“ぬらぬら”と動く圧巻の作画で視聴者を驚かせた『お兄ちゃんはおしまい!』ED映像/画像はYouTubeより
新型コロナウイルス感染症の影響がアニメ業界に及び始めてから早三年。現在は特に中国でウイルスが猛威を振るい、現地のスタジオに動画や仕上げを依頼できず、数タイトルの放送が中断・延期を余儀なくされている。
そんな中でも2023年は、前年の「作画祭り」を引き継ぐかのようなパワフルな作品が生まれ続けている。
今回の本連載「アニメーションズ・ブリッジ」は特別編。普段はアニメとライトノベルを橋渡しするような内容だが、いくつかの作品を体系立てしつつ、2022年10月から2023年1月以降の作画アニメを橋渡ししてみたい。
『ぼっち・ざ・ろっく!』から『お兄ちゃんはおしまい!』まで。「作画アニメ」と一言で括られがちな作品群には、まさしく数珠繋ぎのような才能と表現の結びつきがあった。
文:太田祥暉(TARKUS) 編集:恩田雄多
目次
『ぼっち・ざ・ろっく!』のキーマン、梅原翔太&けろりら
『ぼっち・ざ・ろっく!』
梅原プロデューサーといえば、制作進行時代から若手アニメーターが躍動する「作画回」の印象があり、作画ファンからも一目置かれる存在といえるだろう。

ボカロ文化が存在しなかった世界線があるとしたら──『ぼっち・ざ・ろっく!』に視るロックと才能の系譜
2022年12月の放送終了後も反響が続くTVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』。
その人気の理由の一端が音楽のクオリティの高さにあることは間違いないだろう。作中に登場する主人公たちのバンド「結束バンド」のアルバムも人気を集め、「弾いてみた」「歌ってみた」など様々な二次創作も広がっている。
実際に『ぼっち・…
そこに、梅原作品の特徴ともいえる、スタッフの情熱が乗った躍動感が乗っかっていく。作品ごとにどう動かしたら面白くなるのか、アニメーターや演出陣が楽しみながらやっている姿が目に浮かぶような画面になっているのだ。
個人制作シーンの盛り上がりを感じさせる表現
主人公・後藤ひとりの想像力が発揮されるシーンでは、実写映像も挿入。エンディングアニメーションはPie in the skyのスズキハルカが手がけている。
そういった意味でも、コマ録りアニメを採用したり、「みんなのうた」でも活躍するスズキをエンディングに起用したりと、近年の個人制作作品の賑わいからの影響を感じる場面もあった。

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毎クールごとに膨大な量が放送されるアニメ。漫画やライトノベルを原作としたもの、もしくは原作なしのオリジナルと、そこには新たな作品・表現との出会いが待っている。連載「アニメーションズ・ブリッジ」では、数々の作品の中から、アニメライター兼ライトノベルライターである筆者が、アニメ・ラノベ etc.を橋渡しする作品をピックアップ。「このアニメが好きならこの原作も」、そして「こんな面白い新作もある」と、1つの作品をきっかけにまだ見ぬ名作への架け橋をつくり出していく。
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執筆
1996年生まれ、静岡県出身。編集者・ライター。編集プロダクション・TARKUS所属。アニメやライトノベル、特撮を中心に活動中。主な構成書籍に『ヤマノススメ Next Summit アニメガイド おもいでビヨリ』『石浜真史アニメーションワークス』『世話やきキツネの仙狐さん オフィシャルファンブック もっともふもふするのじゃよ!』など。担当中の雑誌に「Newtype」「宇宙船」「ドラゴンマガジン」「LoveLive! Days」など。