で、まだあそこの奥がヒクヒクしとる。そこを突かれると我慢がキツい。
「これ、子宮が降りてきとるってやつかな。すぐ奥当たるわ」
 黒田は呑気に鼻唄を歌いながら、ちょっとずつピストンを速めていく。パンッパンッパンッパンッってリズミカルな音が響きだす。
 サルとのセックスに集中なんかしたないから、スマホに視線を戻す。
 友達とのグループLINEチェックはほぼ終わり。後は……スカシの修司や。

『大丈夫か?』
『今なにしてるん?』

 その短いメッセージと、通話履歴が3回。あいつにしては反応がある方や。けど今はなんか、その素っ気なさにムカついて、ほとんど反射で修司に電話しとった。

 コール音が1回、2回……お、2コールで出よった。こいつ待ち伏せとったんか?

 通話が開始しても、数秒は何も聞こえんかった。完全な無音やない。ウチのおとんと修司のおかんの声が遠くでしとる。やっぱりおとんは隣におるんや。
「……よう」
 相変わらずの低いテンションが、電話口やとさらに低く聞こえる。密林ぐらいの暗さや。太陽みたいな女子が夜中にわざわざ電話してやっとんやぞ、もうちょっと声弾ませろや。
「よう……ちゃうやろアホ! あんた何さっさと帰っとんねん、昨日も今日も!!」
 ウチが怒鳴ると、電話の向こうで息を呑む音がした。
 ショック受けてる? あの修司が? いやいや、まさか。あいつがそんな殊勝なタマか。
「……別にええやろ、帰っても。それとも俺に残っててほしかったんか?」
「えっっ!?」
 ドクンと心臓が鳴る。なんでか知らんけど、やたら頭がパニクっとる。
 図星? それこそまさかや。修司のアホなんぞ別に居ってもおらんでもどうでもええ。ただちょっと、何で居らんのかなーって気になっただけや。
「い、いや、そういう話してるんとちゃうやん! ウチのプライドが傷ついたっちゅう話! このウチを好きに抱けるチャンスなんやで? なんでそれをフイにすんねん! ウチを女として見てへんの!? もし昨日、教室に残ってたら……ウチの“初めて”かって奪えるチャンスあったのにっ!!」
 捲し立てる言葉に、自分でもよう分からんぐらい熱が籠もる。
「…………初め、て…………!」
 電話の向こうでまた息を呑む音がする。
「れ、玲……。その、初めての、相手って………………いや、何でもない」
 修司はぼそぼそと何かを呟いてから、ひとつ咳をする。煮え切らんやっちゃ。こういう時ぐらい、ウチみたいに感情を吐き出せばええのに。最後が喧嘩別れみたいな感じやったから、変に気でも遣ってんのかな。

「ところで、今は何しとるんや? なんかちょっと、時々声が聞き取りづらいんやけど……」
「ん、今? 部屋でセックスしてる」
「………………ッ!!!」
 さらっと答えると、修司はやっぱり息を呑む。これでもう3回目や。いつものスカシはどうしてん。
「せ、セックスって、もう夜の9時過ぎやぞ!? こんな時間までされてんのか!?」
「げっ! うるっさいなー、耳元で喚くなや! こんな時間もそんな時間もないやろ。≪いつでもどこでも≫種付けセックスに応じろって条例で決まったやんか。まあさすがに夜ぐらい寝たいし、黒田らぁぼちぼち帰らすけど」
 ウチがそう言うと、後ろの黒田達からブーイングが飛ぶ。いつまで粘る気やったんやコイツら。さすがにこのベッドで寝るんは許さんぞ。
「チェッ、ラス1か。なら、よう味わわんとな!」
 黒田はウチのお尻を掴み直して、パンパンと腰を打ちつける。一回一回奥まで挿入して、『降りてる』子宮を叩くバック責め。
「んっ、は……あ! あっ……あ!あ!!」
 声を我慢するのは、ギリギリ無理やった。突かれるたびに強めの痺れがお腹から広がって、正直スマホを見える角度で保っとくんもつらい。思わず左手でシーツを握りしめたら、目敏く見つけて笑われる。
「おいクロ、やるやんけ。武田のヤツだいぶ感じとんぞ!」
「分かってますー。こいつのマンコん中ヒクヒクしっぱなしやもん。俺のチンポが美味しくてたまらんらしいで!?」
 サル共は声を抑える気もない。この会話は全部修司に筒抜けやろう。そう思うとメチャクチャ恥ずかしくなってきた。
 もちろん他の男子に聴かれても恥ずかしいけど、幼馴染が相手やと特にや。小さい頃からずっと一緒に育ってきた、ほとんど兄弟みたいなもんやから。

「あああ出る……もう出るうっ!! 武田、イクぞ! 今日ラスの、濃いのいっぱい出したるからな!! ……あああイクイク、うおおおおおおッッ!!!」
 黒田は動物みたいに吠えながら腰を6回叩きつけて、一番奥に密着させたまま射精しはじめた。本人の言う通り凄い量や。膣の中で硬い竿が跳ねるたびに、びゅるるるっ、びゅるるるっ、って精液の塊が流れ込んでくる。こんだけ中出しされまくったら、水っぽい精子なんか掴めるぐらい濃い精子なんかは出された瞬間に分かるけど、これは確実に後者や。
 そんでこの濃い射精っちゅうんが、また気が狂いそうな快感や。妊娠誘発剤の効果なんか、膣内射精そのものがピストンの何十倍も気持ちええんやけど、その快感の総量は精子の濃さに直結する。薬で思考を操られとるようで怖いけど、そんな考えなんぞ秒で吹っ飛んで、なんも考えられんようになる。
「んあっ、ふあああああっっ!!!!」
 気が付けばウチは、スマホの通話口の横でおんなの声を上げとった。修司が今まで以上に引いてるのが分かる。立場が逆ならウチもそうかもしれん。
 だって気持ち悪いやんか。動物みたいに犯されて、無責任に中出しされて、もしかしたら頭の悪そうなクラスメイトの子を孕むかもしれんって状況で、涙まで流しながら喜んどるんやで。

 修司。こんなんやっぱ、おかしいよな…………? 


