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jun-jun1965の日記

縄田一男『武蔵』アマゾンレビュー

3点

本書は2002年9月に書き下ろし文藝評論として刊行されている。企画は二年前からのようだが、2003年に
NHK大河ドラマ市川新之助主演の「武蔵」をやっているから、それへの当て込みもあったろうし、当
時人気のあった井上雅彦の「バガボンド」もこの企画が通る下地だったろう。6年前に秋山駿の「信長」
がベストセラーになったのも、発想のもとだったかもしれない。しかしこれは、売れなかったようで、7
年後に「「宮本武蔵」と日本人」と改題して角川ソフィア文庫になっているが、講談社で文庫化しなかっ
たのは売れなかったからだろう。
 前半は吉川英治宮本武蔵』の分析で、後半は五味康祐光瀬龍柴田錬三郎津本陽笹沢左保
ど後続の作家たちの武蔵を論じており、よく読み調べてある。しかし吉川『武蔵』というのは、そもそも
元の講談で佐々木小次郎が父の仇だというのをなくしているため、勧善懲悪ですらない、ただ人殺しをし
て人格が立派になっていくというわけの分からない男になっており、「バガボンド」はどうだか知らない
が大河「武蔵」は失敗に終わり、今や宮本武蔵という剣豪は過去の遺物になりつつある。著者はその発端
に日本の敗戦を見て、懐かしんでいるようだが、こんな殺人鬼が英雄たりうる時代は、終わってしかるべ
きだと思う。
小谷野敦
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