新たな埋葬の形は「キノコ葬」?キノコのお棺で生分解が加速
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イギリスの葬儀会社は、世界初の「生きた棺」を開発した。そのお棺はなんとキノコでできており、通常のお棺よりも早く分解されるため、環境にやさしいエコ葬儀の新たな選択肢となりそうだ。
このユニークな棺は、キノコの菌糸体とリサイクルの麻から作られ、埋葬からわずか45日で生分解される。
まだ土葬文化のある海外では、「キノコ葬」は死後に自然の一部になれるとして注目が集まっており、イギリスでは既にキノコ葬が始まっているという。
キノコの菌糸体と麻の棺で素早く分解
近ごろ話題の「キノコ葬」とは、オランダの企業 ループ バイオテックによって開発された「生きた棺(ループ リビング コクーン)」を使う葬儀スタイルだ。
コクーンとあるとおり、この棺のデザインは繭をイメージしているそう。
従来の木製の棺と違って、キノコの根とも称される菌糸体(菌糸の集合体)とリサイクルされた麻の繊維できている。

キノコのお棺は約45日(1カ月半程度)で生分解される。
土葬された遺体が完全に骨になるまでには、そのまま埋めると約5年、棺に入れると10年くらいかかるといわれているので、キノコのお棺に入れた方が遺体も速く分解されるというわけだ。
さらにキノコのお棺と遺体は土壌の豊かな養分となり、新たな命を育んでいく効果も見込めるという。
そうはいっても実際のところどうなのか?と思う人もいるかもしれないが、土葬文化が残るイギリスではすでにこのサービスの利用が始まっている。
2024年12月、ロンドンの葬儀会社ポエティック エンディングが、イギリスで初となるこの棺の採用を明らかにしたことで、さらなる関心を呼んでいるのだ。
自然に優しい埋葬の形
しかもこの棺、わずか1週間で形成できるうえ、従来の棺の製造に比べて廃棄物と資源の消費が最小限に抑えられるんだそうだ。
こうした特長はキノコの菌糸体の特性によるもので、素早い分解と土壌の栄養補給が可能になったからだ。
棺の内側には天然のオランダ産の緑の苔(コケ)が敷き詰められ、より自然が身近に感じられる。
棺は標準的なサイズで、内寸は長さ195 cm、幅58 cm、高さ35 cm 。重さは30kg。最大200kgのご遺体まで対応可能だ。
運搬用に麻製の紐が6つ付いている。また生分解性だからといって雨などですぐバラバラになることはなく葬儀に充分な耐水性もあるそう。
なお気になる価格はおよそ1,500ドル(約23万円)とのこと。
また同社では、この棺と同じ素材でできた骨壺(ループ アースライズ)も提供しており、これも埋葬すると分解される。
ポエティック エンディング社のスタッフによると、その素材の質感はとても美しく独特で、今までにない触り心地だそう。たとえるならブリーチーズの表面に近い感触なんだそうだ。

故人の信条にふさわしいキノコ葬
イギリスで初めてこの棺で埋葬されたのは、自然を愛するマックス・レイトンさんだった。38歳でこの世を去ったマックスさんは「森林を維持する地下の菌類ネットワーク(Wood Wide Web)」を信じていた。
そこで遺族は、彼の信条にふさわしいこの葬儀を選んだという。
マックスは「ウッド ワイド ウェブ」を信じていました。この棺で彼を休ませるのは自然な選択です。素敵なうえに正しいことだと感じました (マックスさんの父親ニックさん)
キノコ葬サービスの提供で評判の上がったポエティック エンディング社は、「生きた棺」の品質にも感激し、今後この棺を取り扱うことにしたそうだ。

生分解性の葬儀用品の需要増
ループ バイオテックのCEO兼創業者ボブ・ヘンドリックス氏は、「持続可能で生分解性のある葬儀製品の需要が増加している」と述べている。
現在キノコを使った「キノコ葬」は、環境に優しい葬儀の一種として、土葬が今でも行われている欧米でかなり注目されている。

ちなみにこのように自然に還る埋葬法はほかにもある。
北欧スウェーデンのプロメッサ オーガニック社は、遺体を液体窒素で凍結し、粉末状にしたのちに土と混ぜ、微生物に分解させる手法を開発している。
いわゆるフリーズドライな技術となるが、この埋葬法の場合、約1年で腐葉土として自然に還ることができるという。
広まるエコ葬儀
こうしたエコ葬儀は新たな形態として認識されつつあり、環境を意識するイギリスの他の大手葬儀会社もこの棺によるサービスを開始した。
同社のスタッフによると、近年イギリスでは花崗岩の墓石の代わりに木を植える人も増加中とのこと。