           ※           ※


「つーかさぁ。わざわざ電話せんでもよ、一ノ瀬の部屋って隣なんやろ? 直で話したらええやん」
 2人目の林とヤッてる時、射精し終わって暇になった黒田がいきなり窓を開け放つ。
「ちょっ! あんた何勝手に……!!」
「えーからえーから。一ノ瀬ぇー、ちょう顔出せや! そこ居るんやろー!?」
 黒田のバカでかい声が響く。そろそろ夜の10時やっていうのに、近所迷惑もええとこや。
「……なんだよ」
 ガラッと音がして、修司が顔を覗かせる。最後に会うてからたかが2日ぶりやのに、えらい懐かしい気分や。

 修司の見てる前で、ピストンが再開される。この部屋と修司の部屋の窓は、簡単に飛び移れるぐらい近い。実際出不精のあいつを連れ出すために、何回か窓伝いに飛び込んだこともある。おかんには危ないからやめろ言われとるけど。
「へへへ、修司の奴固まっとるで。おい修司、幼馴染のハダカみたんは初めてか?」
 その声でつい上を向くと、修司はほんまにウチを凝視したまま凍り付いてた。
 ヤバイ。あいつに見られとる思たら、いつも以上に感じてまう。もう何十回もしてるはずの正常位が、この世で一番恥ずかしい体位に思えてくる。でも実際、顔も、胸も、あそこも……隠したい場所が全部見えてまうのは事実や。
「あっ、あっ、あっ……! あああ、あ、あっ!!」
 我慢せなと思うほど、余計に興奮して声が殺せへん。膣の中もヒクヒクしてるのが自分で解る。
「うひょーっ、気持ちいーっ!! お前も混ざれよ一ノ瀬ー、お前の幼馴染めちゃめちゃ良えぞ! このマンコ、使えば使うほど名器になりよんねん! ザーメンとマン汁でとろんとろんの襞が竿に纏わりついてきてな、いっぺん呑み込まれたら腰が止まらへん! 冗談抜きで、これ経験しとかんと一生の損やで!?」
 林は修司を煽って、それでも動かんとなると更に挑発した。腰を振りながらウチに覆いかぶさって、キスしようとしてきたんや。当然それを受け入れる気はない。顔が完全に近づききる前に、額めがけて頭突きをかます。
「ぐわっ! ってぇ、何やねん! セックスまでしてんねやから、キスぐらいええやろ!」
「ええ訳あるか、ドアホ! 勘違いしてるようやから言うとくけどな、決まり事やからセックスさせたっとるだけで、あんたらに対して恋愛感情なんてこれっぽっちもないで!!」
「えー!? こんなにぬるぐちょにヤリまくってんのに脈ナシとか、ホンマに? 信じられへんわ。それともまさか、他に好きな奴おるん?」
 林は何気なく訊いたんやろう。冗談のつもりやったかもしれん。でもこの時のウチは、自分でも意外なぐらい動揺した。ほんまになんでかは分からんのに。
「えっ!? べ、別におらんよ。そんなやつ…………」
 そう言った途端、林たちが顔を見合わせる。
「……これ、おるな」
「ん、絶対おる。おい武田、誰やねんそいつ!!」
 どうやら、またしてもバレバレらしい。でも誰って言われても、自分でも分からんのやから答えようがない。
「おらんて!」
「嘘つけ! おまえ思とること全部顔に出んねん! 誰や、言えやおらッ!!」
 林は茶化しながら腰を打ちつける。感じてる時に激しい突きはほんまに辛い。
「あ、やめっ……ッ……ああぁーーーーっ!!」
 かなり本気でイってしまう。頭上で修司が凍りついたんが分かって、胸がチクッと痛む。

 中出ししてもすぐに次の奴が突っ込んできて、またイカされる。幼馴染が見てる前で。たった4人相手のセックスが、永遠にも思えるぐらい長い。
「子供らー、そろそろ10時になるよー。いい加減切り上げて、家帰んなさい!」
「げっ、やべ! クソッ、もうイクか……!!」
 おかんのその声で、4人目がスパートを掛けて射精する。これでようやくお開き……なはずやのに、4人はアレを勃起させたままウチを囲む。
「な、何やねん!? まさかまだする気か!?」
「いや、流石にもうハメんよ。けど最後に、口に出させてや」
「へへへ、やっぱお前もそれ狙いけ? 一日ヤリまくってヘバってるせいか、この部屋来てから武田の顔がメチャメチャエロいんよな」
「あ、やっぱそうやんな!? いつもはバチクソ睨んでくるだけやのに、ここやとなんか周りを気にしてるっていうか」
「まあでも、自分の部屋でヤラれんのって特別やろ。ほら武田、出るぞ。自分のベッドに零れんように、クチ大きく開いて受け止めろや!」
 サル4人はそう言いながら扱きまくって、ウチの口に向かって射精する。今日もう何発目か分からんのに、精液は濃いし出方もすごい。4発の中で口に収まったんは2発だけで、残りの2発は鼻と髪の生え際に飛んでいく。
「ちょっ……せめて口狙えや!」
「ふー、出た出た。こんな飛ぶとは。武田がエロすぎるせいやで」
「やな。明日もまた頼むで。あ、そや、明日は朝、体育倉庫に直行してくれ。バレー部の奴らがヤリたがってんねん。手マンで潮噴かせる言うてたから、パンツの替えも用意しといた方がええで」
 4人は言いたい放題言いながら服を着て、ほな、の一言でそそくさと出ていく。元気なもんや。こっちは腰が抜けとるのに。

「……大丈夫か? 玲」
 その言葉に、びくっとする。向かいの窓から意識を離した覚えはないのに、不意打ちのパンチを食らった気分や。
 急に恥ずかしさが出てきて、隅に押し込まれてた布団で身体をくるむ。
「あ……! わ、悪い!!」
 修司は慌てて横を向く。顔は真っ赤や。たぶんウチもやけど。
「別に悪ないけど。クラスの奴なんか、あんた以外皆見てるんやし」
「…ッ!!」
 ウチの言葉に、修司はまた絶句する。コイツだけはほんまに、あのサル達と同じ性別とは思えへん。反応が違い過ぎる。
 なんでそんなに遠慮してんのやろ。
 なんで皆みたいに、ウチを無理矢理襲わへんのやろ。
 もしかして前に言ってた、≪常識が改変された≫とかいう、あれのせい?
「…………なあ修司。あんた今でも、こういうのっておかしいと思ってる?」
 ウチがそう訊くと、修司はチラッとこっちに視線を寄越してから、また目を逸らす。
 答えはない。けど黙ってんのは肯定と同じや。

 ≪普通≫の考え方やない。世間様には白い目で見られるし、おとんやおかんにも怒られる、持ってたらマズイ思考や。
 けど今は、ウチもその思考に染まっとる。もろ肌脱いで欲情させて、種付けセックスに誘う──そんな女として≪アタリマエ≫の行為を、修司にだけはしたくないって思うとるんやから。


           ※           ※


  朝っぱらから校門で待ち伏せされて、授業の合間の休み時間に口で処理させられて、昼休みと放課後はガッツリやられる。平日はそんな感じで、夜が更けてからしかスマホに触る暇がない。ストレッチと筋トレは毎日最低2時間したいから、メールチェックだけしたらもう寝なあかん時間や。
 じゃあその分、週末にゆっくり……とはいかん。むしろ週末こそ地獄や。
「おばさん、今日ここに泊まってええですか? 親にはOK貰ってるんで!」
 金曜の夜になると、サル共がウチに大挙して押し寄せる。お菓子やら着替えやら持ち寄って、完全に修学旅行気分や。
「あらあら、いらっしゃい。こんなに大勢で……幸せな子やねぇ」
 自分の娘を犯そうって人間が鼻息荒く詰めかけとるのに、おかんはにこにこして茶なんぞ振る舞う。
 そのおかん自身も、乳房が丸出しのビスチェにミニスカ網タイツっちゅう、欲情してくださいと言わんばかりの格好や。その格好は発情したサルには刺激的すぎる。
「お……お母さん、めちゃめちゃエロいすね……」
 ライトを見つけた蛾みたいに、1人がフラフラとおかんに近づいていく。
「ちょっ……!」
 思わずその首根っこを掴もうとしたけど、おかんの手前、後ろから抱きつくことで誤魔化す。
「うお、武田!?」
「あかんよ村西くん。ウチがおんのに、浮気なんかせんといて……」
 大根芝居にも程がある。だからまあ、甘んじて許したる。後ろで爆笑しとる連中も、胸を押し付けられて鼻の下を伸ばす村西も。

