FSLは、MCバトルをエンターテインメントに昇華するべく、プロリーグ化を目指すというもの。
なお、発足と同時に発表されたスペシャルエキシビジョンマッチとして、「フリースタイルダンジョン」初代モンスターをつとめたT-Pablow(BAD HOP)さんとR-指定さん(Creepy Nuts)による試合も予定されているが明かされた。
MCバトルだけでは食っていけない現状
これまでMCバトルは、ヒップホップシーンでは磨き上げたスキルを披露し知名度や評価を得るという場であり、必ずしも金を稼ぐ場ではなかった。大会に出場するラッパーたちは場合によっては参加費を払い、ステージ上でパフォーマンスをぶつけあい、観客の心をつかみ、そして音源を買ってもらう。そうすることでようやく収益になるという世界だった。
しかし、「戦極MCBattle」や「ULTIMATE MC BATTLE」といった大会が長年MCバトルを盛り上げてきたことに加えて、BS番組「BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」や地上波番組「フリースタイルダンジョン」に人気によって、徐々にその規模が拡大していく。
人気のラッパーになれば大会側がギャラを支払う場合もあり、規模に応じて優勝賞金は高くなっていった。
「高校生ラップ選手権」出身のラッパーとして有名なYZERRさんやT-Pablowさんが率いるBAD HOPや、MCバトルの国内トップを決める大会「ULTIMATE MC BATTLE(UMB)」を3連覇したR-指定さんも、今の地位にまで上り詰めたのは、最終的には楽曲のヒットによるところが大きい。
出演者、主催ともに待ち望んでいたプロリーグ
ラッパーにして作家活動も行うハハノシキュウさんは、2016年にKAI-YOUに寄稿したコラムの中で、MCバトルだけでは食べていけないという状況に言及。「MCバトルに出ることで直接お金を手に入れるなんて話はすでに諦観しているし、優勝しないと金にならないなんて、僕には壁が高すぎる」「『バトルに出る=お金がもらえる』ようになったらいいなと僕は思う」と赤裸々な思いを明かしてくれている。

ハハノシキュウのMCバトルコラム Vol.6 MCバトルで稼ぐ方法
まるでIce-Tとスパイクリーに楽太郎を足した最新のブラックなジョークで
JUSWANNA/ピエロスタイル(2009年)
ラッパー・ハハノシキュウによるMCバトルコラム連載の第6回である。
ルールは先攻後攻2回ずつ。ハハノシキュウ本人とそれを1歩引いて俯瞰している立場の母野宮子という2人が交互にコラムを執筆していく。…
「バトルだけじゃお金にならない」という現状から、どういう場合ならギャラを支払えて、どういう場合は難しいのかを実際の数字を交えて解説し、「バトルだけで食える人をどうやったら増やせるか」という例としてプロリーグの構想を語ってくれた。

バトルだけが好きってヤツがいてもいい
「戦極MCBattle」主催のMC正社員、「MRJ」主催のMC派遣社員、「凱旋MCBattle」主催の怨念JAPという名によるMCバトル対談。
三者三様のイベント制作に対する新しい視点が、著しく新鮮に映る。それは通ってきた道だけでなく、現在進行形のシーンに対する考え方や方法論にまで及んでいる。
https://premium.kai-you.net…
FSLの詳細は今後、徐々に明かされていく。

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執筆
1998年生まれ。2021年に法政大学文学部日本文学科を卒業し、株式会社カイユウに入社。
ライター、編集者、Webディレクターとしてサイトの運営に携わる。漫画、WebToon、ボードゲーム等のジャンルを得意としており、実際の読書体験やプレイ経験をもとにレビューを執筆している。