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  - 三津木春影『古城の秘密』を読む -

少年少女講談社文庫『名探偵金田一耕助 金色の魔術師』(1972/7)巻頭に、と紹介された写真が、掲載されているのをご存じだろうか。

この「古城の秘密」とは、三津木春影訳『武侠探偵小説 古城の秘密』(前篇:1912/11/15, 後篇:1913/2/4, 武侠世界社)のことである。原作は、モーリス・ルブランの怪盗ルパンシリーズ『813』であり、現行本も多数あるので、こちらのタイトルならばご存じの方は多いのではなかろうか。かくいう私も少年時代に、ポプラ社『8・1・3の謎』(南洋一郎・文)を読み、その面白さにハマり(^^;)、怪盗ルパン全集を読破。そうだった方も多いのでは?

横溝正史はその少年時代、三津木春影『古城の秘密』に深く影響を受けたことを、自身のエッセイで何度も語っています。よほど思い出深いものだったのでしょう。ちなみに、本稿のタイトルにある、仙間龍賢とは、横溝少年が読んだ、三津木春影『古城の秘密』で登場する、怪盗ルパンの日本名である。

・途切れ途切れの記1 三津木春影のこと (『探偵小説五十年』講談社,1972/9)
(略)


・続・書かでもの記11 探偵小説暗黒時代のこと 巡りぞあわん「古城の秘密」のこと
 (『横溝正史自伝的随筆集』角川書店,2002/5)

・途切れ途切れの記2 西田兄弟のこと (『探偵小説五十年』講談社,1972/9)


手前味噌になりますが、横溝正史クロニクルの年譜で、次のように記しています。
西暦活動内容和暦 年齢
1912年小学四年生のころ、三津木春影の翻案もの「呉田博士」愛読。明治45年 10歳
1914年小学六年のとき、ルブランの「813」を翻案した春影の「古城の秘密」前篇に魅せられた。後編の入手が困難で、数年後にようやく読む。黒岩涙香の「巌窟王」を愛読。また草双紙も愛読。大正3年 12歳

『古城の秘密 前篇』を読んだ横溝少年は、友人の西田徳重も同様に後篇となかなか巡り合わなかった。最終的には、図書館で読むことができた旨が「途切れ途切れの記」に記されている。『古城の秘密』前篇で探偵小説に魅せられ、その後篇をようやく読むことができたのは、中学3年のことだったらしい。

小学6年(12歳)の横溝少年を、夢中にさせた春影訳『古城の秘密』を全編を通して、ぜひ読みたいものです。前後篇を合わせて一部カットしたものならば、掲載誌『新青年』該当号の復刻版(『新青年 第19巻(昭和13年) 合本6』本の友社, 2003/6)を図書館で読むことが可能だったりします。私がそうでしたので…。ぜひとも読みたいという方は、『新青年 復刻版』(本の友社)を所蔵している図書館へ、今すぐGO!

横溝正史が少年時代に読んだ『古城の秘密 前篇』は、現在無料で容易に読むことが可能なのを、ご存じだろうか。冒頭の写真:に、写っている本が「前篇」ならば、国会図書館収蔵のものより状態が良いようにに見えるが…。国立国会図書館デジタルコレクションで、読むだけでなく、全コマをPDF版としてダウンロード可能である。
国立国会図書館デジタルコレクション『古城の秘密:武侠探偵. 前篇』 [書誌情報]

『新青年復刻版 第19巻(昭和13年) 合本6』収録の『古城の秘密』と、国立国会図書館デジタルコレクション『古城の秘密 前篇』の章タイトルを比較してみた(下表)。『古城の秘密 後篇』の章タイトルも、おおよそ見当がつくように思う。
新青年版  武侠世界社版 前篇
No.章タイトルNo.章タイトル
1 怪盗仙間龍賢1 四百十五番室
2 八一三2 二十秒迄の命
3 血に狂ふ犯人3 二重蓋中の怪文字
4 箱の裏にも「八一三」4 胸に刺された名刺
5 三度目の「八一三」5 刑事課長漣田晋作
6 残された公開状6 貼紙の表に「八一三」
7 公爵千家満隆7 旅館の戒厳令
8 一石二鳥の芝居8 ヤ、殺られたな!
9 菱原類子9 箱の裏にも「八一三」
10 死骸が彼か彼が死骸か10 総理大臣室の協議
11 三つの大秘密11 十分間に逮捕せよ
12 怪物跳梁12 金縁眼鏡と内務省用紙
13 山中の追跡13 首相の大難題
14 巻煙草入14 最早非常線を張った
15 赤髪の美人15 三度目の「八一三」
16 橋の上から水葬禮16 其一言で秘密が破れる
17 貴公を待つこと久し17 壁に残った公開状
18 談判破裂18 あゝ良哉も死んだか
19 二つの密告状19 貧乏詩人帆足潮鳴
20 陷穽に落ちた獣の如く20 合せた通りの芝居
21 刑事課長の正體21 想ひ掛けぬ昔話
22 訊問開始22 貴女には熟々感服した
23 大秘密の物語23 夜半の十二時が死の合図
24 佛獨兩國民の沸騰24 屍骸が彼か彼が屍骸か
25 監房の訪客25 小指から肉片が飛離れた
26 二十四時間26 再び龍賢の公開状
27 白痴の少女27 掌中の三個の大秘密
28 大時計28 短剣が閃乎と光った
29 那翁の室の秘密29 自動車で追跡
30 給仕長の自白30 おゝ此巻煙草入こそは
31 眞岡輪道31 同類は赤髪の美人
32 未亡人の誘拐32 橋の上から水葬禮
33 �K怪物の生捕  
34 白蘭城の賓客  
35 懐中鏡  
36 眞犯人の正體  
37 巴里へ!巴里へ!  
38 大望顛覆  
39 龍賢の抹殺  
40 大團圓  

横溝少年が図書館通いをしていたように、私も横溝関連図書/文献で、入手が困難な場合や高価格の場合は、この横溝少年に倣い、図書館にあたることを実践している。全てではなかったかもしれないが、図書館にて数多の横溝関連図書や文献に到達することができた。資料の内容確認ができることを最優先に考えているので、確認できればそれでまずは満足。
横溝書誌調査に、図書館を活用することで、数多くの横溝文献に巡り合うことができており、個人的には図書館利用は有効的で、完全ではないかもしれないが、十分満足できている。不完全だから、次策を練ることができるのではないかと思う。

関連ページ:
 ・WANTED横溝正史 (33)わが愛しのルパン -探偵小説マニア、誕生す-

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