「で、部屋入った途端にこれやで」
 村西は小馬鹿にした感じで言うけど、雑に服を脱ぎ捨ててんのはわざとや。これでヤル気が萎えるんなら万々歳。
「自分の部屋で寛いで何が悪いねん。したいんなら勝手にして、とっとと去ねやサル」
 スッパダカでベッドに大の字になって、スマホを弄りだす。ウチが男ならこんな女ゴメンや。舐めとるんかと思ってすぐ帰る。
 けど、男子の性欲は異常やな。ここまでの扱いされても、むしろ面白そうにしよる。
「ひひひ、ツンツンしよって。武田はこれやから堪らんのよな」
「時間はなんぼでもあるんや、根競べといこか!」
「やな! この澄まし顔、イキまくりのアへ顔に変えたろうや!」

 胸を揉まれて、乳首を吸われて、『手マン』されて。そういう見様見真似の前戯の後、正常位で犯される。
 1時間、耐えた。声は一切出さんかったし、挿入にすら気付いてへんフリでスマホを弄り続けた。
 ただ、限界は必ず来る。
「お、腰がヒクヒクしとる。コイツ感じてきよったぞ!」
「感じてるんはとっくにやろ、グチョグチョ音してんもん。痩せ我慢できんようになっただけやろ。なあ武田ぁ?」
 茶化されても返事はせん。なるべく頭カラッポで観れるコンテンツを眺めながら我慢する。
 でも、膝立ちになった相手に腰を持ち上げられて、引き付ける感じで責められると、いよいよ我慢できんようになる。
「なんやお前、AV男優みたいやんけ!」
「へへへ。昨夜、兄貴がオンナとしとるとこ見てん。なんかお嬢様っぽい感じの子やったけど、この体位でメチャメチャ善がっとったぞ」
「マジで? じゃあドスケベの武田とかイチコロやん!」
「あ待って、ホンマに感じとんぞ武田。足の指見てみい、めっちゃ必死でシーツ掴んどる!」
「あホンマや! って言ったら放したわ。武田、もう遅いでー。感じてんのはバレバレなんやから、素直にイケや!!」
 多対一はズルい。見学に回っとるヤツに反応が全部見られて、指摘される。恥ずかしいし、絶対感じたるか!って気持ちでおんのに、身体がそれに応えてくれん。空手やってる時はあんなに思い通りに動く身体が、セックスになると自分の物やないようや。

 そろそろ限界。膣の奥がヒクヒクして、男の精を迎え入れる準備をはじめよる。その状態でツンツン子宮口を叩かれると、鋼の肉体が溶けた飴になる。脹脛も腕もグニャグニャや。スマホを持ってられんようなって、指の間から落としてまう。
「あ痛った!!」
 眉の間にスマホが当たって、思わず叫ぶ。でも最悪や。まさにその瞬間気が抜けて、下半身でも達してまう。
「おー、イったんか。ツンツンモードの武田が自分から宣言すんの珍しいな」
「今のって絶頂の『イった』なん? 『痛い』やなくて?」
「両方ってセンもあるぞ。スマホぶつけて痛くてイッた!とか」
「ははは、駄洒落かい! でも有り得るかもな。ネットで見てんけど、攻撃的な人間って潜在的にマゾらしいで」
 ウチが蹴れる範囲で悪口とは良い度胸や。けど運がいい。今は脚が動かせん。
「はーっ、はーっ、はーっ、はーっ……」
 身体が絶頂の余韻に浸っとる。浮いた腰が痙攣して、お尻は勝手に引き締まって、胸も上下しっぱなしや。もちろんその全部が嗤われるけど、不随意運動なんやから止められへん。


           ※           ※


 金曜夜からぶっ通しのセックスはほんまにキツい。
「くはっ、あ、あっ……!! そ、そんな、ガンガン突くなや……!!」
 バックで突きまくられて、思わずそんな弱音が漏れる。
「へへ、なんや。もうヘバったんか?」
「や、やかましい! アンタも受ける側になってみろや!」
 相手は一度出したら別の奴と交代して休憩できるけど、こっちはヤラれっぱなしや。あそこは敏感になりすぎとるし、興奮で勃ったクリと乳首も周りで暇しとる連中に嬲られる。そんな状況、いつまでも耐えられる訳がない。
「っしゃ、いくぜいくぜぇ!!うおおおおらっ……!!!」
「あっ、んはあああっ!!」
 ドクドクと射精されるタイミングで絶頂して、シーツを握りしめる。ちょっと柔らかくなったアレを抜き出されると、ウチ自身にも芯が無くなったみたいに倒れ込む。
「ふっ、はあっ、はあっ、はあっ……!!」
 まだ自分の限界が分からなかった子供の頃、稽古をしすぎて倒れた時を思い出す。あの時も息は苦しかったし、手足は震えてた。
 あの時と違うのは、脚の間がジンジンと疼き続けとることや。心肺と手足はもう休めってアラートを上げてんのに、ウチの女の部分だけは、もっともっとって刺激を欲しとる。

 最悪なんは、その欲求を満たしてくれるサルが山ほど居ることや。

「へへへ、やっとオレの番か。待っとる間は焦れるなぁ!」
 また次の1人が、痙攣するウチの股を開いて、亀頭が膨らむぐらい勃起したものを突っ込んでくる。
「んはあああっ!!」
 このコンディションで石みたいに硬い物を深く突っ込まれると、悲鳴しか上がらん。でも、どっちかというと黄色い声に近い悲鳴や。
「うはははは、なるほどな! これが噂の武マンか! いやすげぇわ、マジ名器やん。ウチのクラスの能登も、最初はエエ感じやねんけど、10人も相手したらスカスカなんねん。でもコイツ、もう30人目ぐらいやろ? そんでこれって……あああっ、ホンマなんやこれ! 何十人かにフェラされとるみたい……もう訳わからん! 俺いま、自分の意思で動いとんのとちゃうねん、腰“振らされ”とんねん! もう頭バグりそうや!!」
 新顔らしいその男は、目ェ瞑ったまま狂ったように腰をぶつけてくる。奥の奥まで。
「あっ、あ、あっ!! あ、あイグっ、イグーーっ!!」
「おっ。お前やるやんけ。武田がメスブタモード入りよったぞ。ただ気ぃつけえよ。こうなったら武田、こっちの腰に足絡めてくんで」
「へえ? 『だいしゅきホールド』ってやつやん。それの何が悪いん?」
「こいつがメスゴリラって言われとんの知ってるやろ。こいつに全力で抱きつかれたら、腰の骨がアカン角度に曲がんねん。ビキビキって音鳴ったら病院やで」
「マジか。でも今更抜けへん。このまま中に出すぞ!!」
 聞き捨てならん言葉が飛び交う中、相手は圧し掛かる格好で亀頭を震わせる。
 いわゆる『種付けプレス』。
 本来、妊娠させる覚悟・する覚悟の揃った男女にしか許されん受精体位。でも今の条例下では基本の姿勢や。これまで勉強か運動しかしてこんかった奴でさえ、妊娠させる前提でセックスすると、自然とこの体位に行きつく。
 そしてこれは、妊娠誘発剤を飲んだ女を一番狂わせる体位でもある。
「んいぃイグっ、イグっっ!! まだイグううううーーっっ!!!」
 こんな言葉、口にしたない。特に幼馴染に聴かれるこの部屋では。
 でも我慢ができへん。できへんように、薬に、国に──世界に強制されとるから。