日本ではすでにほとんどが火葬のため、残るのは遺骨と遺灰だけだが、こういった、環境にやさしく、すぐに自然に還ることができるの埋葬方法も、選択肢の1つとして選べるようになるといいのにな、個人的には思うのだ。
うちは田舎なのでひいおじいちゃん、おばあちゃんの代まで土葬でお墓に埋められていたそうで、お盆にお墓参りに行くと、ふわっと気配的なものを感じたり、感じなかったりするものだよ。
References:Goodnewsnetwork /Loop-biotech /Interestingengineering
本記事は、海外の情報をもとに、日本の読者がより理解しやすいように情報を整理し、再構成しています。
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この記事へのコメント 32件
自然科学を愛する英国らしい文化の進み方だな
- 返信
- +11
マタンゴになって復活したりして
- 返信
- +21
2020年の記事にもあったけど4年でイギリスでも受け入れられたのか 土葬をする宗教ではどういう扱いになるんだろうか
- 返信
- +7
英国にはもう熊がいないからね
森らしい森もないから生態系はとてもとても貧弱
だからこそできるし、ある意味自然回帰- 返信
- +10
なんか世にも恐ろしいビジュアルになって親族だって近寄りたくなくなるイメージしか湧いてこないんだが….
- 返信
- +7
火葬でよくない?
- 返信
- +8
45日で生分解されるのは棺なのか、それとも遺体なのか
- 返信
- +9
ドラマハンニバルじゃん
- 返信
- +1
ミスター・スポックを探せ!
- 返信
- 評価
日本は山が多くて国土が狭いので
土葬はちょっと遠慮してほしい。- 返信
- +23
骨が分解されないので意味がない
肉が分解されるまでにペストなどの病原菌の温床にもなってしまう
火葬のほうが遥かに合理的で衛生的
- 返信
- +6
骨も分解される。ただし、分解されていく速度がたと比べて遅いだけ
火葬などで脆くなった骨ならば分解される速度は5年から10年程度だけど
そういった手法を経ない場合は完全に消えるのに50年とかかかるらしいけど‥‥あと、ペストは基本的には遺体からはペストが広がることはなく、保菌した蚤やシラミから伝播する
基本的にというのは、ヒト-ヒト感染の一つである肺ペストは遺体は呼気を発しないので基本大丈夫だが、腺ペストの場合は遺体処理時に体液等に接触すれば感染する
また、保菌した蚤やシラミもご遺体の処理法がどうであれ不注意に接すれば感染する危険性があるので、火葬云々は関係がないから- 返信
- +10
ウチは代々のペットを綿100%のさらしに包んで、庭に埋葬している
35キロのシェパードの骨も数年で消えるよ
彼らのオモチャの鹿角も- 返信
- +1
持続可能で生分解性のある葬儀製品というなら生分解性のキレイめな布で包んで供花と一緒にそのまま葬るのでも目的は達せられそうだけどな
- 返信
- +8
大切な人が土葬されてたら、つい掘り起こしたくなりそう。
火葬なら諦めがつく。- 返信
- +5
火葬が嫌だからどうにかして海外で死体処理をしてもらうと決めてる
- 返信
- +3
👧 「アッチョンブリケ!」
- 返信
- 評価
そんなことしたら
冬虫夏草のように
冬人夏茸になっちまわないか。- 返信
- +5
植物が根っこを通してコミュニケーション取ってるのは本当らしいね。窒素など足りてない木があったりすると別の木が根を通して送ってあげたりして、全体がネットワークで繋がって森の健康を保っているそうで。
- 返信
- +3
オランダの苔をイギリスに埋葬するのは植生的にどうなんだ?とか
いくら暗いところが好きな苔だって蓋した箱の中じゃ枯れるんじゃね?とか
気になるところはあるが、さっさと大地に還るのは良いんじゃないかな
うっかり骨のまま残って未来人に掘り返されて
食生活分析されたり顔復元されてたらいやん- 返信
- +5
>北欧スウェーデンのプロメッサ オーガニック社は、遺体を液体窒素で凍結し、粉末状にしたのちに土と混ぜ、微生物に分解させる手法を開発している。
なんか埋葬方法というより、完全犯罪の手口のように聞こえるよ・・・- 返信
- +10
土葬文化の地域は土壌汚染は考えないんだろうか
そもそも日本みたいに湿気が多くないのかもだが- 返信
- +3
何の菌糸から作られているのか知らないけど、そこに本来居るはずの菌類が減って生態系に影響が出たりしないのかな
- 返信
- +5
地元だけのやり方なのかは分からないけど、うちのお墓の中は土で、お骨は麻袋に入れて土の上に置くようになってた。
- 返信
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否定的な意見が多いが、自分はこれやってほしいよマジで。
気分的には墓自体いらないんだ。
でも散骨は違法ってことになってるので家族に迷惑かかるかもしれんし。
日本の法律も埋葬の自由を認めてほしい。- 返信
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