12月の毎月勤労統計では、現金給与総額が前月比+1.3と高い伸びで、10-12月期の前期比は+0.8となった。実質賃金も-0.1となって、物価高にほぼ追いついており、今後の物価の落ち着きから、プラス転換が予想されるところである。つまり、これから消費減税で生活難に対応する必要性は消えつつある。時期を逸して「愚策」を打つというのも、ありそうな話となってきた。
(図)

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恒久的な消費減税という「超愚策」を掲げた政党は、総選挙で壊滅的な打撃を被ったわけだから、やるとしても、一時的なものにして欲しいというのが妥当な民意の解釈ではないか。しかも、自民党の公約は「検討を加速」なので、「食料品0%を2年間」の変形は、公約の範囲である。さらに、給付つき税額控除の「つなぎ」としているから、最初から給付つき税額控除にして、減税しないのもありだろう。しかも、「消費減税でなく保険料減を」の政党の躍進もまた民意と言える。要は、保険料を跨いで負担減を実現すれば良いだけだ。
国民会議で、どうやって議論を集約するかは謎だが、もし、筆者が有識者として招かれるとしたら、案を二つ示して選ばせる。ひとつは、減税変形案で、1年目に税率を4%にして、毎年1%ずつ戻していくものだ。これで、戻せなくなる財政リスクは払拭できる。便乗値上げによる負担減の漏出と需給変動による事業者の苦難をなくせはしないけれども、「マシな愚策」にはなる。
財源は、外為特会と日銀納付金(ETF売却益)を使い、毎年1兆円を引き出し、10年分くらいで均衡させる。各年の減税規模に合わせて財源を捻出するのは無理があるので、複数年度の財源捻出で賄う。単年度では赤字国債は出すものの、後年度の黒字で消すことで、首相の言う「特例公債に頼らない」ことになる。なお、財務省理論では、一時的減税なら財源は不要とされ、岸田政権の5兆円規模の定額減税でも、そうだった。本当は、増える国債の利子分くらいは財源を出してほしいけどね。結局、本当に財源が必要なのは、恒久的になる給付つき税額控除の分ということになる。
「妙策」は、給付つき税額控除への代替えだ。高市首相は、導入に時間がかかるから消費減税と言っているので、時間をかけずに導入できる方法にすれば、消費減税はいらなくなる。これは、社会保険料を取らないことで、給付したことにすれば、実現できる。給付がないのに、なぜ、給付つき税額控除になるのか、素人には不思議だろうが、労力をかけて給付するのと並行して徴収するのはムダであり、取るのを減らすだけで、実質的には同じになるからだ。おそらく、これを首相に理解してもらうことが最大のハードルだろう。
社会保険料の軽減のポイントは、年収130万円までは、本人負担分をゼロにし、130万円から200万円は徐々に軽減して「年収の壁」をなくすことである。必要な財源は概ね1兆円だ。これで、勤労者皆保険が実現して、非正規への差別、年収の壁、専業主婦優遇などが一掃され、労働力や出生が促進され、成長と年金給付水準の向上がもたらされる。1兆円の負担減だが、恒久的に続くので、一時的な消費減税の10兆円より大きいとも言えるし、なにより、愚策を吹っ飛ばすほどの成長投資的な成果を上げられるだろう。
(今日までの日経)
自民圧勝、3分の2超。消費減税「国民会議で」。消費減税に財源の壁。首相、消費減税 夏前に設計。高市株高 5万6000円台。企業の稼ぎ「日本還流」鈍く。難路の日銀ETF売却。中国半導体 自立自強の道。国民・玉木氏、消費減税「まず自民案を」。社会保険料下げ、政権に試練。食料品消費減税「首相はぶれず」。オルカン残高、10兆円を突破 1年強で2倍。日銀3月利上げへ「外圧」も。
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