           ※           ※


 妊娠誘発剤は、“生身で”セックスした時の快感を倍増させる効果があるらしい。
 世の中には好奇心旺盛な人が多くて、SNSをちょっと調べると色んなプレイの経験談が見つかる。コンドームを着けてセックスしたり、色んなバイブを使ったり。でも結論は共通してて、そういう道具を使うより、男性器を生で突っ込まれるのが一番快感が強いらしい。

 とはいえ、玩具をアクセントとして使うのは効果的や。それはウチも実感してる。
 例えば、イッた後に電マを当てられるとヤバい。セックスの余韻が電マの振動で増幅されて、何度も連続的にイってまう。
「あーーー~ッ、あっあっあっあ! あっあっあっ、ああっ……あっ!!」
「おー、イキまくっとんなー」
「女っていいよな、何回でもイケて。ずーっと射精するような快感が続いてるってことやろ? 最高やん」
「でも聞いた話やけど、もし男がその快感を受け取ったら狂うらしいで? 出産せなあかんからか、女の方が苦痛も快感も許容量がデカいらしい」
「ふーん。で、その許容量と武田のチチってどっちがデカいん?」
「オマエ、もうすでに頭バグっとるやん」
 冗談とも本気ともつかん会話がずっと続く。ただそういう会話をしてる時でも、サル共の眼は笑ってへん。ウチの顔を、胸を、あそこを、犯したくて堪らんって目で凝視しとる。

「しゃぶって、武田」
 電マでイカされ続けとるウチの口に、勃起したアレが突き出される。さっき射精したそのままやから垢まみれや。ウチの五感がまともなら、チーズみたいな匂いに顔を背けとるはずや。
 でも、もう何時間ヤラれとるかも分からん今は、センサーもアホになっとる。鼻孔をくすぐるチーズ臭が美味しそうで美味しそうで、涎が止まらん。
「うわ、唾の量すご。マジで感じてんねんな」
「ほんまや。美味そうにしゃぶっとる」
「ああいうボーッとしてる時の武田って、下手なアイドルより可愛いと思わん?」
「んー……あえてのノーコメントで。武田、そいつイッたら次俺な」
「いや、次は俺やろ順番的に」
「は? ざけんな!」
 時にはちょっとした喧嘩も起きつつ、次から次へと男の象徴をしゃぶらされる。
 いい加減フェラにも慣れっこや。クラスメイトのアレなら、それこそスマホを弄りながらでも事務的に処理できる。
 普段なら。
「うう゛え゛っ! げほっ、えほっ! 無理や、もう飲めん! ちゅーかどんだけ飲ます気やねんアホ!」
 休みなく飲まされる精液に噎せ返って、周りのサルを睨みつける。でもそんなウチの反応に、相手はニヤつくだけや。実際あのサル共からすれば、弱ったウチなんてええオモチャなんやろう。
「あっ!? ま、待ちぃ! 今は──んああああっ!!」
 膝を割られて、これでもかと電マで責められたあそこに突っ込まれたら、それだけで仰け反りながらイってまう。
「すげー、突っ込んだ瞬間イキおった……」
「まだまだ反抗的やけど、『身体は正直』ってやつやな!」
 ゲラゲラと笑われながら、また輪姦が始まる。身体が悲鳴を上げて、膣が歓喜する地獄の輪姦が。


           ※           ※


「すげぇな、体中ドロッドロ。ザーメン掛かってへんとこがないぞ」
「流石にそろそろ洗おか。武田、起きて。一緒にフロ入ろー」
 その声で目元の精液を拭うと、カーテンから漏れる光が白かった。土曜の朝か、日曜の朝か。こういう時は大抵悪い方やから、多分まだ土曜の朝やろう。
「うー、体中ガビガビ……ってか、起きれへん」
「なに駄々こねとんねん、ほら! ……って、マジで動かへんやん」
「あ待って、背中の肌が床とくっついとる! ザーメンが固まってるっぽいわ。今剥がすから、無理に起こすなよ!」
 そんなひと悶着を起こしつつ部屋から出て、リビングを横目に風呂場に入る。

「アオオォーーーーーッッ!!!」

 リビングからは獣の声がしとった。
 ウチもメチャクチャやられとるけど、おかんも大概や。偉そうにソファに腰掛けたオッサンに尻の穴を犯されながら、アソコに電マを直で“突っ込まれ”とる。床にはどう使うんかも分からん道具が濡れ光ったまま散乱しとる。
「……うおお、えげつなー。さすが武田の母ちゃん、おっちゃんらのアイドルやな!」
「そらそやろ。ここらで一番の美人やって前から言われとるやん」
「ほんでその娘は地域一の美少女ってか。血は争えんのー、武田ァ!」
 下品な会話を交わしながら、ジャンケンで勝った3人と風呂場に入る。 

 思ったより体が冷えとったんか、湯気のぬくさが気持ちいい。
 けど、ゆったり温泉気分とはいかん。
「よーし武田、身体洗うたるわ!」
「湯使うと精液固まるらしいから、最初は水含んだタオルで擦るんがええらしいで。大丈夫や武田、寒かったら俺らの手であっためたるから」
 そういう名目の愛撫からヒートアップして、ソープの真似事をさせられる。
 と言っても高校入りたてのウチらには、ソープが本番アリの風俗ってことは知ってても、どういうプレイをするんかはまるで知らん。やからラップで包んだスマホを持ち込んで、プレイ内容を検索しながら真似していく。
 まずはあそこに泡を塗りたくって、毛と割れ目を『タワシ』に見立てて腕を洗うプレイや。
「……どう? こんなんがほんまに気持ちええん?」
「んー、別に。でも奉仕されてんなーって感じで、メチャメチャ興奮はする」
 確かに股間はビンビンやった。それを見ながら前後に股をこすりつけとるうちに、こっちも変な気分になってくる。

 ( こいつ、見た目細いのに力瘤あるんや。ちゃんと男の子なんやな )

