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紙屋研究所

ヨネマイ『幸せになりたいマサムネ君』1

(以下の記事に性的な記述があります)

 

 ヨネマイ『幸せになりたいマサムネ君』の主人公は26歳・男のマサムネ。大学時代にブログをもとにした小説が爆売れしてそれで食いつないでいる作家…というかフリーターだ。10年付き合っている彼女がいて、マサムネ自身がぞっこんなのに、編集者と行った相席バーで出会った女性とセフレになってしまう。

 このセフレになった女性…1巻が終わっても名前が出てこない。

 マサムネも名前すら呼んでくれない。

 

 そして、マサムネについては、1点だけを除いて、女性が沼る理由が全く見えてこないのだが、その1点はセックスである。

 セックスについては、セフレ女性が

えっちのときビミョーに優しかった…

と回顧しているのだが、セックスそのものは本編には描かれない!

 だから、ぼくからみて、本編ではマサムネの良さはわからない。だけど、女性がマサムネの一挙手一投足に振り回されている、その解像度はとても高い。そこはもちろんそれがリアルかどうかはわかんないけども、ハラハラしながら読んでいる。それは本書の面白さの一つだろう。

 だが、1巻を読んで一番良かったのは、実は番外編のセックスの細かい描写なのである。「ビミョーに優しかった」というように、終始優しいわけではないのだが(褒めて欲しい下着を褒めたりせずすぐ脱がせてしまったりするのは女性側に不満だったりするのだが)、確かに大多数の一つ一つのプロセスが「教科書」のように丁寧なことは伝わってくる。

 「いやいや本当のスローセックスってこんなもんじゃないよ!」という向きもあるのかもしれないけど、この番外編を読んで「こんなセックスができるマサムネならハマるのでは!」と説得力を感じた次第である。

 最近読んだ『バルバロ!』1では女性側が全くクンニに興味がないという描写をしているのに対し、『マサムネ君』1の方では今までの彼氏が数秒で切り上げてしまうこととと対比をしてマサムネの時間が長くて丁寧なので(いい意味で)ショックを受けてしまっているシーンがあり、どちらも大変興味深く読んだ。クンニリングスというのはセックスにジェンダーが反映していて、総じて打ち捨てられやすいプロセスではないのか。

 「丁寧なセックス」「スローセックス」ってもっとたくさん描かれていいと思う。

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