 ぼーっとしながらそんな事を思うと、ゾクゾクした。
「へへへ。武田も地味に興奮しとるやん。オマンコぬるぬるんなってきたで」
 そう指摘されてはじめて、あそこが濡れてんのに気付く。確かに滑りが良いとは感じてたけど、泡のせいやと思ってた。
「……う、煩い。敏感なとこ擦れたらこうなるんや。興奮とか関係ない!」
「ははは、分かった分かった。切れんといてぇな。じゃあそのまま洗うん続けて、ナンバーワン泡嬢ちゃん」
「誰がナンバーワン泡嬢やねん。張っ倒すぞ!」
 下らん会話の中、前後に腰を振りつづける。

 強がりはしたものの、気持ちよさはどんどん増していった。摩擦は減ってるはずやのに、割れ目もクリもヒクヒクして止まらん。特に二の腕の盛り上がった部分に勃起したクリが擦れると、堪らん快感につい内股になる。
「ッんんんん~~~…………っ!!!」
「うっおおお、エッロ……!!」
「へへへへ、おい武田ァ! お前なんちゅう声出しとんねん。しかもその顔……俺らオスの前でそんな顔するとか、逆にもう犯罪やぞ?」
 ウチを取り囲む3人の目つきが変わる。熱い鼻息が首に、肩に、胸にかかる。その熱はウチにも感染って、ゾクゾクがもっと大きなる。
「ははは、心臓バクバクやん。興奮してんのに澄まし顔すんなや」
「…………っ」
 身体じゅう泡まみれにして擦りつけるプレイでは、とうとう鼓動の大きさまでバレた。ウチはなんも答えんかった。ウソが下手なんは自覚しとるから。

 乳房を使っての奉仕……『パイズリ』も当然のようにやらされた。
「なあ。なんて男ってそんな胸が好きなん? ただの脂肪の塊やで? なんか乳でかいんを馬鹿にされとる気がして嫌なんやけど」
「分かっとらんなー、オッパイは男の夢なんや。ちゃんと敬意は払ってるで。むしろこんだけ立派な乳見せられて、スルーする方が不健全や」
「意味わからん。そんなに憧れてんのやったらあげたいわ。こんなんあっても空手の邪魔やし」
「空手には役立たんでも、セックスには大活躍やん。これからお前は空手家やのうて種付け用のメスとして生きてくんやから、良かったやんか!」
 多分この言葉は、何の悪意もなく発されたんやろう。先生もおかんも同じことを言うはずや。≪常識≫のある人間なら。
 けど、ウチはそれをスッと飲み込めへん。どうしても心のどこかでつっかえてまう。

 パイズリで口に出させた後は、泡まみれのまま騎乗位に移る。
 泡のおかげで滑りがいいし、ちょっと粘膜に沁みる感じもするけど、その刺激がまた丁度いいアクセントや。
「ほら、さっさとイキぃや。せっかくウチが動いてやっとんやぞ」
「はははは、やーマジ最高。搾り取られそう」
「やったら早よ……んっ、イケって……んんんっ!! あヤバっ、あっ、あッ!!」
 うっかり腰を振りすぎて、奥へのスムーズな刺激でイキかける。一度そうなったらもう立て直せへん。相手の胸板に手をついたまま、中イキの快感に呑まれるしかない。
「あ、い、いきそうっ! ぁ、あイ……ってるっっ…………!!」
「おおおおっ! うはははは、すっげぇ!! おいお前らヤバいぞ。俺のチンポ。武田の下の口にモグモグ喰われとる!!」
「あー、深イキした後そうなるよな。『もっと射精せや』モード」
「なるなる! クソ気持ちええけど、尻叩かれてる感じでちょっと怖いんよな!」
「あーもう、煩い煩い!! 好きでやってんのとちゃうわっ!!」
 お互い喚くように言い合った挙句、リビングからの笑い声で一斉に口を押さえる。ソープごっこなんて背伸びをしてても、本物のオトナに笑われるんは恥ずかしかった。


           ※           ※


「……なあ武田。お願いがあんねんけど」
「………………嫌や」
「そんなん言わんと。そこの壁に手ついて、尻こっち向けて。武田のエロボディ近くで見すぎて、もうチンポ爆発しそうや!!」
「もー。せっかく洗ったばっかやのに……」
 溜息をつきつつも、要求されるままに湯から上がって尻を向ける。
「もっと腰下げて」
 定番の要求通り、バスタブの縁に膝が乗りそうなぐらい腰を落としつつ、背後からの挿入を受け入れる。
「うはは、エッロ。女として終わってる格好やん」
「もうええから、早よイケや……」
「へへへ、オッケー。湯で温まってるから、すぐイクぞ……っと。おら!!」
 ドクドクと射精されて、憂鬱なセックス要求はあっさり終わる。でも当然、性欲旺盛なサル相手に一度で済むはずもない。
「んあっ!? ちょっ、あんたまた……!!」
「悪いなぁ、まだ収まらへんねん。エロい身体で興奮させた罪やと思って、このまま付き合ってや!!」
「何を勝手な……んっ、ん!! ふん、んっ……んっ……!!」
「おー、これこれ。やっぱ中出しした後のマンコが一番気持ちええし興奮するわ。武田も良うなってきたやろ? エロい声出てるやん」
 悔しい。でもコイツの言う通りや。膣の中が精液でぬるぬるな上、湯で身体が温まってるからメチャクチャ気持ちええ。
 ウチの女としての本能が悦んどる。奥まで突っ込まれて膣を拡げられる度に、あそこの神経がざわめく。意思とは裏腹に中がヒクヒク蠢く。
「…………ぐ、いぐっ…………!!」
 今度はウチの方が絶頂へ追い込まれた。
「あああいい、最高や……! 武田、武田あっ……!!」
 相手には、ウチの事情なんて酌む気すらない。イっとる最中のあそこに容赦なく中出ししてきよる。
 受胎を望む女の本能と射精の、ドンピシャのタイミング。この一発で孕むかもって予感に、ドクドクと心臓が鳴る。

「あいぐいぐっ、イってるっ……!! ああっ、うあああっ……!! あいぐっ、いぐうううっ!!」
 イってる最中に中出しされて、その興奮でまたイって、ヒクヒクしてる奥をイジメ抜かれて。それがずーっと続いた。愛液で浴槽の湯がヌルヌルになったら洗い場に上がって、バスタブの縁に片足を上げた状態でまたハメられる。
 1人目が精魂尽き果てるまで出しきれば、すかさず2人目が犯しにくる。2人目が満足したら3人目に。3人目が腰を離せば、完全回復した1人目に。ずーっとこのループが続く。この底なしの性欲と回復力には心底うんざりする。

 ハメられ続けるんもキツいけど、合間合間に挟まる『イタズラ』も馬鹿にならん。胸を揉んだり、乳首を引っ張ったり、クリを転がしたり。
 一番堪らんかったんは、10回以上の中出しでトロトロになったあそこを、指でグチュグチュ掻き回された時や。
「出し過ぎて、さすがに腹張ってきたな。一度掻き出したるわ」
 そう言って始まった指責め。これがまた狂いそうなぐらい気持ちいい。あーっ、あーっ、て自分でもビックリするぐらいの声が浴室に響きまくった。しかもその反応を面白がられて、ますます激しく指を動かされるから、終わりがない。
「玲、大丈夫ー?」
 リビングのおかんがそう心配するぐらいやから、傍目にも相当やったんやろな。

 最後の最後、膣にシャワーノズルを突っ込んで直に膣内を洗われた時も凄かった。
「あイグっ……! イッでる、イッでるっ……うああああっ!!!」
「えっマジで!? シャワー当ててるだけやん」
「水圧でイってるってこと? にしてもイキすぎやろ。俺らのチンポ以上やん」
 3人には不思議がられるけど、ウチかって訳が分からへん。でも硬いアレで奥を突かれるんとは全然違う快感があって、しかもそれが絶頂に直結してるんだけは確かな事実や。


           ※           ※


 ヘロヘロで風呂場を出ると、リビングでおかんと談笑してた10人ちょっとが立ち上がる。全員お預けを食らってたせいで、アレがフルに勃起しとる。
「やっと出てきよった。お前ら風呂でどんなプレイしとってん。武田のヤバイ声がずーっと響いとったぞ?」
「ジャンケンで勝ったからって3人で愉しみやがってよぉ。その分俺らも愉しませてくれや、なあ武田!!」
「そうよ玲。この子ら精液を一滴も無駄にしたない言うて、オナニーもせんとここで待っとってくれたんやから。そこのソファで今すぐ相手したげなさい!」
 おかんにそう言われたら逆らえへん。

 結局そのままリビングで、性欲底なしの十数人とセックスし続けた。
 騎乗位で腰を振りながら、左右のアレを交互にしゃぶって。
 『マングリ返し』のポーズで次々と射精されて。
 風呂場で軽いトラウマにまでなったバックでイキ狂って。

 中でも最悪なんが、スクールカースト最下層のいじめられっ子、江角に犯された時や。
 コイツはほんまに許せへん。入学早々、殴る蹴るパシらされるのキツいイジメを受けとったから、そういうウジウジしたことはやめぇ言うてイジメを止めたったんや。実際その次の日から、江角が顔に絆創膏を貼ることはなくなったし、昼もゆっくりメシが食えるようになっとった。せやのに、その恩を見事に仇で返しよったんや。

 江角は元々クラスの輪に混じるタイプやないけど、ウチとやりたい一心で先生を味方につけて、『よせてやれ』の鶴の一声で輪姦グループに加わったらしい。
 そこまでして参加した以上、江角のウチに対する執着は並やなかった。
「っぶはああっ。僕とキスできて幸せやろ、武田?」
 頭痛がするほどの、生ゴミみたいな口臭。それを部屋に撒き散らしながら、江角は満面の笑みを寄越す。
 冗談やない。おかんの前やからしゃーなしでキスを許しとるだけや。
「…………う、うん……江角くんと、キスできて……し、幸せや…………」
「ウヒヒヒ、そやろ。安心して、僕も武田レベルになら合格あげれるわ。めでたく両想いって分かったことやし、もっともっと恋人っぽい事しよな!!」
 自制心の欠片もない陰気なデブにすら、一方的に性欲の捌け口にされ、それを悦ぶ演技をさせられ、それを遠巻きに野次られながら面白半分に撮影される。
「ン゛ッ、ンンン゛ッ!! ンむ゛ッ、ンン゛ーーーーッッ!!!」
「うわヤッバ。“エゴミ”相手に中出しされながらイっとる!」
「しかも白目剥きながらの痙攣絶頂やぞ? 俺らん時でも白目までは剥いてへんやん。あいつブサ専なんかな」
「あ、待って!? 前にさ、武田に好きな奴いるんか訊いたら、露骨に誤魔化した時あったやん? あれってさあ、江角のことやったんちゃう!?」
「……ああ、あったあった! アレずーっと気になっててん。そや、絶対そやって! うーわ、ピース嵌まったやん!」
「マジか!? モロに美女と野獣やんけ。世の中分からんもんやな……」
「なー。ツラとカラダは良いからこれからも『使う』けど、女子としては終わったわ。オレん中では」
「俺も。流石に感覚合わん女とは付き合えんわ。マンコ付き妊娠袋決定ー!」
 周りが言いたい放題に言ってる中、江角はそれすら耳に入ってない感じでウチと舌を絡め、何度も何度も生ゴミ味の唾液を飲ませてくる。
 その間ピストンも止まらず、ウチの尻を鷲掴みにしたまま、ドクドクと精液を流し込む。男の興奮と射精量は比例するんか、もう10発以上も硬さを感じる精液を出し続けとる。
「あらぁ、激しいなあ。ビンビンやし、精子も濃いし……若いってええわ。玲、アンタ江角くんに感謝するんよ。わざわざアンタを選んで、貴重な青春のエネルギーを注いでくれとるんやからね!」
 嫌悪、羞恥、屈辱、疲労、ピストンの快感、膣内射精の快感……それが入り混じって、頭がパンクしそうになる。

 結局、恥辱の『交尾』が終わったんは月曜の朝。あと5分で家を出な遅刻するっていう、ホンマにギリギリの時間やった。


           ※           ※


 1クラス約30人、5クラスで150人弱。そのうちの100人以上がほとんど毎日のようにウチとしたがった。
「なあ武田、今日はどこでハメる?」
「武田、まず俺とやってや。俺昨日、結局順番来ぉへんかったやんか。そんでシコるんもアレやからずーっと我慢してて、今金玉パンパンやねん。乳とかクチとか、最悪手でもエエからよぉ、武田のエロボディのどっか使わせてくれや!」
 ウチが移動するたびにサルが群がってきて、隙あらば胸やら尻を揉もうとしてきよる。
「別にさせんとは言うてへんやろ。ただヤられながらメシ食うても味せぇへんねん。昨日みたいに、クソアホがサンドイッチに“ぶっかけ”よるかもしれんし。っちゅーわけで、今日から昼は手出し禁止。お手付きした奴には本気の蹴り喰らわすで」
 ウチやからそう言うて歯止め利かせられるけど、他の女子ならそれこそ分単位で犯されつづけとるような状況や。そういう意味では、ウチが他の女子9人の負担を肩代わりしてるともいえる。

 でもその他の女子からは、露骨に嫉妬されだした。

「うわ見て。また『花魁道中』してる」
「ちゃうちゃう、女王アリと働きアリやって。フェロモンで誘惑してるんやから」
「ようあんだけ毎日毎日飽きずに見せびらかすよな。どんだけ優越感に浸りたいねん」
「つかさー。変態プレイで男釣ってるって噂、ホンマなん? “エゴミ”にベロチューさせながら朝まで中出しさせまくってたとか、足舐めたりウンコ食べたりして笑ってるっていうん」
「多分ホンマやと思うで。ああいうタイプってプライド高い分、男に飽きられるんが怖いんよ。やからどんな手使ってでも男の気引こうとすんねん」
「あー、なるほどぉ。なんか可哀想やねぇ、必死で。あのオトコ囲ってますアピールも、必死さの表われや思たら許せるわ」

 ウチの知らんLINEの女子グループが作られて、そこで色々とウワサされてるみたいや。大半はデタラメやけど、一部本当の事も混じってるからタチが悪い。
「いえ、私はそのような場面を見たことがありません。私見ですが、玲ちゃんはそういう事をするタイプではないように思います」
 ウチと同じクラスの麻衣だけは、そんな感じで冷静にウソの噂を否定してくれてるらしいけど、どうもそれが原因でハブられかけとるらしい。せやから、ウチの方からそういうことをせんように言うといた。気持ちだけもらっとく、っちゅうやつや。

 それに実際、人に聞かせたくないプレイが多いんも事実や。

 毎日のようにセックスを繰り返す中で、マニアックなプレイを要求されることはよくあった。
 一番多いんはアナルを使いたいって要望やけど、それは断固拒否した。排泄するための穴に突っ込まれるなんて生理的にNGやし、後ろでは孕まんのやから、≪種付けセックスに応じる義務≫にも当てはまらん。

 そしたら代わりの妥協案として、痴漢プレイをやらされる羽目になった。
 下校したその足で電車に乗り込んで、制服姿のまま胸や尻を触られる。
 同じ学校の制服を着た生徒同士やから問題にはならんけど、その代わりめっちゃ見られた。帰宅途中のサラリーマンとかOL、大学生……。人によってスマホを見てるフリしつつ横目で覗いたり、逆にガン見してきたりと色々やけど、同じ車両のほぼ全員がウチらを意識しとった。
「またエライ背の高い子やねぇ……何センチあるんやろ?」
「周りの男の子より頭ひとつ抜けとるねえ。3年生と1年生とかやろか」
「なんか、弟にじゃれつかれてるお姉ちゃんって感じやな」
 ヒソヒソ話が聴こえて、時々カメラのシャッター音もしてた。
 そういう状況やと嫌でも興奮してまう。最初は吊革を掴んだまま窓の外を見て、『何も起きてません』という顔をしてみたけど、5分と続かんかった。
「……はっ、あ……うっっ……はぁ、うっ…………!!」
 ブラウスの上から、スカートの上から撫でられるだけでも、身体がビクビク反応してまう。

 しかも、痴漢の手つきはちょっとずつ大胆になっていく。
 スカートを捲って、直に太腿を撫でまわす。
 シャツをたくし上げて、ブラジャーの上から胸を揉む。
 太腿から、パンツの中へ手を差し込んで掻き回す。
 ブラジャーを押し上げて、こぼれ出た乳房を揉みしだく。
 この段階になると、羞恥も快感も無視できんレベルになる。
「んはああっ……あ、あっ! はぁあ……あ、あう、ぁあっ!!」
 吐息みたいやった喘ぎが、だんだんハッキリした声になっていく。
「クリ硬なってきよった」
「もうヌルヌルやぞ」
「乳首も勃ってるんをお知らせしまーす」
 ウチに纏わりつくサル共が、ギリギリ自分らだけに聴こえる声量で囁き合う。
「ヤバ……ガチの『手マン』やん」
「あんま上手ないっぽいけど、あんだけやられたら堪らんで」
「チチでけーな。Fカップぐらい?」
 乗客の声も耳に入ってきて、羞恥心が燃え上がる。
「…………あああああッッ!!!!」
 とうとう我慢の限界が来て、内股前傾のまま叫んでしまうんも、仕方ないことやと思う。けど同じ車両の人らにはめっちゃ笑われたし、サル共はそこまでになったウチにまだ追撃で『手マン』を続けて、とうとう潮まで噴かせよった。ハイソックスが全部濡れて、ローファーも濡れて、足元にちっちゃな池ができた。

 その後は譲ってもろた座席に座って、脚を開かされる。
 ドックン、ドックン、って心臓が鳴った。
 皆がウチのあそこに注目してた。
「…………こ、ここにオチンポ、入れてください…………」
 命令された言葉をただ言ってるだけ。なのに声が震える。ゴクッと生唾を呑む音が周り中から聴こえた。
「あ、ああッ!!」
 もう飽き飽きしてるはずの、クラスメイトからの『種付けプレス』。でも走ってる電車の座席ですると、ウソみたいに刺激的や。
「うはー、気持ちええなあ武田のマンコ!!」
 そう大声で叫ばれると恥ずかしくてしゃあない。けど、その羞恥がまた興奮を煽る。
「入れてるとこ見てって皆に言え」
 耳元でそう囁かれると、嫌やって思うと同時にゾクゾクもした。
「……み、皆さんも、入れてるとこ、遠慮せんと見てください……」
 また声が震える。けど今度の声色は、自覚できるぐらいの艶がある。
「へええ、見られたいんか? スケベな娘やな……!」
「本人がこう言うとるんや。遠慮なく見させてもらおか!」
「カメラロール見返すだけでバチクソ抜けそうや。しばらくオカズに困らんぞ!」
 車内が盛り上がるにつれて、ウチらの興奮のボルテージも上がっていく。
「んああ゛あ゛っ、奥にくるううっ!!」
「くあああっ、締まるうっ……!!」
 挿れてる方も挿れられてる方も、叫びながら腰を振る。上から突き込んでくる相手だけやなくて、ウチも自分から腰を振ってるのがわかった。
「あの子ぉ、自分から腰振ってるで。よっっぽど気持ちええんやねぇ」
 見る人はちゃんと見てて、ウチの浅ましい動きはすぐバレた。
 もし頭がシャンとしてたら、恥ずかしいから腰振るんはやめよってなるはずや。でも今は頭が茹っとる。バレたならもういいや、隠さんとこって考えになる。
「へへへ、武田がこんな積極的なん珍しいやん。なら俺も、本気で応えんとな!!」
 挿れてる細木はそう言うて、手をつく場所を窓から座席の横に変える。前傾はさらに深まって、腹筋でウチの乳房が潰れて、アレも奥の奥まで届く。
「ああぁあぁあ凄いいいいいいっっ!!!!!」
 細木とのセックスは30回目ぐらいやろうけど、こんな声を出したんは初めてや。ローファーを振り回すぐらい種付けセックスに没頭したんも、抜かれる前からビュービュー潮を噴いたんも。
「俺も、俺もすごいよ武田!! イクわ、イってええ?」
「はあっ、はあっ……ええよ、このまま出し……っ!!」
 極限まで興奮した状態での受精は、ほんまに狂うかもってぐらい気持ちいい。
「あ来てる、キてる……ぅ~~~~~~ッッ!!!!」
 つい仰け反って、ガーンって窓ガラスに頭ブチ当てて、その痛みでまた全身が痙攣する。

「ははは、凄い反応やな。あのお嬢ちゃん、いつもあんな激しいイキ方なんか?」
「え? あいや、いつもエロいですけど、今日は特に……っすね」
 乗客のクラスの奴がなんか話しとる。でも頭がボーッとしてよう分からん。
 お尻がシートにめり込んどって、汗で濡れて気持ち悪い。リアルな感覚はそれだけで、後は全部遠く感じた。ダラーッと脚を開いたまま座席に沈み込んどる姿は、どんだけ下品に見えたことやろう。
「へへへ、お待っとさん。4番バッター尾関、いくで!!」
 霞んだ視界に茶色くて逞しい『バット』が見える。
「あは…………っ」
 この時自分が笑ったって事だけは、嫌というほどハッキリ覚えとる。その後の記憶は駅のホームで目を覚ますまで無いから、多分この直後にオチたんやろうけど。


           ※           ※


 マニアックと言えば、軟体セックスなんかもした。
 バレエやってる子が身体の柔らかさアピールするために、床にペターッと脚広げたり、I字に開脚してバランス取ったりしてるやん? あの状態でセックスするんや。
 ただ、これに関してはウチも悪い。
「おー、股めっちゃ開くやん。180度どころか200度以上いってんぞ。さすが空手ガール!」
「見てや武田、賞賛コメントの嵐やで。もっと見せてー言うとるわ!」
 そんな風にチヤホヤされるとつい嬉しなって、自分から色んなサービスを始めてまう。
 脚を真一文字に開いたままつま先を立てて、足指の力だけで騎乗位をしてみせたり。
 海老反りになって、足の裏を両肩に乗せた体勢で膣に挿入させたり。
 仁王立ちのまま身体を折って、脚の間から首を出した状態でフェラ抜きしたり。
 そういう派手なパフォーマンスを披露しては、褒められて調子に乗って、もっと馬鹿をやる。そういう暴走癖が昔からあった。これまで大事になったことがないんは、ヒートアップしすぎて周りが見えんようになった時、冷静に諭してくれるストッパー役がいつも横におったからや。
 それがおらんようになった今は、ウチが自分でブレーキをかけなあかん。

 ただ、そうはいうても男子の性欲は底がない。しかも今は、ネットでなんぼでもセックスの知識が手に入る時代や。当然、それをウチで試したがる奴も多い。

 乳腺と膣の同時開発も、そういう流れで始まった。
 乳房と胸の性感は繋がってるらしくて、そこを同時に開発することでウチをもっと乱れさせようって魂胆や。
 休み時間と放課後を中心に、毎日毎日、セックスの合間に開発された。
 これまでにも愛撫の経験はあるけど、2時間も3時間もじっくりと時間をかけてあそこを舐められたんは初めてや。しかも念入りに乳房を揉まれながら。
「んあっ! はっ、はっ、はっ、はっ、はっ……はううんっ!! んはっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ……くんんんんっ……!!!」
 胸を揉まれながらあそこを舐められると、じわじわと快感が湧き上がってきて、愛液があふれていくのが分かる。その愛液を音を立てて吸われながら、乳輪をさわさわと撫でられたら、腰が浮くのが止められへん。
 クンニの快感は回を重ねるごとに強なって、そのうち何回も仰け反るようになった。堪らんくて相手の頭を押しのけようとしたこともあるけど、その度に「降参か」と茶化されて意地を通した。でもそうするとまた仰け反って、脚も反応してもうて、結局ゲラゲラ笑われた。クンニの合間合間に混ぜ込まれる『手マン』でも、めちゃめちゃに潮を噴いてしもた。

 クンニと並行で続けられる乳房の愛撫も、ただ漠然と揉んどるわけやない。『おっぱいのGスポット』なんて呼ばれるスペンス乳腺っていうのを開発したいらしくて、腋の下あたりからゆっくりと揉みほぐされる。
 最初はくすぐったい感じやったのが、どんどん快感に変わっていって、膣の快感と混ざりながら増幅していく。その状態がしばらく続くと、そのうち胸を掴まれたり、上下に揺さぶられるだけで絶頂に近い感覚が来る。
 こうなると、毎度のお約束の『パイズリ』も、膣でのセックスと変わらん。胸を寄せて硬いアレに押し付けるだけで、快感がゾクゾクと背筋を駆け上がる。胸を変形させながら捏ねだすと、快感と汗が止まらん。
「ふっ、は……はぁっ、はっ、はっ……!!」
「あはは。武田のヤツ、パイズリしながら感じとる」
「おお、乳腺開発がバッチリ効いとんな。おい武田、クチも休むなよ。それと乳首でも刺激してくれや。コリコリの刺激が好きなんや!」
 そう命じられて、息が苦しい中でしゃぶりながら、勃起した乳首を竿に押し付けると、あっさり快感の許容量をオーバーする。
「んんんん゛ンン゛ン゛っ……!!!」
「うおお、こいつ俺の咥えながらイッとる!」
「すげー。『ひょっとこパイズリ絶頂オバケ』や」
「いやいや、『ひょっとこ鼻水パイズリ乳首ピン勃ち絶頂オバケ』やろ!」
 驚かれるし笑われるけど、一番動揺してるんはウチ自身や。クリや膣でイクんは理解できる。でも胸だけでイクなんて信じられへん。いよいよ自分の身体やないみたいや。

 そこまで持っていかれてから、改めて輪姦されまくった。
 なんぼ性欲まみれのサルいうても、やりまくってるとセックスは上手なる。最初は尻を掴んでひたすら腰を叩きつけとった奴も、今ではバックでしながらおっぱいやクリを弄ってきて、生意気にもウチを内股にさせよる。
 ピストンそのものも最初とは別物や。緩急つけたり、掻き回したり。ウチが堪らんなって腰を動かすと、その弱い心を見透かしたようにガッチリ腰を押さえられて、必死に避けたかった弱点を徹底的に責められる。
 この春先まで経験ゼロやった100匹のサルが、気づけば『武田玲』特化のテクニシャンに変わっとった。

 そんな奴らに群がられて輪姦されたら、正直、たまらへん。
「んああッ!? そ、そこぉ……ッ!!」
「ん? なんや、えらい慌てて。『ココ』が弱いんか? ええ、そうなんか?」
「ッ! な、なにズレたこと言うとんねん。そんなとこ、微塵も響かんわ……」
「おーそうかそうか。なら今日は『ココだけを』、ずーっと抉っといたるわ!」
「……ッッ!!」
 こういう嫌な場面が山ほどあった。そして、その流れでウチが耐えきれたことは一度もなかった。
 『種付けプレス』の体位では、真上に伸ばした足の指を全部開いて。
 『立ちバック』の時には、ガクガク震える足の間から何度もを噴き散らして。
 そうやって膣だけで追い込まれとる時に、乳腺まで開発されきった乳首でも捻られようもんなら、ほんまに気が狂いそうになる。
「あイグイグイグイグッ!! ふぎゅうう゛う゛っ!! あはっうっ、んああ゛あ゛あ゛あ゛ーーーっ!!」
 絶頂と絶叫と痙攣が絶え間なく襲ってきて、顔から覇気が削れていく。

 『もう気持ちいいとこ触らんといて!! これ以上イカせんといて!!!』

 何度、そうネを上げそうになったか分からへん。
 意地でも口にはせんかったけどな。


 ウチは負けへん。自分の認めた相手以外には、絶対に。



中編に続きます。

 

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     コメント一覧 (2)

      • 1. いつもお世話になってます
      • 2025年02月01日 20:10
      • 常識改変モノは初めて読みましたが、良いですね…
      • 0
        kunsecat

        kunsecat

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      • 2. kunsecat燻製ねこ
      • 2025年02月02日 13:39
      • >いつもお世話になってます さん
        ありがとうございます。独特の焦燥感とエロさがありますよね
      • 0
        kunsecat

        kunsecat

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